見えない貌 (光文社文庫 な 1-31)

著者 :
  • 光文社
3.57
  • (3)
  • (9)
  • (6)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 71
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (667ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746285

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • +++
    最愛の娘が行方不明の末、惨殺死体で発見された!母親の朔子は、携帯メールから娘の孤独を知り、愕然とする。そこで彼女は、娘の携帯に残された「メル友に会いに行く」という言葉から、ある男に辿り着くが…。思いもかけぬ、第二の事件が起きる。わが子を思う究極の愛とは!?―著者が綿密な取材と法廷小説の手法を駆使して、読者を驚愕の真相へと導く推理巨編。
    +++

    初出は2004年である。スマホなどまだなく、二つ折りの携帯の小さな画面で、パケ代を気にしながら、初めて体験するネットの世界を興味津々で泳ぎ回っているころである。日常に小さな鬱屈を抱いている人々が、小さな画面の中で見知らぬ誰かと出会い、一時の夢を見ようとしたばかりに、いざ現実に引き戻されると、痛ましい事件に発展してしまう。あの時代のネットのわくわく感と危うさが絶妙に描かれていると思う。そして、二組の親子が大きなうねりに巻き込まれている。母と娘、父と息子。わが子を守ろうとする親の思いの執着があまりに強すぎたために、第一の事件とは別の次元に進んでいく。前段は、殺された晴菜の母・朔子の目線で、後段は、加害者弁護士のタマミの視点で物語を見ることになる。どちらにしろ、救いはどこにもない。目の前に示されたものから推測されることと、事実との乖離。一度思い込まされたものを覆すことの難しさ。さまざまなことを考えさせられる一冊でもあった。

  • *最愛の娘が行方不明の末、惨殺死体で発見された!母親の朔子は、携帯メールから娘の孤独を知り、愕然とする。そこで彼女は、娘の携帯に残された「メル友に会いに行く」という言葉から、ある男に辿り着くが…。思いもかけぬ、第二の事件が起きる。わが子を思う究極の愛とは!?―著者が綿密な取材と法廷小説の手法を駆使して、読者を驚愕の真相へと導く推理巨編*

    途中までは予想通りの展開でしたが、まさかの・・・!二段構えに見事に騙されました。登場人物の描写がしっかりしていて、それぞれどの人物の気持ちも痛いほどにわかってしまう、そんな作品でした。読み応えたっぷりです。

  • 評価は2.

    内容(BOOKデーターベース)
    最愛の娘が行方不明の末、惨殺死体で発見された!母親の朔子は、携帯メールから娘の孤独を知り、愕然とする。そこで彼女は、娘の携帯に残された「メル友に会いに行く」という言葉から、ある男に辿り着くが…。思いもかけぬ、第二の事件が起きる。わが子を思う究極の愛とは!?―著者が綿密な取材と法廷小説の手法を駆使して、読者を驚愕の真相へと導く推理巨編。

  • 母親の執念のなせる技か? 「娘のために」という一心で自分でなんとかしようする。
    娘の携帯を見つけたところで警察に行きそうなものなんだけどね。
    一方、父親は息子のために自らを犠牲にすることに。
    どちらの親子も愛情は感じるが、極端で行き過ぎているのが怖い。

  • 途中で結末は予想できたが…。どうなるのか気になる!感はなかなか。
    読み終わった後は竹内まりやの『シングル・アゲイン』のエンディングで…。

  • 読み始めて、話にのめり込んでいくごとに、奥が深くなっていく小説だった。

    初めは、ソーシャルネットワークにおける単なる殺人だと思っていたが、それが被害者と加害者の親によってあらね方向に、事件が展開してしまった。

    でもその真相を知るのは話の後半で、私はほんとにびっくりした。この小説の登場人物と同じように、ハコとメールのやり取りをしてたのは、永沢悟だと思ってたから。

    朔子も悟も、被害者と加害者であるそれぞれの子供を思うあまりに行い、自分が犠牲になってでも子供を庇う姿がなんとも胸に突き刺さる。

    永沢側は控訴して話は終わってて
    「ええーー。これで終わり~~?」
    と続きがどうしても気になる終わり方だけど、
    きっと夏樹さんは、どっちの親の気持ちも分かりすぎたからか、読者にそれからのストーリーを考えてもらいたいから、ここで話を終わりにしたのではないか。
    そう思うと、この終わり方でよかったのかもしれない。

    朔子が晴菜を思う気持ちと、永沢悟が彰を思う気持ち、それは形が違うかもしれないが、どっちが強く、どっちが素晴らしいと言えるものではない。

    あぁぁぁ、とっても重い話だった。

  • 数ページ読んだところで、前に読んだことがある!と思い出しましたが再読。
    犯人解ってても読ませるのはさすが作者の力か!
    事件に巻き込まれる既婚の娘を可哀想に書いてる部分もあるけど、私は共感できず。
    自業自得の部分もあると厳しく読みました。

  • 最愛の娘 晴菜(ハコ)が、行方不明の末 湖水から死体で発見された。
    母親の朔子は、ハコの行方を捜すとともに自分の知らなかったハコの一面・孤独な心を知り愕然とする。

    娘を思う母の愛、息子を思う父の愛、母と父それぞれの究極の愛情によって起きてしまった第二の事件。

    最後の最後まで真相が見えない、わからない作品でした。

    親の子に対する己を犠牲にしてまでの深くセツナイ愛、ハコと望のストレートで危うい愛、朔子と陶芸家秋元のプラトニックなだけどお互いの心の深い部分を理解し合える愛、様々な愛情が描かれていました。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九三八(昭和一三)年東京都生まれ。慶応大学在学中に長編『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補に選ばれる。七〇年『天使が消えていく』が再び同賞の候補になり、単行本化され作家デビューを果たす。七三年『蒸発』で日本推理作家協会賞、八九年に仏訳『第三の女』でフランス犯罪小説大賞、二〇〇七年日本ミステリー文学大賞を受賞。主な著書に『Wの悲劇』『』や「検事 霞夕子」シリーズなどがある。二〇一六年没。

「2018年 『77便に何が起きたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夏樹静子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×