死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで (光文社新書 1299)
- 光文社 (2024年2月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334102265
感想・レビュー・書評
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「ネットカフェ難民」という言葉が出始めた頃、東京に行った序でにネットカフェの超狭い空間で1夜を過ごしてみた体験を労働組合の機関紙に寄稿したら、(大袈裟ではなく)数十人から「どうだった?」と聞かれた事がある。それ程までに、2000年代初め、若者が一挙にホームレス化を始めて、年寄り活動家はその動きについていけてなかった。その頃の私の「ロスジェネ」事情の師匠は雨宮処凛だった。「生き地獄天国」は、1人の若者がフリーター化し、貧困化し、右翼化し、市民運動家に化ける過程を描いて激オモだった。
あれから20数年、今年彼女は49歳だという。この間彼女は、ホームレスや非正規を助ける活動をする事で、自らも助けてきたと言う。
今も彼女はフリーランスのライターそして独身、つまり非正規である。ふと思う。働けなくなったら。お金がなくなったら。親の介護が必要になったら。それで仕事を続けるのが難しくなったら。そして自分が病気になったり入院したとき、頼る人もいなければどうしたらいいのだろう。
‥‥そうならない為に俺は大変な仕事をし家族も持っているんだ、という貴方(?)、そんな心配全然ないという貴方は、この本をすぐに閉じて次に行けば良い。私は残念ながら、多くは彼女の事情と被るから、この本の情報を得て図書館にいの1番に予約した。幸い予約3人待ちで1番に借りることができた。読了して後悔した。読むのに時間をかけてしまった。直ぐに返さなくっちゃ。これは1日でも長く図書館に「常備」しておかなくてはいけない本だ。これから図書館で買うという図書館司書の皆様、この本は2冊買って1冊は閲覧専用にしていただきたい。「お金がなくて、入院できなくて、仕事に就けなくて、明日死ぬかもしれない」という人に、必ずその日に必要な「情報」を届けなくてはならない本だからである。今は「情報」こそ命だ。例えば‥‥
今や携帯が無ければ就労もできない。実はブラックリスト入りしていても契約できる携帯がある。
奨学金のローンで、身も回らなくなっている若者は多い。2020年にできたばかりの制度に、返済の必要ない奨学金に加えて、授業料と入学金の負担が軽くなる制度がある、ということを私は初めて知った。
不幸はいつも、ありえない方向から、個別的、具体的にやってくる。それらを具体的に助けてくれる、役所の福祉課、福祉協議会、労働相談、NPO法人たちという処がある。けれども、彼らは全ての有用な情報を持っているわけではない。「万能選手」はいない。そして不幸の人を行政は見つけ出して助けてはくれない。いつも「申請」が原則。ここには、もうちょっと深掘りしてほしいところはあるにはあるけど、それ以上に大切な、だいたいどんな処に行って相談すれば良いか(役所や警察は「相談」すると、「窓際作戦」で追い返される事もあるので、その対処法も書いている)だいたいわかる様になっている。
金のない人たちにも、健康で文化的な生活を送るためにはこんな道があることを教えてくれる、正に「死なないノウハウ」なのである。 -
書店で気になり、イワケンのブログで見て、それなら読んど子ってことで入手・読了。特に独り身の方に有用な情報が盛りだくさんだけど、誰しもその可能性はある訳だし、知っておきたい内容ばかり。何かのときのため、本書の存在は心に止めおきたい。
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知識大事だなと。
手元に置いておく安心感。 -
困ったとき、相談できる場所を知ってると知らないとでは、こんなにも安心感が違うものなんだなと思いました。
制度等はそのときの情勢により変化していくと思いますが、知識を得る努力しようと思いました。 -
人生に恐怖を感じたら読むといい。
社会保障コーディネーター。 -
前作の「学校では教えてくれない生活保護」と比べてより広範囲に社会資源を知ることができた。
知識は身を助ける。そして正しい場所へつながることで明日への活路を見い出すことができる。 -
この本があれば、もし身体を壊したり仕事を辞めたりして困ったことがあっても、なんとか生きていけそうと思って心強かった。がん保険くらいは一個入っておこうかと検討したけど、自分的にはあまりメリットがない(貯金した方が良い)と思ったので契約までには至らなかった。ちょうどずっと気になってたボランティアにも参加して、頼れるNPO法人があることも知った。それを知っているかいないかで、生き死にが左右されるように思う。あとは国のセーフティネット(生活保護や健康保険、高額医療制度など)がこれからも維持してくれることを願うのみ。生活保護に反対している人たちって、自分がずっと健康で生活に困ることはないという自信があるのだろうか。それかよっぽどの大富豪?すごい謎。
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4.5
今読んでる本に「ファクトフルネス」って言葉が出てきます
ざっくり言うと世の印象による「思い込み」を排除し、数字を見ようってことな...
今読んでる本に「ファクトフルネス」って言葉が出てきます
ざっくり言うと世の印象による「思い込み」を排除し、数字を見ようってことなんですが、とっても大切なことですよね
不正受給を題材にした本をたくさん読んだり、報道や謝罪する有名人を目にすることで世に不正受給がはびこっている!って「思い込み」がちですが、実際には0.29%らしいです
このことによって本来貰っていいはずの人が申請しづらくなってる現実ですよね
あーでも窓口が不親切ってのも、わいの「思い込み」かも、窓口対応の「ファクトフルネス」ってなんだろ?
マンガ「健康で文化的な最低限度の生活(2)」によれば、
「生活保護利用者数216万人1053人、生活保護総額3兆602...
マンガ「健康で文化的な最低限度の生活(2)」によれば、
「生活保護利用者数216万人1053人、生活保護総額3兆6028億円、うち不正受給額190億5372億円、割合にして全体の0.5%(平成24年度)なのである。しかも、この巻後半で描かれているように、「不正受給者」のほとんどは制度説明の不徹底によるもので、裁判になるほどの悪質なのは100件と少ししかない。」とのことです。
私は2%だと記憶していたのであんな書き方したのですが、今や0.2%なんですね。
申請に一緒について行ったことがあるのですが、流石に窓際作成などは起こしませんが、それでもかなり事務的と感じました。決して、介護職員がお年寄りにする様に寄り添って会話することはありません。申請する方は、そうでなくても初めての経験でおどおどビクビクして、いろいろ言われると拒否されたように感じることはあるかもしれません。できたら詳しい人についてきてもらう方がいいかもしれませんが、できないならばこういう本で理論武装はした方がいいかもしれない。グレーゾーンの対処法など書いているからです。扶養照会は「扶養が期待できない」と判断されれば照会されない、とか、年金受けていても利用できる、とか、ペットがいても問題なく利用できる、とか、この本には書いてます。もっと他に問題は出てくるかもしれない。でも。自分に資格があるのならば、堂々ととって、いち早く自立安定して、GDPを押し上げる側に回った方が国のためにもなる。