リカバリー・カバヒコ (文芸書・小説)

著者 :
  • 光文社
4.09
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本棚登録 : 8146
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334100520

作品紹介・あらすじ

新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説が。アドヴァンス・ヒルの住人は、悩みをカバヒコに打ち明ける。成績不振の高校生、ママ友と馴染めない元アパレル店員、駅伝が嫌な小学生、ストレスから休職中の女性、母との関係がこじれたままの雑誌編集長。みんなの痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。

感想・レビュー・書評

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  • 青山美智子さんの作品から伝わってくる温もりや優しさを思う存分楽しむことができた。胸にグッとくる場面では感動も味わった。前向きな気持ちが膨らむような読了感を味わった。本作品は5編からなる連作作品である。各タイトルは『奏斗の頭』『紗羽の口』『ちはるの耳』『勇哉の足』『和彦の目』、それぞれの短編に登場する人物は「サンライズ・クリーニング」を営む80歳の溝端ゆきえ。この人物が最後の短編で存在感を増す。伏線として出てくるこのゆきえが、どのような人生を歩んできたかが分かり、この物語の深みを味わった。

    物語の舞台となるのは「日の出公園」、その公園の隅にある一つのアニマルライド、カバ。茶色に近いようなくすんだオレンジ色で、ところどころ塗装が剥げ、地のコンクリートが出てまだらな灰色になっていた。ゆきえが、このカバを「リカバリー・カバヒコ」と名付けていた。連作短編で、自分が治したい体の部分と同じところを、「リカバリー・カバヒコ」の体の部分に触ることで回復するという伝説があった。そんなおまじないのような展開が微笑ましく感じ、わくわくしながら読み進めることができた。

    『奏斗の頭』の主人公は高校1年生の宮原奏斗。中学卒業と同時に引っ越した場所が新築のマンション「アドヴァンス・ヒル」。奏斗は、推薦入試で合格した都内の高校生活に期待していた。しかし、友達もできず、成績も奮わなかった。そんな中、この公園で同じクラスの雫田美冬に出会う。雫田はアルバイトをしながら、勉学に励んでいた。雫田は、その目的を奏斗に伝える。そこに、奏斗は大きな動揺と刺激を受ける。身近な存在や言動に刺激を受けることは多いし、大きな励みにもなることもあるだろうな。そう考えるのも自分次第なのだろうけれど。そのような中、奏斗はゆきえから、雫田は6人兄弟姉妹であること、高校にかかる費用を稼ぐためにバイトしていること、そのこともあって勉強に励んでいることを聞かされる。さらに後から分かる雫田の背景から、今までの雫田の言動に新たな意味付けを加える分、奏斗は大きな衝撃を受ける。そして、今までと変わった奏斗の考え方によって、改めて奏斗が両親の思いを知る場面では、胸にぐっとくるものがあった。

    『紗羽の口』の主人公は、樋村紗羽。「アドヴァンス・ヒル」に住む、幼稚園に通うみずほの母親。夫、佳孝と3人家族。マンションに引っ越すことで、みずほは転園し、ひばり幼稚園へ。そこでの母親同士のしがらみの中で本音が言えず、悩みながらも関係を保っていた。一方で、母親同士の関係には入らずにいる絹川のことが気になっていたし、そのふるまいへの憧れも感じていた。紗羽はかつて、ファッションに関わるショップで接客業をしていた。その仕事が好きで極めていたし、会社からも認められていた。そんな経験を積んでいると、現状が苦しいほど、その仕事に戻りたいという思いも膨らむだろうな。でも、紗羽の苦しさは、母親としての苦しさというよりは、人間関係の苦しさ。だから、その関係をどうするのだろうと想像しながら読み進めた。紗羽は、いつも利用しているスーパーで、同じレジの人を選んでいた。それは、その接客の心地よさを感じていたから。その人の名前は雫田、前話の雫田の母親だった。この展開に、思わず声が出た。青山さんの作品世界の広がりを感じて、楽しくなった。そして、紗羽も、ひょんなことから「リカバリー・カバヒコ」の伝説を知る。紗羽が撫でたのは口。ちゃんと本当の思いを伝えたいということ。この後の展開は、胸にグッときた。ラストに向かって、絹川の言葉に影響された紗羽の口から、本当の思いや考えが話される。その姿に清々しさを感じて読了した。

    『ちはるの耳』の主人公は、新沢ちはる。ちはるはウェディングプランナーとして働いている。住まいは「アドヴァンス・ヒル」。ちはるは、耳管開放症という耳の病気を抱えていた。その原因は心的なものということ。結局、会社を休職することになった。この時点で、読んでいて苦しい思いを抱く。ちはるの同僚に、澄恵と洋治がいた。この2人の存在は、徐々に主人公の心を揺さぶりながら、展開していく。結婚と仕事について考えるちはる。心や体が弱っているときには、周りの人の方がよく見えるのだろうな。羨ましいという感情が膨らむのもありうることだろうな。そこから抜け出せれば、自分の生活を楽しくできるのだろうけれど。またも、ひょんなことから、同じマンションということで顔見知りだった紗羽と出会い、「リカバリー・カバヒコ」の伝説を聞く。この先を読み進めるのが楽しみになる。ちはるが撫でたのは耳。そこからの展開は、新たなことやものにより、ちはるは衝撃を受けながらも現実をしっかりと受け止めていく。その姿にかっこよさや潔さを感じながら読了した。

