- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334765781
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
番匠と松浦の息をつかせぬ攻防戦が見応え抜群でした。
相変わらず独自の設定を生かして書くのが上手いなぁと思う。それありきと言ってしまえば元も子もないが、それだけに留まらないスケールの大きさを感じる。 -
一党独裁の管理国家。治安警察間の番匠と反政府組織の戦略家松浦。
どんな形態の国家でも支持する側と反対する側が存在するのは不思議ではない。現行を是としているのが良いのか悪いのかなんだか良くわからなくなってしまった。
それは置いておいて、二人の人間の頭脳のぶつかり合いには驚嘆する。推測し瞬時に対策を取り実行に移す、この素晴らしさったらない。敵にしたくない人達である。 -
小6男子が「女の尻を追いかけ回す愚劣な人間になってしまったんです。」っておもろ過ぎるやろ笑
松浦視点でも物語を読みたい
松浦が何故反政府なのかどういう国にしたかったのかめっちゃ気になった
石持浅海作品2冊目で1番好きな作者に決定した
冒頭ニ作が特に好き -
新しい日本の近未来を独創的な内容での小説かなと思っていましたが、後半などは普通にハードアクション小説。
新しい死刑制度や進級制度などは面白いからもっと幅を広げてほしかったな。
読みやすいので星二つ -
一党独裁政権下の日本を仮想したような国家における治安維持警察と反政府組織のテロリストの話。
もしかしたらありそうと思わせながらも実際にはあり得ない設定は三崎亜記氏を彷彿させる。
どちらのリーダーも非常に頭が切れるので、相手の手の内の読み合いに力が入る。
冷静なようで正義感と人情味に溢れる番匠の魅力に惹かれていたので、最後はちょっと残念な終わり方でした。 -
この国の通ってきた道、政策が正しいのかどうかはわからない。しかし、治安警察官の番匠も反政府組織の松浦もこの国を愛していたのは間違いないと思う。
-
2016年11月24日読了。
2016年108冊目。 -
“この国”の治安警察官と反政府組織の頭脳戦。
公開死刑が国民の娯楽となり、小学校卒業時に将来が決められる。
そんな国を守る側と、国に反発する側。
国のためを思うがゆえの戦いの結末とは・・・。
“この国”が具体的にどこなのかは示されていませんが、どうしても日本に置き換えて読んでしまいます。
こんな国になったら…ありえそうな、怖いような。
公開死刑や小学生の話、それぞれ独立した章で構成されているので、読みやすかったです。
途中から私は反政府組織の応援をしている自分に気が付きました。 -
一党独裁の国家「この国」で,治安警察の番匠と,反政府組織の戦略家・松浦の頭脳戦を描いた連作短編集。
らしいが,いつもの石持作品と比べると,あまり頭脳戦っぽさは感じないし,管理国家の割には皆わりと楽しそう。 -
一党独裁のこの国では、国家に対する反逆は死刑で、小学校卒業時に将来がほぼ決まり、売春宿は国営…と設定はすっごくおもしろい。けど展開が読めてしまう上に吸引力が弱く、いまいちハマれなかった。この作家さんなら「三階に止まる」のほうが断然オススメ。
-
長らく一党独裁政権が続くある国を舞台としたディストピア小説。
明治維新後、極端な社会主義と法治主義を貫いてきた21世紀の日本という風情、北朝鮮テイスト。
治安警察官の番匠が遭遇した事件を解決していく連作短編集。
あらすじと1話目の印象から番匠対松浦という構図で続くのかと想像したが、番匠が様々な事件を解決する形式だった。
『ハンギング・ゲーム』
反政府組織のリーダーの公開処刑当日、つつがなく処刑を完了しようとする番匠とリーダー奪還を目指す松浦の対決。
展開、オチ共にこれが一番スッキリ読み終わった。
『ドロッピング・ゲーム』
この国では能力に応じて進学する中学が決定され、その後の人生が決まる。
とある小学校で起きた児童転落死事件を番匠が解決するが、
海外からやってきた担任教師の視点で描かれているため存在薄め。
『ディフェンディング・ゲーム』
陸軍士官学校の生徒が他国の工作員による犯罪を防ぐため見回り業務を任される。
世界観の補強には必要な話なのだろうが、
解決する事件とネタがしょぼくて全体の説教臭さに勝てていない。
『エミグレイティング・ゲーム』
ある売春婦を買った客ばかりが連続して殺される事件を解決する。
しばらく脇役だった番匠の出番が増え、最終話への繋ぎにもなっている。
『エクスプレッシング・ゲーム』
松浦との再対決となる最終話。
1話と同じく、松浦の策略を次々突破していく構成。
ラストは推理の出来ない私にもバレバレの仕掛けだったし、
そもそも最初に不意打ち狙いで殺せただろうと思ったけれど、それではお話にならないしたくさん散りばめた伏線を回収する形で悪くはなかった。
ただ終わり方はこれでいいのか?微妙。
相変わらず全体的にうまく行きすぎ、という現実感のない展開も多いけれど、これも持ち味ということで許容出来る範囲。
SF設定の話は少ない気がするけれど小さな世界の完成度は高いのでこういう系統ももっと書けばいいと思う。
http://www.horizon-t.net/2013/09/07/%E7%9F%B3%E6%8C%81%E6%B5%85%E6%B5%B7%E3%80%8E%E3%81%93%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%80%8F/ -
連作短編集。
設定が非常におもしろかった。
登場シーンの多さから心情的に番匠寄りになるが、松浦側からも読みたかったと思う。
「ハンギング・ゲーム」は一言、壮絶。
「ドロッピング・ゲーム」はブラックな仕上がり。
この設定ならではの動機と、語り手、話の展開がよくできていると思う。
しかし心情的には受け入れにくい。
「ディフェンディング・ゲーム」はやや軽めの仕上がり。
少しリラックスした表情の番匠が見られる。
「エミグレイティング・ゲーム」はラストが印象的。
最終話に向けた布石の話でもある。
そして最終話「エクスプレッシング・ゲーム」。
次々と繰り出される罠とそれを回避する描写が見どころ。
……もっと読んでいたかったなと思う。
表紙が臨場感があって好き。
解説がシンプルで的確だなと思った。 -
「公開処刑―ハンギング・ゲーム」
「教育―ドロッピング・ゲーム」
「軍隊―ディフェンディング・ゲーム」
「出稼ぎ―エミグレイティング・ゲーム」
「表現の自由―エクスプレッシング・ゲーム」
一話一話が粒ぞろいで、とても印象に残った。
世界観は、日本が明治維新からずっと一党独裁体制だったら・・・というもの。
一見舞台設定などややこしそうに見えるが、登場人物は多くないし、キャラもたっていてわかりやすい。
さらに治安警察や表現庁など独特の設定も面白い。
個人的には「軍隊―ディフェンディング・ゲーム」が一番好きだ。 -
キタ!
