- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334765767
感想・レビュー・書評
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全然嫌な女では無かった。
本の中に出てくる色々なフレーズが、弱っている自分の心に突き刺さってきました。
いくつか、付箋を付けて読み返したいと思うくらい。
ほんのりうるうるっときて、ずっと和やかな気持ちで読める本でした。
ドロドロを期待して購入した本で、思いっきり期待を裏切られたのに、後味もいい感じです(*^^*) -
桂望実さんの本は初めて読みました。
【嫌な女】という、何とも興味をそそるタイトル~(笑)
小谷夏子は生来の詐欺師。
絶世の美女というわけではないのに、人を惹きつけてやまぬ魅力がある。
そんな彼女の遠縁にあたる石田徹子。
夏子と徹子は同い年。
弁護士になったばかりの徹子24歳の時、17年ぶりに夏子から「助けてほしい」との依頼が舞い込む。
何とか問題を解決した徹子。
その5年後再び、夏子から連絡。
そんなことを繰り返すうち、二人は71歳に。
物語は徹子の口から語られるだけ。
徹子から見た夏子だけが登場する。
徹子のダメっぷりにほんと「嫌な女」だと思いつつ読み進めた前半。
夏子の問題を解決する徹子にも、色々なことが起こり…
後半はどんどん徹子に感情移入していく。
どんどん面白さが増して、後半は一気読みでした。
桂望実さんの本、もっと読んでみたい! -
愛おしい人。
ページをめくるたびに感じました。
素敵な作品ですね。
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NHK-BSのドラマになった時から少し気になっていたのだけれど、ここに来て手にする。映画化に合わせて吉田羊と木村佳乃が表紙のカバーになってしまい、手にしてレジに行くのがためらわれたが、仕方がない。
弁護士の徹子と、その遠い親戚の夏子。
男好きがして男を手玉に取る術に長ける夏子が何年かおきにトラブルを発生し、その都度、徹子がお尻を拭くことになる。
24歳から71歳まで描かれる長い年月の流れの中で、二人の女性の変わらない本質と変わっていく生き様がつぶさに描かれる。
自由奔放に年老いてまで可愛い女として生き続ける夏子と人生に虚しさを抱えながらも弁護士としてのキャリアを積んでいく徹子。
後半は、特に、夏子が何をしでかしたかということよりも、そこに巻き込まれた人々と徹子とのやり取りを通じ、泣き笑いが出るような達観が示される。
生きるということについて、、、
“多くの人が満ち足りない想いを抱えているって、知らなかったのよ”
“自分で気付くしかないのだ。願った通りの人生を送れていなくても、うまくいかないことが多くても、その現実と上手く折り合いをつけていくしかないということは”
“受け入れるのは、悪いことではないのかも”
“丸ごと受け止めておしまいなさい。気に入らないことも、哀しいことも。そうすれば、きっと生き易くなるわよ”
“「幸せか」と尋ねられて、「そう言えば、そうだ」と気付くくらいがちょうどいいようだった”
“苦しくても、虚しくても、明日を迎えて生きる。そういうもんなんだとわかったら、呼吸をするのが楽になったの”
老いるということについて、、、
“もう充分生きたって思える人なんて、いないの”
“私もちゃんと人生の閉じ方とやらを考えなくてはいけない年齢だ。どうやって閉じたらいいのだろう。したいことが浮かばず、私は愕然とする。”
“ずっと変わらずにいることは、出来ませんよね。そうわかっていても、願ってしまいますね”
仕事についても、、、
“弁護士の仕事って、やりがいを求めてはいけない領域のものだと思ってる。…感謝されることを目的にしてはいけないし、期待してはいけないと思ってる。ただ、ベストを尽くすだけ”
人生における楽しかったランキングというのを考える時、私には何が楽しかったのだろう?
妻のこと、子供のこと、親兄弟のこと、仕事のこと、趣味のこと、小さかった頃のこと、学生時代のこと、会社に入ってからのこと、、、何を楽しみに今まで生きてきたのだろうと、今更ながらに戸惑ってしまう。
宝くじで100万円当たったら、何に使うだろう。今時100万円では夢も語れないように思うけど、だったら幾らなら夢が語れるのか?
つまらない人生、平凡な人生、だけどもかけがえのない人生…。
生きること、働くことに対する悶々とした思いに対し、確かな励ましを伝えてくれる物語であった。 -
詐欺し紛いのようなことをしている夏子。ほとんど登場せず関係者の口からその言動が語られてるだけなのに圧倒的な存在感を放っている。
夏子ほど極めてなくても、こういうヒト、いるなぁとちょっとザワザワした気持ちになりながら読んだ。
弁護士という仕事についての主人公の想いが深い。 -
どう生きるかを考えさせられる箇所がいくつかありました。遺言を残すシーンでは遺族じゃなくてお世話になった人や自分の人生に関わってくれた大切な人にメッセージを残す、それも素敵だなと思います。死までの準備期間がある、ある意味では幸せなことなんだろうなとも思いました。
そして夏子の自由奔放ぶりを読んでいるうちに次はなんだろう?と夢中になりました(笑)夏子の生き方が少し羨ましいです。
全体的に読みやすくあっという間に読み終えました。