    『勇哉の足』の主人公は、小学4年生の勇哉。住まいは「アドヴァンス・ヒル」。舞台は小学校の駅伝大会。1年生から6年生までの各クラス代表3名が襷を継なぐ大会。最後の代表1人が決まらずに、くじで選出することになった。ここで、勇哉は足を捻挫していると伝え、くじを引かずに済ませた。それは、走ることへの自信がないことと見栄だった。気持ちは分かるけれど、この後の苦しい展開を想像し、どきっとする。結局くじで決まったのはスグル。そこから、本当に原因不明の足の痛みを抱えることになる勇哉。病院帰りによった「サンライズ・クリーニング」でゆきえとちはるに出会う。ここから、また「リカバリー・カバヒコ」の伝説へ。この展開に、ぱっとなぜか明るい気持ちが膨らむ。ここまでの作品世界が誘っているのかな。勇哉が撫でたのは右の後ろ足。そこからの展開は、新たな登場人物である整体師との出会いと、スグルの前向きな姿によって、勇哉は大きく変わっていく。想像の中で明るい景色が広がって読了した。

    最後は『和彦の目』。主人公は52歳の溝端和彦。出版社の月刊情報誌の編集長であり、「サンライズ、クリーニング」のゆきえのひとり息子。住まいは「アドヴァンス・ヒル」。この設定に青山さんの、ここまでの4話に渡る連作短編の展開に、嬉しさと驚きを感じる。和彦は、経験を積んでいるという自負をもっていて、部下への対抗心が膨らんでいた。年齢を重ねると、最新の情報に疎くなることもあるだろう。そして、その情報を先取りするような仕事だと、自身の努力が問われるかもしれないな。あわせて、和彦は老眼のような状態になっていた。体の衰えは、実感すると心にも影響を及ぼすものだろうな。和彦は父親を覚えていない、つまり、母親に育てられていた。ゆきえは、和彦に小さい頃から、「リカバリー・カバヒコ」の伝説を話していた。それが、和彦の記憶の中で、大きなものとなっていた。ゆきえと和彦の親子関係は悪くなっていた。これまでの話のゆきえは、明朗快活でまちの活性剤ような印象をもっていたため、この展開に気持ちがざわつく。妻、美弥子と和彦の関係も、年月を重ねて変化していた。和彦は勇哉と「リカバリー・カバヒコ」のところで出会う。勇哉から聞く「リカバリー・カバヒコ」の伝説。和彦の衝撃はどのくらいだろう。親子の中での話は広がり、周りの人達に伝えられ、周りの人達は前向きになっている。このときの勇哉との会話が和彦の心と体をほぐしていく。そこに温かさと心地よさを感じる。リカバリーは誰でもどこからでも始められる、そんな気持ちになっていった。しかも、回復して元の自分に戻るのではなく、新しい自分になっていくところに希望を感じる。それは、そうだろうな。それも、その人自身の心持ちに関係するのだろうけれど。そこから、ラストに向かって、明らかになるゆきえの思いと、ゆきえと美弥子の関係。微笑ましいラストに、思わずよかったなと感じながら読了した。

    久しぶりの青山さんの作品を読了した。心がほかほかして、よい気持ちになる。これからも青山さんの作品を読み続けていきたいな、そんな気持ちで満たされた。

  • あなたは、『伝説』を信じているでしょうか?

    “ある時、特定の場所において起きたと信じられ語り伝えられてきた話”、それが『伝説』です。古事記や日本書紀に古代の人々が書き残したこの国のはじまりの『伝説』、9000年前に海中に没したとされるアトランティス大陸の『伝説』、そして、誰もが心ときめかす徳川埋蔵金の『伝説』など、私たちはさまざまな『伝説』と共に生きています。その言葉の響きだけで無性に夢とロマンを掻き立てられもする『伝説』は、一方で”眉唾もの”という言葉と紙一重の存在でもあります。真実を探ろうとしてもさまざまな壁が立ちはだかる『伝説』という存在は、逆に解き明かされないからこそ、いつまでも夢とロマンと共にある存在と言えるのかもしれません。

    しかし、『伝説』とは本当に夢とロマンで終わるものなのでしょうか?そんな『伝説』が真実になることはないのでしょうか?