石持ワールド。
独裁国家な筈なのに、現代日本と被る、この国。
”国”を守りたい、エリート警察官VS超頭脳派革命家
この攻防戦はクセになります。
柳広司の「結城」シリーズが近いかも。 -
番匠と松浦の頭脳戦が繰り広げられ、アクション要素もある「ハンギング・ゲーム」と「エクスプレッシング・ゲーム」が面白かった。
-
<公開処刑 ハンギング・ゲーム ★★★>
公開処刑の執行と阻止を巡る物語。ストーリー展開自体は面白かったが、オチとして「あれは有効?」という疑問は残った
<教育 ドロッピング・ゲーム ★★★★>
ある生徒の自殺と思われる死を巡る物語。一段オチまでは比較的早い段階で予想できるが、更に・・・という展開で、どんでん返し、という形ではないが余韻を残す結末
<軍隊 ディフェンディング・ゲーム ★★★>
敵国の仕業と思われる連続強盗未遂事件を巡る物語。
<出稼ぎ エミグレイティング・ゲーム ★★★★>
買春客連続殺人事件を巡る話。
<表現の自由 エクスプレッシング・ゲーム ★★★>
あるイベントの主催者を狙ったテロを巡る攻防。物語のラストを飾る話だが、頭脳戦というよりは肉弾戦が多く、大味な感じ。 -
反政府組織と、それを追う軍人を描いた連作短編集。
久々に石持浅海作品だったが、冷徹な人間の描き方は一級品。
小学生の振り分けの話が印象的。 -
石持浅海さんの文体は非常にクールでとてもひかれる。
オノマトペなどがないわけではないのに、なぜか、余計なだぶつきがないように、クールで軽やかだなといつも思う。良くも悪くも異常な振れがないのが特徴、といったらいいのだろうか。平均値を大きく上(下)回る登場人物も出てこなければ、極端な感情の発露をさらす登場人物も皆無。シチュエーションはいつも、都会的であり、きわめて限定的なものが多い。
アイルランドの薔薇、月の扉、水の迷宮、扉は閉ざされたまま、(あたしの最愛の書→)セリヌンティウスの舟・・私の愛する石持ワールドは、限られたシチュエーションでの鋭利な推理ゲーム。精緻に構築された論理を紐解く推理ゲーム。
ところが、最近の作品:耳をふさいで夜を走る、君がいなくても平気、などの作品にはその、ストイックな美しさがなくなってしまった気がしていた。いやいやもしかして短編であればあるいは?と期待して手にしたこの作品。
しかし正直、最後のページで超がっかり。
最初のストーリーは、死刑囚を奪還せんとする犯人と守る側の知的な内容で、もしやこれは、これからの華麗なる推理ゲームの前哨戦か?と期待。続く次号ではその犯人(松浦)と追う側(番匠)の構図が一度破られ、学園ものに。「むむ、ここで番匠・松浦の過去が語られるのか?あるいは第一話のいずれかの登場人物の人格形成に多大な影響を与えた何がしかの事件がここで・・?!」なんて読んだら、単に、先の事件で左遷された番匠がちらっと覗いただけの作品。すこしひょうしぬけ。次、はい次、と進むも同様のひょうしぬけを味わい、最後に唐突に二人の対決。
・・・てかこの段階で、深堀のされていない二人の緊張感への思いはすっかり薄れ、あ、そおだったのあんたたち、くらいの醒めた気持ちで読むことに。せっかく短編集なんだからそのへん、書き込めなかったのかな、とか、最初の話でキーになるのかと思った女性はなんだったんだろうとか不満やギモンが渦巻いてあったまぐーるぐる。
兼業作家だから、なんて聞いちゃうと「もしかして本職がお忙しいのかしら~」なんて思ってしまったり。なんか残念。
石持さんお願いです、あなたの精巧で美しい、潔い作品を、あたしに!
最初にこのタイトルを見て「この国。」って、なんか句読点、ふるくね?と思ったけど正直言っていいですか。あの、石持さん、あなたに媚びは、似合いません。マルはいらないから内容を、追加お願い!