凶区の爪 (光文社文庫 た 21-1)

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  • 光文社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334720032

感想・レビュー・書評

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  • あとがきで作者も言うとおり、「横溝」風のミステリ。何故、死体は倉の壁に埋め込まれねばならなかったのか、というホワイダニットが中心で、それが解けると、犯人の見当もついてしまう。ただ、論理はそこまで緻密なものではなく、多少強引さも感じる。
    ちなみに普通だったら、死人はもう一人出たはず。それを巧みに回避したおかげで、結末は多少明るくなって終る。個人的にはこういうところが竹本ミステリのいちばんの美質。

  • 智久・類子シリーズ第1作目。
    映画にしたら映えそう…横溝正史の雰囲気。

  • 「牧場智久・武藤類子」シリーズの第1弾。

    牧場智久(まきば・ともひさ)は、17歳にして史上最年少で本因坊を獲得するという、囲碁史に残る業績を打ち立てます。この試合の世話人となった地元の名士・四条早雲(しじょう・そううん)は、試合後、智久を自宅へと招待します。智久の取材をしている雑誌編集者の槇村征夫(まきむら・まさお)とその従妹で智久と同い年の武藤類子(むとう・るいこ)、カメラマンの相原達也(あいはら・たつや)たちも、智久とともに四条家を訪れることになります。

    四条家では、山吹(やまぶき)、撫子(なでしこ)、桔梗(ききょう)という3人の姉妹が智久たちを歓待し、楽しい時を過ごします。しかし類子は、、最近になって早雲が妾筋の少年・石毛椿(いしげ・つばき)を家に呼び寄せたせいで、四条家の人間関係が複雑にもつれ合っていることを知ります。一歩智久は、試合の緊張から解放された反動なのか、熱を出して寝込んでしまいます。こうして図らずも四条家に滞在することになった類子たちですが、そこで奇妙な殺人事件が次々に起こります。

    地元に伝わる呪いの伝説をなぞるかのように、四条家の土蔵でバラバラにされた死体が発見されたのを皮切りに、16年前に四条家から姿を消した安樹の死体が発見され、さらに石蕗、撫子が次々に殺害されます。そしてついに、ようやく病から回復した智久が、椿に間違えられて犯人におびき出されてしまいます。すんでのところで命拾いをした智久は、たちまちのうちに事件の真相を白日のもとにさらけ出します。

    推理小説としての完成度と、キャラクターや物語の舞台の魅力が、うまく融合されています。

  • 牧場君の成長が見られておもしろいシリーズ。

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。

  • 動機の面からも本格ミステリの超王道的内容(真相暴かれて笑い出す犯人キター 笑)なので、コテコテを味わいたい方には良いと思うが、或る程度ミステリ読み慣れた人間には着地点が予想でき過ぎて多分物足りない(斯く云う自分もその一人…)。第一の事件の死体装飾は綾辻行人のアイディアだと、云われてみれば成る程納得。

  • 囲碁少年牧場智久君のシリーズ。冒頭と終盤しか活躍してませんが。基本にのっとったミステリでしたな。伝説の残る山村、資産家の屋敷、妖しげな美人三姉妹等など。智久君の終盤の詰めよりも、ずっと類子ちゃんの足取りの方が、気持ち悪く感じたなぁ。語り手側で、他人の屋敷で次々起こる事件を、半ば期待している風に見えた。そんな記述はどこにもないんだけど。もしかしたら、と蔵を何度も気にしたり、何もないことにホッとしたりする様が。どこかで期待はずれ、がっかりしてる風にも見えて。そしてそれを自覚していない。・・・ということを、読者と共感させようとしている。怖いねぇ。いっそ本当に物見遊山で他人事だからと見てくれたらいいのに中途半端に同情して無責任に推理してるし。

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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