    さてここに、都内のある街に伝わる『伝説』を取り上げた物語があります。

    『カバヒコにはね、自分の体の治したいところと同じ部分を触ると回復するっていう伝説があるのよ』。

    この作品は、『日の出公園』という『団地に囲まれた小さな公園』の隅に置かれた『カバ』の『アニマルライド』に触れる主人公たちを描く物語。そんな主人公たちが、それぞれの痛みから『回復』する様を見る物語。そしてそれは、『 大丈夫、リカバリーしたんだ。もう、前と同じぼくじゃない』と主人公たちが再び顔を上げる瞬間を見る物語です。
    
    『新築マンションだぞ。奏斗も嬉しいだろ』と『中学三年生の夏に父さん』に言われたのは主人公の宮原奏斗(みやはら かなと)。『アドヴァンス・ヒル』という『仰々しい名前の』マンションへ『中学卒業と同時に引っ越すことになった』奏斗は『郊外にあるのんびりした街の公立中学に通』い、『通知表には5が並』ぶ『優等生』でした。そして『都内の進学校を受験』し合格した奏斗は、中学には『心を開けるような友達は僕にはいなかった』こともあって、『さっぱりした気分で』、『新しい家、新しい生活』へと向かいます。『話の合う、僕にぴったりの友達ができるに違いないと思』う奏斗でしたが、『新学期が始まってすぐ、僕はどこにも分類されないことを知』ります。『身の置き場』のない学校生活に困惑する奏斗は、『中間テストを受けて、大打撃を受け』ます。『ことごとく低得点で』、『プライドはズタズタ』になった奏斗。『四十二人中、三十五位』というクラス順位を知らされ愕然とする奏斗。『こんなもの、母さんには見せられな』いという中、『頭を抱える』奏斗は、『自分以外がみんな天才に見える。みんな余裕の顔してる』とクラスメイトたちを見ます。そして、『6を、8に』、『1を、9に』書き換え、『平均点は69点だったよ』と89点に加工された結果を母親に見せ、『やっぱりすごいわねえ』と褒められるも、『どうして僕は、バカになっちゃったんだ…』と思い悩みます。場面は変わり、『そのまま家に帰る気になれな』い奏斗は、裏道へと入り『サンライズ・クリーニング』という店の先へと進んでいきます。そこには、『「日の出公園」と彫られた』石板が入り口に置かれた『小さな公園』がありました。『僕の他には誰もいない』という公園に入った奏斗は、『すみっこにいる動物っぽい姿に気づ』きます。そこには、『ぽつんと一頭だけ』、『カバ』の『アニマルライド』が置かれています。『楕円の大きな瞳はちょっと上目遣いで』、『口がにいっと横に大きく広がり、端っこが上が』り、『上向きの鼻は盛り上がった丘のてっぺんに離れて鎮座し、なんとも間の抜けた、あきれるほどのんきな表情』という『カバ』。そんな『カバ』に近づいた奏斗は、『後頭部に太い黒のマジックで「バカ」と落書きされている』のを見つけて心が痛みます。そして、消しゴムを使って消そうとしますが汚れは落ちません。翌日、『学校が終わると公園に直行』した奏斗は、そこに『制服姿の女の子が』いることに気づきます。それは、『同じクラスの』雫田(しすくだ)でした。『宮原奏斗じゃん』、『なんでこんなとこにいるの?え?家、近所?』と語りかけてきた雫田は公園の近くの団地に住んでいました。そんな中、唐突に『カバヒコ〜』と『カバ』に呼びかけた雫田は、『カバ』へと寄っていくと『カバヒコってね、すごいんだよ。怪我とか病気とか、自分の体の治したい部分と同じところを触ると回復するって言われてるの』と続けます。『このみすぼらしいカバに、そんなご利益が』と思う奏斗に、『人呼んで、リカバリー・カバヒコ』と語る雫田は、『このあたりだけの都市伝説みたいなもんでさ』と『腰をなでたらヘルニアが治った』おばあさんの話をします。一方で、『しょせん科学的根拠なんかないし』と言う雫田ですが、『いいことを、聞いた』と思う奏斗は、『僕はバカを治したい。またみんなに「頭いいね」って言われたい』と思います。そして、『美人になりますように』と、『カバヒコの顔をなで』る雫田を見て、『カバヒコの頭に手をや』り、『頭脳修復、たのむよ、カバヒコ!』と祈る奏斗。そんな奏斗を見て笑う雫田に、『久しぶりにほっとした気持ちにな』る奏斗は、『フランクに話ができる同級生がやっと現れた』と思います。そんな奏斗のそれからの日常が描かれていきます…という最初の短編〈第1話 奏斗の頭〉、共通して登場する『カバヒコ』の存在を強く印象づける好編でした。

    “2023年9月21日に刊行された青山美智子さんの最新作であるこの作品。”発売日に新作を一気読みして長文レビューを書こう!キャンペーン”を勝手に展開している私は、7月に瀬尾まいこさん「私たちの世代は」、8月にも寺地はるなさん「私たちに翼はいらない」と、私に深い感動を与えてくださる作家さんの新作を発売日に一気読みするということを積極的に行ってきました。そして、このキャンペーンのきっかけとなったのが2021年9月9日刊行の青山美智子さん「月曜日の抹茶カフェ」でした。そう、私にとって青山さんはなくてはならない大切な作家さんでもあるのです。そして、そんな青山さんの新作が刊行される情報を得て、今回、発売日早々にそんな作品を手にしたというのがここまでの経緯です。

