- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334738556
作品紹介・あらすじ
父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、七年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに!激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが-。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か。
感想・レビュー・書評
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父親の実験の道具とされ、ある部分で人よりも優れた力を持つ動物の能力をフィードバックされて生まれてきた遙。初めは小さな女の子として登場する。彼女が辿る過酷な運命を描いていく物語である。こんな力を持っていては圧倒的な孤独にならざるを得ない。とはいえ彼女に寄り添う高橋シスターや神崎の存在は読む者にとっては救いである。突然現れたトオルの存在もー。しかし、この出会いの後、とんでもない出来事が起こる。
特殊な能力を持った人間の物語でありながら、我ら凡人にも生きる意味とは何かということを突き付けてくような思いがしてならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恩田さんの描く特別な能力を持った人々となると真っ先に思い出すのは常野由来の人々だと思います。彼らの中には一人で複数の能力を持った人もいましたが、基本的には何か一つ。しかも「裏返す」とか抽象的な力ばかりで、今一つ理解し難いものがありました。それに対してこの本の主人公が与えられた力は我々が抱くいわゆる超能力の世界。ただし、それが人工的に作り出されたという設定。それが故に怪しい組織に追われ、超能力を持つが故の果てしない孤独とも闘い続ける少女の葛藤が描かれます。そして、ここに恩田さんは彼女と共闘する存在として犬を与えました。名作アニメに登場するヨーゼフやパトラッシュ、あの世界観が真っ先に頭に浮かびました。
舞台は小さな世界からどんどんと話が大きくなって、遂には冷戦後の核管理問題、東南アジアに残された地雷問題と出だしからは想像だにできなかった世界観へと激しい展開を見せます。中盤の展開などまさしく劇画調。こんな恩田さんの描く場面というのも貴重かもしれません。恩田さんがこれらの問題に敢えて対峙しようとされたのかどうかは分かりませんが、いずれもこの本の書かれた2000年前後にはニュースでも大きく取り上げられることが多かったいわば社会問題の数々です。あまりに予想外の内容に呆気に取られてしまいました。
そんな背景の前でヒロインである伊勢崎遥の存在がどんどん神がかって輝いて見えるように感じてきました。実のところ〈劫尽〉という字が読めませんでした。読み終えた後、併せて意味も調べましたが、実に的確な書名だと思いました。途中の彼女が落ちていく救いのない展開に心を痛めましたが、最後に恩田さんが描いてくれた納得感のある、そして救済感のある結末に自身の心も救われた気がします。
そもそも書名が読めなかったくらいなので全く期待していなかった作品でしたが、とても気に入りました。常野由来の人々のお話のような、いわゆる恩田さんらしい作品からは少し違う立ち位置にある作品だと思いますが、これはこれで楽しめたと思います。 -
章ごとの展開が驚くほど急❗️
最後がよくわからない。 -
最後が。。わたしにはわからなかった。。何がどうなったのこれはー!?涙
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少女ー伊勢崎遥は“フランケンシュタイン”だった。
彼女の父、伊勢崎博士は人間の能力を飛躍的に伸ばす遺伝子操作(だと思う)の研究を組織で行っていた。そしてその成果を自身の娘である遥へと施し、組織を逃げ出した。同じく実験で生まれた天才犬アレキサンダーとともに、遥は組織に殺された両親の仇をとるため、そして自分が生きて行くためにその手を血に染めて組織を壊滅へと追い込んで行く。
組織ーZOOー、それと反する米軍、米軍で保護されていた双子の弟の存在、そしてカンボジアでの運命の再開。
彼女の能力は危機に見舞われるたびに人智を超えたものへと変質していく。
全てを焼き尽くせ、父のその言葉通り少女は世界を焼き尽くすのか。
ラストは相変わらず読者に委ねる、というのか、広がりだけを示唆して終わる終わり方でした。私は好きです。
ただ何人かのへビューでみた通り、アレキサンダーにもう少し出番があればなと。 -
動物並みの能力を授けられた女の子の戦い。読み物として面白かった。
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父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、七年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに!激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが―。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か。
「劫尽」の説明は物語中盤を過ぎた頃に起こる大厄災を象徴する言葉として出てくる。「こうじんか、劫尽火」、悪いことをすると地獄の劫火に焼かれるその火のこと。世界が崩壊する時に、世界を焼き尽くす火のことでもある。
この単語の意味を知らなかったので、単純に身体能力が高い子供、と思って読み進めていたので驚いた。こんなにも分かりやすいタイトルだったとは。
よくあるラノベのような設定で、最後はいつものメンバーでほのぼの終了かと思いきや全くそうではなかった。
あとがきで外園先生も言っていたが一章から「えー!」と思わされ、二章で更に「マジか!」と驚く。そして最後は語り過ぎず読者に今後を委ねる。
ちっとも詳しく教えてくれない。最後まで生き方と言う重たいテーマを抱えた少女の物語。すごい能力でも役に立てるって難しい。なにが正義か分からないのに利用されているのかしているのか。
最後までアレキサンダーが寄り添ってくれていたのが救いだった。 -
漫画っぽくて斬新だった
1章ごとに区切りがよくて、短編を読んでいる気分
遥の精神年齢大人すぎて、もう少し幼さが欲しかった。
ハンドラー何人おるん…