- Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334753207
感想・レビュー・書評
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ムイシキン公爵とロゴージンと美女ナスターシャをめぐる三角関係の話。ロシア人は登場人物が欲望のまま行動するところは興味深いと感じた。幸せとは何か?を考えさせられる。ドストエフスキーの抱えていた苦悩もよく表現されていると感じた。
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ナスターシヤとお友達になりたい
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■主人公ムイシキン公爵は自他ともに認める”白痴”。だからタイトルはこうなったんだろうが、内容をもっと正確に言い表すと『ひとりの白痴と大勢の狂人たち』になるはずだ。
■たとえばナスターシャ。
①トーツキーの縁談の話を聞き及ぶやいなや豹変し、ペテルブルクまでやってきてヒステリーを爆発させる。トーツキーはそれ以来ナスターシャを心底恐れ、彼女の影から逃げつづけている。
②衆目の見守るなかで10万ルーブルの札束を暖炉にくべ、褒美と称してガーニャに素手で拾うよう命令する。手を出そうにも出せないガーニャは哀れ、葛藤のすえ心が引き裂かれて気絶する。
③ロゴージンと結婚直前までいっては恐慌をきたして逃げ出しムイシキン公爵のところに身を寄せ、またシレっとロゴージンのところに舞い戻っては同じことの繰り返し。振り回され続けて嫉妬に狂ったロゴージンはムイシキン公爵を刺し殺そうとまでする。
■それからロゴージン。
①ナスターシャをひと目見た瞬間のぼせ上がり、以降はただひたすら狂ったようにその熱愛をかたむけ続ける。親の莫大な遺産を継いだばかりでナスターシャのためなら金に糸目を一切つけない。胡散臭い一党を引きつれ、ナスターシャの護衛として配備する。
②ナスターシャ本人にではなく、ナスターシャに近づく男の方をストーカーする。隙あらばナイフで刺し殺そうとする。
■『白痴』は全部で四部構成。第一部(本書)では、たまたま列車内で向き合って坐ったムイシキン公爵とロゴージンの会話を端緒にして、そこに絶世の美女ナスターシャが絡み、たちまち愛憎の三角関係が燃え上がる。”白痴”×”狂人”×”狂人”。常軌を逸した言動の連続に読者は言葉を失うだろう。
■しかし……。第二部の中盤あたりから正直言ってうんざりしてくる。なぜといって登場人物たち(上記以外の”狂人たち”を含む)のモノローグがいくらなんでも冗長すぎるのだ。奴らはそれぞれ消化すべき割り当てがあるとでもいうのか、長広舌を繰り広げてはお話を停滞させる。たとえば死にかけのイッポリートの告白。それからホルバインの画の講釈。プーシキンの詩のパロディも。第三部の出だしなんてひどい。レーベジェフの弄するご託はもう勘弁してくれ。あとイヴォルギン将軍の虚言妄動もねェ……。読んでる方ではまたかとなってその都度閉口してしまう。ぼくはもう読み飛ばし、読み飛ばしをせざるを得ないくらいで、苦痛だった。
■狂ったような激烈な展開か、あるいはいつまで続くかわからないだらだらした独白か……。ブラッシュアップしたら迫真の愛憎劇になると思うんだけどなぁ……。残念。 -
最後のナスターシヤの(一見、狂ったとしか思えない…)知性と不安定さと歪んだ愛に満ちた言動は衝撃的としか表現の仕様が無い。公爵も非常に魅力的だが、アグラーヤやワルワーラといった女性たちの「人の本質を見抜く力」や、周りに流されない信念の強さも印象的で、同じ女性として色々考えさせられた。早く第2巻を読みたい!
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著者本人の体験も交えて、なかなか手に汗握る内容だった。
とくにナスターシャの行動や身の振り方は、二巻以降どうなってしまうのか気になる。 -
感想は全巻読後に。(主人公って本当に白痴?、十分知的な人に見えるが? が初巻の印象。ナスターシアの方が余程。。)
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ここまで無垢な主人公も珍しい。
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読了して臨んだ亀山郁夫先生の読書イベントで、ナスターシャの謎、翻訳の深さを伺ってそのまま再読。新訳ではムイシキン公爵の、無垢だが特異な様が生きていると感じる。イエス・キリストと重ね合わせて描かれるとされるムイシキン公爵は、私にはただの善良な白痴には思えない。結末を知っていても尚、新訳の続刊が楽しみだ。