    そんなこの作品の帯には手書きで”大丈夫。私たちはきっと、リカバリーできる。”と記されています。そして、帯の下方に小さく”公園の古びたカバの遊具、カバヒコ。カバヒコに触れると、治したいところが回復するという。”と意味深な説明がさらっとなされてもいます。触れると、治したいところが回復する!という『伝説』。長野県善光寺の尊者像など、触れると病気や痛みが治るとされる像は古の世から数多存在します。触られすぎて禿げてしまっているものも存在するなど、人々が苦しみから逃れるために何かに縋ろうとする思いの強さをそこに感じもします。この作品では、そんな『伝説』をもたらす存在が登場します。『リカバリー・カバヒコ』という『カバ』の『アニマルライド』がそれに当たります。では、まずはそんな『カバ』がどのようなものかもう少し詳しく見てみましょう。

    ● 『カバヒコ』について

    ・設置場所: 『日の出公園』- 『サンライズ・クリーニング』の先にある『団地に囲まれた小さな公園』の隅

    ・姿形: 『茶色に近いようなくすんだオレンジ色で、それもところどころ塗料が剝げている』、『楕円の大きな瞳はちょっと上目遣いで』、『口がにいっと横に大きく広がり、端っこが上が』り、『上向きの鼻は盛り上がった丘のてっぺんに離れて鎮座し、なんとも間の抜けた、あきれるほどのんきな表情』の『アニマルライド』

    ・伝説: 『自分の体の治したいところと同じ部分を触ると回復するっていう伝説がある』
    ※ 『サンライズ・クリーニングのおばあちゃんもカバヒコの腰をなでたらヘルニアが治った』

    さてどうでしょうか。公園によく見られる『アニマルライド』、それが『くすんだオレンジ色』の『カバ』ということでどことなくイメージいただけると思います。そんな『カバ』に、隠された力がある!それがこの作品の一つのポイントです。この作品は五つの短編が連作短編を構成しており、そんな五つの短編全てにこの『カバ』の『伝説』が登場します。つまり、『カバ』が短編を繋ぐキーになっていると言えます。青山さんと言えば連作短編というくらいに連作短編のイメージが濃い作家さんですが、ポイントはそんな連作短編の作りの差異です。青山さんはこれまでに12の小説を発表(絵本仕立ての作品等企画ものを含む)されており、12の作品は以下の4つに分類されると思います。

    ① 人と人が繋がっていく連作短編
    → 「木曜日にはココアを」、「月曜日の抹茶カフェ」、「赤と青とエスキース」

    ② 一つの場所、モノが起点・きっかけをつくる連作短編
    → 「お探しものは図書室まで」、「月の立つ林で」、「X」

    ③ ファンタジー系連作短編
    → 「ただいま神様当番」、「猫のお告げは樹の下で」、「鎌倉うずまき案内所」、「Y」

    ④ 企画もの(さてさてのレビュー形式では取り上げるのが難しいため泣く泣く未読)
    → 「いつもの木曜日」、「マイ・プレゼント」、「ユア・プレゼント」

    さて、この”カバヒコに触れると、治したいところが回復する”という作品は、”X”に分類されるものでしょうか?、それとも、”Y”に分類されるものなのでしょうか?…さて。ということで、その答えは、モニョモニョ…これから読まれる方のお楽しみとさせていただきたいと思いますが、いずれにしても極めて青山さんらしい物語がそこには展開していきます。
    ※上記のように分類をまとめてみて、青山さんご本人?担当編集者さん?の作品作りのバランスの絶妙さに本屋大賞常連の理由の一端を垣間見た思いです。

    では、次はそんな五つの短編について触れておきましょう。青山さんの作品らしく、それぞれの短編には何かしらの悩みを抱えた主人公たちが登場します。

    ・〈第1話 奏斗の頭〉: 『中学卒業と同時に引っ越』し、『都内の進学校』に進んだのは主人公の宮原奏斗。『希望を胸に高校に入学した』奏斗ですが、レベルの高い授業についていけず、『自分以外がみんな天才に見える』、『どうして、どうして』と、思い悩んでいます。そんな中に『カバヒコ』の存在を知った奏斗は…。

    ・〈第2話 紗羽の口〉: 『夫の佳孝』の提案でマンションに引っ越してきた紗羽が主人公。娘のみずほが年長に上がるタイミングでの引っ越しに戸惑うも新生活をスタートした紗羽ですが、『通園バス』の見送りに集まる『ママ友』との付き合いに馴染めず思い悩みます。そんなある日、『カバヒコ』の伝説を聞いた紗羽は…。

    ・〈第3話 ちはるの耳〉: 『耳がふさがれるような閉塞感に苛まれ』、『耳鼻科』で『耳管開放症』と診断されたのは主人公の新沢ちはる。『ウェディングプランナーとしての仕事』をしている ちはるでしたが、あることが原因で自信を無くし『一ヵ月で五キロ以上痩せ』、会社を休職します。そんな中、公園で『カバ』を目にします…。

    ・〈第4話 勇哉の足〉: 『小学校四年生に上がるタイミングで』転校してきたのは主人公の勇哉。そんな勇哉は『駅伝大会』のクラス代表の最後の一人を『くじ引き』すると聞いて『足をねんざしたことにしよう』と作戦を立てます。作戦成功、逃れることができましたが本当に足が痛み出します。そんな中、公園の『カバ』の話を聞き…。

