白銀荘の殺人鬼 (光文社文庫 あ 31-6)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334736330

感想・レビュー・書評

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  •  サイコ・ミステリーと呼ばれる作品は現在まで様々読んできたが、今から20年前に刊行されていた今作こそあらゆる面で最高作品だと言えるのではないだろうか。
     そもそも二階堂黎人が好きで、たまたま古本屋にて出会った今作は、愛川晶との合作であり(愛川先生はまだ読んだ事がなかったが)あまりにも面白そうな謳い文句であった故購入し読むに至る。

     吹雪の中のペンション、切断されるライフライン、多重人格の殺人鬼と各ジャンルのいいとこどりの設定、わかりやすい登場人物と最後まで中だるみしないシナリオと魅力の詰まった作品だ。余り書けばネタバレになってしまうが数人殺した程度で「サイコパス」として恐ろしいと思っている様な現代のサイコ◯◯◯の様な作品は是非とも手本におすすめしたい!!(偉そうだ笑)しかしそれ程に完成度が図抜けている。

     主人公は立脇順一のもう一つの人格である「美奈子」であり、殆どは彼女の目線からストーリーが展開されていく。彼女は元々とある計画を考えており、その実行の為、福島県猪苗代のスキー場にある白銀荘というペンションを訪れる。
     登場人物はペンションのオーナー夫妻や建設会社の一行、女子会のグループ等。人数も多く、物語が進捗するにつれ、とてもスリリングに展開されていく。
     トリックも様々使われておりクローズドサークルや叙述トリック等色々あるが、誰がどの様に殺害していったのかを「多重人格殺人」というベースを用いて読者をまんまと欺いている。

     最終章につれ、明らかにページ数が足りないだろうと思ったのだが、まさかの結末に。この様な締め方があるのかと度肝を抜かれつつ、サイコものとしてもミステリーとしても余りにも完成度の高い作品だった。
     短期間で集中して読んだわけだが、とある理由により思わず一部を読み返してしまった。久しぶりに気持ちよく騙された作品で、圧倒的な作品が読みたい人におすすめの一作だ。間違いなく衝撃を受けるし、完全に「美奈子」に読者の視線を投影させているからこそ最後の数ページの満足感が増している感覚だった。

     絶対よむべし!!傑作で間違い無し。

  • サイコサスペンスなんだけどミステリヽ(*´∀`*)ノ.+゜♪.+ちゃんと二階堂らしい伏線がいっぱいだったのです(* ´ェ` *)読了後自分で補完しないといけない部分もあるけど、それ以上に真相が気になってどんどん読めてしまったのです( ´∀`)ただ、途中のエロ表現は気持ち悪くなるかもだったのですね(´Д`;)期待通りの殺人鬼跋扈は心理描写がなかなか今まで読んだことない部類で清々しさすらヽ(〃Д〃)ノ

  • うーん。ちょっと期待はずれ。
    主人公が多重人格なのは面白かったんだけども…。
    ラストの探偵役とかが薄すぎて…なんとも。

  • 白銀荘の殺人鬼
    愛川晶/二階堂黎人
    読了しました。
    すぐ読めました。愛川晶さんは初めましてでした。
    2人の共作です。
    サイコなのです。
    殺人鬼なのです。
    理由なく殺していくのです。
    古本屋で題名と、二階堂黎人の名を見てすぐ読みました。次回の読書予定は数あれど、圏外からの割り込みでした。

  • 愛川晶と二階堂黎人による共作のミステリ。いわゆる,雪の山荘タイプのミステリ。いわゆる多重人格モノでもあり,主人公である立脇順一には,美奈子と晴代という人格が存在し,美奈子と晴代が立脇順一という人格を抹殺するために,立脇順一の体を利用して連続殺人を計画する。
    このメインストーリーの中で,「黒岩薫」という人物の性別が男性と思わせておいて,実は女性であるという叙述トリックが用意されている。さらに「黒岩薫」は,「嶋山佳織」という人物と,一人二役を演じており,立脇順一だけでなく,黒岩薫も殺人鬼であった。
    共作らしく,やや込み入りすぎたプロットになってしまっている。こういう,トリックとプロットだけを重視した,小説というより,推理クイズっぽいミステリは嫌いではないけど…★3で。

  • 設定は斬新で良かった
    ただ最後まで晴代が何でああ言ったメモを残したのかが分からなかった

    黒岩の最後の独白も謎
    読み間違える云々言ってるけど…
    書いた本人が読み違えるって発想はどうなんだろう?

    すっきりと解決しなくてもやもや感が強く残ってしまった

  • サブ人格「美奈子」が、メイン人格「順一」を抹殺する為に大量殺戮しショックを与えようと企むのですが、自分以外の人格の時にも殺人が行われており、何が起こっているのか確かめるべく探偵役も兼ねる…という前代未聞な設定が良かったです。犯人はテンプレ的な伏線で予想ついてしまいましたが、プロットに色々工夫が織り込まれているので一定の楽しさは味わえました。
    ラストは、期待していた結果の方向性がズレたところに着地してしまい、中途半端な読後感でした。

  • 愛川晶氏と二階堂黎人氏が合同のサイコ・ミステリー。

    多重人格に苦しむ主人公、閉ざされた白銀荘で起こる殺人。
    殺人を行っていく心理や状況を細かく書く描いており読み進める手が止まらくなる。その中で伏線が張り巡らされているのがさすがだなと思う。
    ただ解決編があっさり過ぎるかな?という印象だった。

  • クローズドサークルものは大好きだけど
    多重人格設定は好きになれない。
    けっこう凝った作りだと思うけれど個人的には犯人視点じゃなくて
    純粋な推理モノだったらもっとよかったと思う。

  • 2004年2月17日読了

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著者プロフィール

愛川晶
一九五七年福島市生まれ。九四年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞。トリッキーな本格ミステリーを基調としながら、サイコサスペンス、ユーモアミステリー、人情ミステリーと幅広く活躍。主な作品に『六月六日生まれの天使』『ヘルたん』『再雇用されたら一カ月で地獄に堕とされました』。落語ミステリーでは、『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』など「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズ、『神楽坂謎ばなし』など「神楽坂倶楽部」シリーズ、『高座のホームズ』など「昭和稲荷町らくご探偵」シリーズがある。『太神楽 寄席とともに歩む日本の芸能の原点』(鏡味仙三郎著)では編者を務めた。

「2023年 『落語刑事サダキチ 泥棒と所帯をもった女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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