- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334710873
感想・レビュー・書評
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吉敷竹史シリーズの長編11作目です。この作品は恋愛ミステリでしょうか。今回の吉敷刑事は、事件捜査の合間に元嫁を探します。どうみても私情捜査で、警察手帳をチラつかすだけでなく派出所巡査まで顎で使う不良刑事です。前作から推理が冴えて、探偵っぽくなったと思ったら、こんなていたらく。元嫁を探すトラベルミステリ進行で『北の夕鶴2/3の殺人』までの通子さんの背景をネタバレ回想していきます。スターウォーズ初期三部作の「帝国の逆襲」を見ている気分です。謎は提示した、続刊を待てという感じでしょうか?(1990年)
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今回起こる事件が単に吉敷刑事と加納通子とを再開させるきっかけに過ぎない事からも判るように、あくまで主題は吉敷と通子の2人の関係の修復である。
いや、正確には吉敷は通子の忌まわしい過去を取り払う憑物落しの役割を果たしている。
最近特に見かけない純愛を扱っているだけに通子の結婚恐怖症の重要なファクターとなっている麻衣子の自殺に関する解明が、どうも飛躍した発想に思えてならない。
非常に勿体無いと感じた。
島田氏の提唱する魅力的な謎の提示とその論理的解明が仇になってしまった。そんな印象を覚えた。 -
吉敷刑事シリーズ。
北海道での事件からさらに六年が経過してますが、いまだ元妻の通子の思い出に浸る吉敷刑事。
結婚した時は相当若かったし、通子も相当幼い感じで、しかもちょっと変わってる。
それでも忘れられない吉敷刑事は、ふと目にした彫金作品がきっかけでもう一度事件後の通子を捜そうとするのです。もちろん北海道からもいなくなっていたため、彫金作品のモチーフである羽衣伝説だけが手がかり。
そして、事件に絡んで偶然居場所を探し当て、しかも過去の通子がトラウマになっていた(藤倉兄弟との因縁のほかにもトラウマあったらしい)母の死にまつわることも解決し、いつかまたよりを戻すかも、で終わりました。
事件そのものよりも通子との思い出話満載で、なんと言うか、前回の事件でも思いましたが吉敷刑事は通子さん大好きなのね。とだけ。 -
めんどくさい人たちだなー。
恋バナだけ終わったらどうしようかと思ったけど、ちゃんと事件も絡んでたからよかった。 -
本書は著者の持ち味である奇想天外なトリックのようなミステリ的な巧みさ、凄さは全く味わえない一冊です。さらに、吉敷が通子の元へと足を運ぶきっかけとなった事件は、あっさり解決してしまいます。ただ、本書の肝は『北の夕鶴』で少し触れられた、通子の過去が明かされることにあり、シリーズを通した大河ストーリーを把握するためにも欠かせません。
なお、解説で吉敷シリーズの『夜は千の鈴を鳴らす』の一部ネタバレをしているので要注意です。 -
吉敷の担当する事件自体は平凡で、地道な捜査の部分以外には特に見るべき点はないという印象です。
単体でみれば完成度が低い作品なのですが、シリーズの集大成作「涙流れるままに」に繋がっていくので、避けては通れない作品です。 -
本書での道子の母親は30歳位との記述ですが、その後の涙流るるままにでは、確か25歳位で自殺する事になっています。
作者の思考過程の一端を見たようで興味深い一冊でした。 -
島田荘司のこういうの、好きだわー。