    ・〈第5話 和彦の目〉: 『都内の出版社、栄星社に勤務して三十年』という情報誌『ラフター』の『編集長・溝端和彦』が主人公。そんな和彦は『ずっと疎遠になっていた母親が気がかり』でいますが、けんかばかりだった過去を思い出し一歩を踏み出せません。自身も老眼が気になる中、幼い頃遊んだ公園の『カバヒコ』の元を訪れ…。

    五つの短編に登場する五人の主人公たちの年齢、境遇はそれぞれに異なります。唯一共通なのは、『アドヴァンス・ヒル』という『五階建ての新築分譲マンション』の住人であるということだけです。そんな五人は、それぞれに悩みを抱えています。〈第2話 紗羽の口〉の主人公の紗羽は、娘の幼稚園の『ママ友』との距離感に思い悩んでいます。〈第3話 ちはるの耳〉の主人公・ちはるは、あることがきっかけで『ウェディングプランナーとしての仕事』に自信をなくし休職しています。そして、〈第5話 和彦の目〉の主人公・和彦は老眼が気になる年齢に差し掛かる中に、一方で年老いた母親のことを気にかけつつも、今までのけんかばかりの関係性の先に一歩を踏み出すことができません。そんな主人公たちは、それぞれのきっかけの先に公園の『カバ』の『アニマルライド』の伝説を知り、『自分の体の治したい部分と同じところを触る』ことで、その『回復』を願います。『人呼んで、リカバリー・カバヒコ』というその存在の力にすがる主人公たち。この作品では、そんなそれぞれの思いが叶うのか、『回復』できるのか、物語はその先の主人公たちのそれからが描かれていきます。『どんどん自信がなくなっていった』とそれぞれに思い悩む主人公たち。『私ばっかり、どうして私ばっかり不幸なんだろう』とそれぞれに思い悩む主人公たち。そんな主人公たちがそれぞれの短編の結末に見せる姿に思いが込み上げるこの作品。そこには、誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添ってくださる青山美智子さんらしい物語が描かれていました。

    『カバヒコってね、すごいんだよ。怪我とか病気とか、自分の体の治したい部分と同じところを触ると回復するって言われてるの』。

    五人の主人公たちがそれぞれの人生に思い悩む姿が描かれたこの作品。そこには、他人には決してうかがい知ることのできない主人公たちの心の葛藤を見る物語が描かれていました。決して特別ではない主人公たちの苦しみを自分に置き換えてもしまうこの作品。読後、近くの公園の『アニマルライド』を触ってみたくもなるこの作品。

    “大丈夫。私たちはきっと、リカバリーできる。”という本の帯の言葉が優しく心に響いてくる、そんな作品でした。

    • さてさてさん
      yukimisakeさん、こちらこそたくさん「いいね」をいただきありがとうございました。
      私は同じ作家さんの作品が三冊揃わないと読めない制...
      yukimisakeさん、こちらこそたくさん「いいね」をいただきありがとうございました。
      私は同じ作家さんの作品が三冊揃わないと読めない制約がありまして、青山美智子さんの作品大好きなのにここしばらく読めないもどかしさの中にいました。「リカバリー・カバヒコ」が刊行されて発売当日に一気読みしました。相変わらずの青山美智子ワールドがそこにあってホッとしました。yukimisakeさんのレビューも楽しみにしております。
      こちらこそよろしくお願いいたします。
      2023/09/28
    • ジェダイパパ6986さん
      こんにちは。迫力ある素晴らしい文章ですね!圧倒されました!私も青山美智子さんは大好きな作家さんです。トーク賞&サイン会にも行ったことがありま...
      こんにちは。迫力ある素晴らしい文章ですね!圧倒されました!私も青山美智子さんは大好きな作家さんです。トーク賞&サイン会にも行ったことがあります。とても気さくで、人柄の良い方でした。やっぱり人柄が作風に出るんですよね。
      2023/09/28
    • さてさてさん
      ジェダイパパ6986さん、こんにちは!
      コメントをいただきありがとうございます。
      青山さんのトーク賞&サイン会に行かれたことがあるのです...
      ジェダイパパ6986さん、こんにちは!
      コメントをいただきありがとうございます。
      青山さんのトーク賞&サイン会に行かれたことがあるのですね。先日、この作品刊行の一環でTV番組に出られていたのを拝見したのが私の唯一動く青山さんを目にした機会です。直接お会いしたいですね。
      青山さんの作品は大好きな一方で、私は三冊セットでしか読めないので、前回の読書からかなり空いてしまいました。また、これから三冊貯まるのを待たないといけないので青山さんの作品を次読めるのは年単位で未来です(涙)。新作がとにかく楽しみです!
      2023/09/28
  • 青山美智子さんの十八番、連作短編小説集です。

    「リカバリー・カバヒコ」。カバだけに。
    センス良すぎでしょ♪

    本書は、新築分譲マンション「アドヴァンス・ヒル」に住む人々の悩みや願いを描いた5つの物語からなります。

    彼らの共通点は、近くの公園にある古びたカバのアニマルライド「カバヒコ」に触れることです。

    カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説があります。

    人呼んで「リカバリー・カバヒコ」。カバだけに。(笑)

