ひなた (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334744281

感想・レビュー・書評

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  • 一組の夫婦と一組のカップル(その夫婦とカップルの男は兄弟)の春夏秋冬。
    それぞれの関係、それぞれの家族との関係、それぞれの仕事仲間との関係、そして少しの秘密。

    日々生きていて、ものすごく大きな事件や出来事というのは、滅多に起こるものではない。どちらかというと淡々と過ぎることが多く、その中に嬉しかったり悲しかったりする出来事がある。
    でも、1年ってけっこう色んなことがあるんだよね、ということをしみじみ思う小説だった。
    それぞれの春夏秋冬を4人の視点で順番に描いていて、ある者は就職して新しい生活がスタートし、ある者は仕事を辞めることを決め、ある者は親友の借金の肩代わりをし、ある者は自分の出生に関わる人物に会いに行く。
    4人それぞれの比較的大きな出来事を羅列するとそういうことになるけれど、それ以外にも日々様々な出来事があって、その積み重ねでまた季節が一巡りする。

    1年って早いなって毎年思う。時々戦慄する。何もしていない、何も変わっていないような気がする。
    でも振り返ってみるとけっこう色んなことが起きている。
    引っ越したり、旅行に行ったり、家族が病気になったり、プラスからマイナスまで、人から見たらとるに足らないような出来事の連続だったりする。

    読んでいて、みんなすごく普通なんだけど、普通の人生なんてない、ということも思わされたりして、基本的に暖かくゆっくりした流れなのだけど、その時どきをきちんと生きるって大事だな、と思った。
    「ひなた」っていう題名、とても合ってる。

  • 吉田さんの本は【横道世之介】に続いて2冊目。
    【横道世之介】がとっても面白くて(ちなみに☆5つつけてます)、他の本も読んでみたいと思っていました。
    4人の男女の四季を描いているのですが、この本、じんわりと良い感じです。
    迷ったり、傷ついたりしつつ、しあわせって手を伸ばせばそこにあるのよね…

  • 大路家の兄弟、浩一と尚純。浩一の妻桂子と、尚純の彼女の新堂レイの、それぞれの日常がそれぞれの視点で描かれている。
    人との関わり。少しずつ動いていく家族関係。
    この人の書く人間模様は淡々としているけれど、どこか温かくて好きです。
    自分の居場所について、しあわせについて、ゆっくり考えたくなった。

  • ゆっくりとすすむ、4人の男女の視点の物語。
    吉田修一の小説は、貧乏と温かさ、裏切りと愛がいっぱい。
    だけど今まで読んだ中では吉田修一らしい表現も少なく、読み応えは普通だった。
    この後、主人公たちは今までと変わらない姿を他人に見せながら、少しずつ変化していくのだと思う。例えば不倫の精算、出世、両親への想い。

    人間の考えることは複雑すぎて言葉にしづらい。
    言葉にしたところで、伝えられてるかも分からない。
    私は身近の人の本当の気持ち、なにも知らないんだろうな。

  • 人物の描き方に特徴があり、すぐに引き込まれて楽しんだが、一週間ぐらいたつと何の話だったっけ?と、すっかり忘れている始末…そういう点であまり人にはオススメできない。

    人にはそれぞれ秘密?影?…言葉にすると軽いけど、何らかの苦しみがあり、それを他者と共有することは決してできない。
    でもくさらず、絶望せず、淡々と生きていく。ひなたに向かって。

  • 思い違いでなければ
    THE吉田修一って感じ。

    幸せな家族の中にあるねじれ。
    それが決して寂しいわけでも恐ろしいわけでもないんだけど、じわじわくる。

  • 読み終わったらこの表紙の絵と題名がなんかしっくりきた。色々な家族や悩みを持ちながらも試行錯誤しながら過ごしていく・・・色々な感情が入り交じった作品でした。

  • 本当の気持ちに蓋をした上に成り立っている日常は、いつでも壊れてしまうくらい脆いのかもしれないけど、不安定ながらたんたんと毎日が過ぎていく。完璧な幸せなんて本当にあるのかないのか。。。。

  • 吉田修一の言葉にはいつも引き込まれる。

    著者の作品『パレード』のように、ラストに何かが待っているのかと思いながらページを進めていた。
    しかし4人ともラストは余韻を残して終わっていたので、少し意外だった。

    レイと尚純の実家の差、ずっと専業主婦だった桂子の母…
    普段生活してて誰もが何気なく考え、比較してしまう部分が細かく描かれていた。

    出てくる登場人物皆、何かしら悩みを持っており、心から幸せだと胸を張って言えそうにない人ばかりで、安心して読める作品だった。

  • 家族という日向を描いているのでしょうか?また、誰しも人は陰差す部分がありますが、物語に付け加えすぎではないかい?ちょっと理解しかねます。何を伝えたい物語なのかと

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。
1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。
2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。
その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。体当たりの演技を披露した広瀬すず出世作としても名を残すことになる。

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