    しかし、カバヒコは何もしてくれません。ただそこにあるだけです。

    でも、彼らの心は何故か軽くなり、抱えている問題に正面から向き合うようになるのです。

    本書の裏テーマは「相棒」で、主人公がそういう存在に気づく話でもあると作者は語っています。

    傍から見たら地味だけれど、だからこそ一人一人が見つけるほのかな光が浮かび上がるようなものが書きたかったとも言っています。

    青山美智子さんの真骨頂とも言える、心温まる作品集です。


    <あらすじ>
    第1話「奏斗の頭」:急な成績不振に悩む高校生・宮原奏斗は、クラスメイトの雫田さんとカバヒコの伝説を聞き、頭脳回復を願ってカバヒコの頭を撫でる。

    第2話「紗羽の口」:ママ友たちに馴染めない元アパレル店員・樋村紗羽は、カバヒコの伝説を聞き、口を撫でに行くと、自分の本音を言えるようになる。

    第3話「ちはるの耳」:耳管開放症という珍しい病に悩むブライダルプランナー・新沢ちはるは、カバヒコの伝説を聞き、耳を撫でに行くと、自分の声を聞くことができるようになる。

    第4話「勇哉の足」:駅伝が嫌な小学生・勇哉は、嫌なことから逃げていたら本当に足が痛くなってしまう。カバヒコの伝説を聞き、足を撫でに行くと、自分の走りたい方向に進むことができるようになる。

    第5話「和彦の心」:母との関係がこじれたままの雑誌編集長・溝畑和彦は、母の死後、カバヒコの伝説を聞き、心を撫でに行くと、母の想いを知ることができるようになる。


    本の概要

    5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで”リカバリー・カバヒコ”。アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。高校入学と同時に家族で越してきた奏斗は、急な成績不振に自信をなくしている。偶然立ち寄った日の出公園でクラスメイトの雫田さんに遭遇し、カバヒコの伝説を聞いた奏斗は「頭脳回復」を願ってカバヒコの頭を撫でる――(第1話「奏斗の頭」)出産を機に仕事をやめた紗羽は、ママ友たちになじめず孤立気味。アパレルの接客業をしていた頃は表彰されたこともあったほどなのに、うまく言葉が出てこない。カバヒコの伝説を聞き、口を撫でにいくと――(第3話「紗羽の口」) 誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。

  • カバヒコの癒し効果がすごい。
    登場するたびにカバーの絵を見ながら読んだ。
    リカバリー・カバヒコ。愛おしすぎる。

    カバヒコに触れることで自分の心と向き合うことができる。自分を見つめ直す時間をくれるってことかな。
    こういうちょっとしたきっかけってすごく大事。
    紗羽のバッジ、スグルくん、愛情深い都市伝説。
    それぞれの章にグッとくるエピソードがあり、
    私にとってはこの本自体がカバヒコだった。
    読んで良かった。とっても癒されました。

    前を向けるようになった登場人物たちのこれからを応援したい。

  • どのお話の人の気持ちも痛いほど分かる!
    そんな一冊でした。
    5つの連作短編集、年齢も性別も様々な人たちのお話なのですが、どの話も琴線に触れる!
    高校に入ってからの自分の立ち位置、ママ友、仕事と恋、嘘をつくこと、親子だからこそ素直になれないこと……ぜんぶ分かるよ。120%!
    青山美智子さんは本当にうまいと思う。難しいこと言わないで、スっと寄り添ってくれる。
    情けない自分を持て余しているのはあなただけじゃないよ、と言ってくれる。
    比べるべきは他人ではなく、昨日の自分。
    同じ場所にいても見えているものは違う。人は見たいものだけ見たいように見ている。何が大事で何が必要か、その都度選択していけばいい。
    今作も優しい気持ちになれる一冊。大満足!

  • /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
     
    自分が生きていた証なんてものは、誰かの人生にほんの少し影響を与えることができたかだ、というニュアンスの言葉を…アニメで見たのかな〜、ドラマだったかな〜、いろんなことが記憶できない日々ですが、そんな言葉を思い出す作品でした。

    カバヒコ、よかったな〜
    カバヒコに願いを伝え、それが叶っていきます。
    「助けてくれたのはカバヒコだった」と、みんなが思ってくれるわけで、それは、もう、カバヒコの力だよ、と思いました。

    よかったな…面白かったです。

    私も誰かの人生に影響を与えていると思うと、嬉しく感じますが、当然、プラスもあればマイナスもあるでしょうから、なるべくプラスだったと感じるように、影響を与えられるように行動していきたいです。カバヒコのように(^^)

    カバヒコから感じたのは、カバヒコみたいなものを提供していくことを、仕事としてやっていきたいな…と、思いました。物理的なものとして、存在するものなのか、デジタルな存在なのか、心に影響するものなのか…いろいろ考えていきたいですね。今年は何か示せるように動きたいですね〜、頑張りたいです。

    我が家の近くの公園にも、アニマル遊具ありますが、話しかけることはなかったですね〜
    やっぱり、いろいろ想いを吐き出せる場所は大切なんでしょうね…今年一年かけて、探してみます。夜の公園に1人は寂しいけど…


    /_/ あらすじ _/_/_/_/_/

    連作短編集です。

    アドヴァンス・ヒルという5階建て新築マンションに住む人たちの物語!

    第一話 奏斗の頭
    高校で周りのレベルとの差に悩む奏斗が、カバヒコに願いを。

    第二話 紗羽の口
    幼稚園児の母達との関係に悩む紗羽が、カバヒコに願いを。

    第三話 ちはるの耳
    耳がおかしくなったちはるが、カバヒコに願いを。

    第四話 勇哉の足
    足が痛いと嘘をついていたが、本当に足が痛くなって、カバヒコに願いを。

    第五話 和彦の目
    その願いはなにか。


    /_/ 主な登場人物 、キャラ _/_/_/

    カバヒコ リカバリーカバヒコ
    溝端ゆきえ 80歳、サンライズクリーニング

    ■第一話 奏斗の頭
    宮原奏斗 中3→高1
    雫田美冬 しずくだみふゆ、同クラス
    樋村紗羽
    樋村みずほ 幼稚園児、ピアノ習う

    ■第二話 紗羽の口
    樋村紗羽 みずほ母、30なかば
    樋村みずほ
    樋村佳孝 よしたか、夫
    西本明美 ママ友、杏梨母
    西本杏梨 
    雫田 お母さんの方
    絹川 友樹母、ヨガ教室、夫単身赴任
    絹川友樹

    ■第三話 ちはるの耳
    新沢ちはる 耳管開放症、じかんかいほうしょう、ウエディングプランナー
    澄恵 すみえ、同僚
    島谷洋治 同僚
    樋村紗羽 
    樋村みずほ

    ■第四話 勇哉の足
    立原勇哉 小4
    スグル 友達
    新沢ちはる

    ■第五話 和彦の目
    溝端和彦 編集長、52歳、ゆきえ息子
    溝端美弥子 妻
    高岡 30歳、部下
    立原勇哉

    • Manideさん
      aoiさん、こんにちは〜

      カバヒコよかったです(^^)
      その存在が何かに影響しているというのは、いいですよね、とても。
      今回も日の繋がりを...
      aoiさん、こんにちは〜

      カバヒコよかったです(^^)
      その存在が何かに影響しているというのは、いいですよね、とても。
      今回も日の繋がりを感じるお話で、よかったです。

      文字が少なくて、ページ数もそんなに多くないので、サクッと読めました。

      私も、子どもが小さい頃は、公園でよく遊んでたんですが、最近はめっきり足を運ぶことなく、、、
      1人で公園にいるのも、ちょっと怪しい人になりそうですし、、、
      なかなか、カバヒコには会えなさそうです(笑)
      2024/02/12
    • Manideさん
      そう、aoiさんも、もう少しで感想書いたが、300冊ですよ!!

      aoiさんバージョンも作っておきました(^^)
      色違いなだけですが(笑)
      ...
      そう、aoiさんも、もう少しで感想書いたが、300冊ですよ!!

      aoiさんバージョンも作っておきました(^^)
      色違いなだけですが(笑)

      楽しみにしてますね。
      2024/02/12
    • aoi-soraさん
      300冊なんて、まだまだと思ってたけど…
      もう少しか!
      ありがとうございます(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      300冊なんて、まだまだと思ってたけど…
      もう少しか!
      ありがとうございます(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      2024/02/12
  • 大好きな青山さんの新作
    楽しみにしてましたー!!!
    カバヒコを通じての連作短編集です
    あっという間に読めました!


    アドヴァンス・ヒルの近くにある公園に佇む
    カバのアニマルライド
    自分の治したい部分を撫でると治るという
    その名もリカバリーカバヒコ
    どこかを患っている人たちが
    カバヒコの元へ行って撫でていきます


    でもカバヒコの力で治ったわけじゃなくて、
    カバヒコに話を聞いてもらったり、
    その近くの人から助言してもらったりして
    その人自身の気持ちが変わっていく、
    そして良くなっていくんですよね(^^)


    各章の感想を少々


    ◯湊斗の頭
    褒められたくて頑張るのは悪いことじゃないけど
    褒められなかった時に挫けちゃうだろ

    っていうセリフが刺さったー

    すぐ子どもたちのこととリンクしてしまうけど
    自分のために頑張れる子になってほしいな


    ◯紗羽の口
    これは引っ越したばかりのママとしては
    わかるー!って話でした。

    こっちに友達もいないので
    ママ友と仲良くランチ行けたらな…
    とか思ったりしたけど、
    子どもの友達の親は子どもの友達の親であって
    ただそれだけなんですよね
    気が合えば仲良くすればいいわけで。
    確かになー。なんか響きました


    ◯ちはるの耳
    これまた私事ですが
    元ウエディングプランナーでして。
    当時のことを思い出した話でした

    不安っていうのは立派な想像力
    という言葉がよかったです

    いやーあの頃の働き方はもう無理だな…


    ◯勇哉の足
    スグル君とても素敵です!
    やってみなきゃわからないっていうスタンスが
    すごいなーと。
    見習わないと!!

    ◯和彦の目
    そしてここまで読んでいると
    すでにファンになっている
    サンライズクリーニングの店主の息子さんの話

    クリーニング店でのおばあさんと
    息子目線で見るおばあさんとは
    全然違ってて面白いです

    年、年って
    それが悪いことみたいに言うんじゃないよ
    というセリフが沁みます

    不調は増えても
    その分経験も増える
    私も楽しく年を重ねていきたいです!!



    相変わらず優しい気持ちになれました
    青谷さんの作品は疲れた心の
    処方箋のような話が多いですね
    癒されたい時は青山さんですね!

    ガッツリ長編書かないのかなー
    読んでみたいなー

  • 青山美智子先生らしさ満載の内容でした。
    大好きです。こういうの。ただ感想として作り込みが強過ぎて上手く出来過ぎ。教材に向いているのかな?ちょっと大人向けではないのかなぁといった印象。
    繰り返しますが大好きですよ!こういうの。一章一章で完結も出来るし、次の章にも繋がる。所々でウルっときちゃう。流石です。でも、ここ最近の作品を読んでからだと、ちょっと物足りないかな。

  • 日の出公園のカバヒコ
    悩みや不安を解消してくれる伝説のリカバリーカバヒコ。
    5つとも緩やかにつながり、ひとつひとつの悩みが解消されていく。
    きっと我々の心の中にもカバヒコがいる。
    リカバリーさせるのは自分自身なのだから。
    それを気づかせてくれるのは周囲の人の中にあるカバヒコ。
    今回の青山美智子さんも優しかった。
    ありがとうございます。

    • アールグレイさん
      初めましてm(._.)m
      アールグレイと申します!

      沢山のいいね、ありがとう!
      本棚、ダッシュボードを拝見しました。レビュー率100%!素...
      初めましてm(._.)m
      アールグレイと申します!

      沢山のいいね、ありがとう!
      本棚、ダッシュボードを拝見しました。レビュー率100%!素晴らしいです!理想的です!
      ということで、フォローさせて頂きました。月4冊位という遅読で、詳しくないのにクラシックを聴くことが好きで、全くできないのにスポーツ観戦が大好き、という私です。
      何か、お薦め本などありましたらよろしく。
      2024/04/15
    • アールグレイさん
      Xのほうでも、フォローさせて頂きました
      (@^▽^@)
      Xのほうでも、フォローさせて頂きました
      (@^▽^@)
      2024/04/15
    • まいけるさん
      クラシックもスポーツ観戦大好きです。
      特に好きなのはモーツァルト、バロック音楽
      スポーツはラグビー、バスケ、野球が好きです。
      よろしくお願い...
      クラシックもスポーツ観戦大好きです。
      特に好きなのはモーツァルト、バロック音楽
      スポーツはラグビー、バスケ、野球が好きです。
      よろしくお願いします。
      2024/04/15
  • たまたまやん

    Σ(゚Д゚)

    人生になぁ「たまたま」なんてないんだよバカタレ!


    はい、というわけで青山美智子さんです
    カバヒコさんです
    もちろん好きな作家さんのひとりではあるんですが、未読作品もいっぱいあるし、わざわざ新刊に手を出さなくとも…と思っていたんですが、皆さんの評価も高く、なんかスルッと借りれたので読んでみましたよ

    新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル
    近くの公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説が

    だけどねなんか、カバヒコの力じゃないよなぁって思いました
    カバヒコをきっかけとして人と出会ったり
    カバヒコに悩みを打ち明けることで現状が整理されたり
    周囲や自分自身をちょっと見直すことで人生のリカバリーが出来ているんですよね

    自分の力です
    自分の力でリカバリーしてるんです!
    そこはみんな誇ろうよ!って思いました
    そのタイミングでたまたまカバヒコと出会っただけですよ!



    ってそんなわけないだろうが!
    たまたまの出会いなんてないんだよ!
    たとえそれがさびれた公園の古ぼけたアニマルライドだろうとな!

    だけどね、もしも人生に迷ったとき
    ちょっと落ち着いて周りを見渡せば、あなたのリカバリー・カバヒコは意外と近くにいるんじゃないでしょうか

    それは今まで話したこともない同級生の女の子だったり、近寄り難かったママ友だったり、信頼されてないと感じていたお客様だったり、ちょっとバカにしていたクラスメートだったり、長年連れ添った奥さんだったり

    きっとわいのリカバリー・カバヒコも近くにおるはずなんだけどな〜
    見つからんw

    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん

      カバディってあれでしょ?
      「カバディ、カバディ」っていいながらお尻にタッチするやつ

      いやん❤
      土瓶さん

      カバディってあれでしょ?
      「カバディ、カバディ」っていいながらお尻にタッチするやつ

      いやん❤
      2023/10/31
    • ゆーき本さん
      ホントみんな楽しくて大好きですよ♥️










      カバヒコのお腹サスサス…( ´ •ω•)੭"
      腹が白くなりますよーに
      ホントみんな楽しくて大好きですよ♥️










      カバヒコのお腹サスサス…( ´ •ω•)੭"
      腹が白くなりますよーに
      2023/11/01
    • ひまわりめろんさん
      ゆーさん
      おはよう!

      今日も早いね
      よし、また今日も一日頑張ろう!
      (演出された爽やかさ)
      ゆーさん
      おはよう!

      今日も早いね
      よし、また今日も一日頑張ろう!
      (演出された爽やかさ)
      2023/11/01
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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

青山美智子の作品

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