灰夜 新装版: 新宿鮫7 (光文社文庫 お 21-22 新宿鮫 新装版 7)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334767921

感想・レビュー・書評

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  • 新宿鮫7 灰夜 読了。

    お前はブルースウィールスかい!て叫びたくなる話。
    地方都市に法事にきた鮫島が、たった二日で北朝鮮の目論見と二つのヤクザを手玉にとるスーパーマンぶりを発揮する。それにしても関係者ほとんど死ぬのはやり過ぎじゃない?

    7までの面白さをランキング
    1.新宿鮫
    2.毒猿
    3.無間人形
    4.屍蘭
    5.氷舞
    6.灰夜
    7.炎蛹

  • 寝床で読む小説として、長らく読んでいなかった「新宿鮫」シリーズを選んでみた。でも、これは寝床で読む小説ではなかった。頁を繰るのが止まらなくなって、逆に眠れなくなってしまう。
    相変わらず、大沢在昌はうまい。とにかく息もつかせぬ展開で一気に読ませる。
    何より共感するのは、保身のために節を曲げることをしない主人公・鮫島の生き方だ。
    たとえそれが小説の中だけのことであるとしても、そんな生き方をしている人物がいると思うだけでも勇気づけられる。

  • 鮫島の握る情報がついに明かされるのか!!と、終始ドキドキの緊張感の中で読み進めたのだが、何だか意外な展開に…?舞台も新宿を遠く離れているのでこれは番外編だったのか、あら残念。しかし、この巻面白かった。鮫島のカッコよさは相変わらずだが、その他にも古山、木藤、石崎…そして今泉!!!それにしても、警察小説の中で、これほど優秀な刑事って他にいないよな!次巻も楽しみ!

  • 「ルパン三世」という、テレビアニメがありますね。ありましたね。
    僕は子供のころから、大人になっても、基本的に大好きです。楽しめます。
    (と、言っても考えたら10年近く、見ていないかもですが)

    あの面白さっていうのは、物語、シリーズ、ヒーローもの、という楽しみ方を考える上で、実に判りやすい例だなあ、と思うのは。

    大まか25分の1話完結。
    中には、名作、と呼ばれるものもあります。
    「雨の午後はヤバイぜ」「脱獄のチャンスは一度」「七番目の橋が落ちるとき」「死の翼アルバトロス」「荒野に散ったコンバットマグナム」...
    (狡いようですが、大隅正秋さんのルパンと、宮崎/高畑さんのルパン、僕はどちらも好きです)

    なんですが、圧倒的に多数の作品は。
    単発の25分のドラマとしては、「なんじゃこりゃ!」というひどい出来のモノが多いんですね。
    冷静に考えると。

    なんだけど、面白い。

    これはもう、話がどうこうというよりも、
    「ルパンたち、というキャラクターと出会えれば、とりあえず満足!」
    ということなんだと思います。

    実はそれが、「1作1作の単独作品としての芸術的完成度」なんぞよりも、娯楽、愉しみとしては、とっても大きいのですね。

    (ただ無論、1本1本がオモシロイに越したことはありません。特に、22分ずーっとじゃなくても、部分だけでも)

    #

    大沢在昌さん。新宿鮫シリーズの、第8作。「灰夜」。2001年。
    なんとなくシリーズ順に読んでいます。
    この「灰夜」は、発表順で言うと、第8作なんですが、内容の時系列で言うと、第7作の「風化水脈」より以前の出来事、という設定だそうです。
    (ま、ほぼどうでもいいのですが)

    #

    今回の趣向は、「場所が新宿ではない、ということ」に尽きますね。

    ならもう、「新宿鮫」じゃないじゃん!

    という気もしますが、まあ、大ヒットシリーズなので。番外編的に。

    友人の法事で、とある県(名言されていませんが、どう考えても100%、鹿児島県)で、トラブルに巻き込まれる。
    そして、事件が始まってから解決まで、1昼夜の出来事。

    もう一つの今回の趣向は、「朝鮮」「北朝鮮」ですね。

    鹿児島県は朝鮮とは関わりが深いですね。
    ※司馬遼太郎さん「故郷忘じがたく候」。名作です。

    ネタバレざっくり言うと、

    北朝鮮が国家として覚せい剤を日本のヤクザに売っている。
    見返りに、日本で作った、「国際禁輸措置になっているハイテク機器」を仕入れている。
    実行しているのは、在日朝鮮人。
    なんだけど、そんなことに関わりたくない、主人公・鮫島さんとの友情を優先したい、という在日朝鮮人も現れます。
    そして、そんなことと全く関わりなく、夜の町で生きている在日の人も。

    お話としては、そこに、北朝鮮の特殊工作員、というのも絡んできます。
    この辺は、第2作「毒猿」が彷彿としますが。
    それに、公安警察、不良警官、暴力団、が絡んできます。

    言ってみれば、ここまでの新宿鮫の要素のオン・パレード。オールスターゲームみたいな...。

    そして、見事なまでに。

    ●前半、何が起こったか五里霧中。強烈な謎、サスペンスの中、いきなり監禁されるピンチから、反撃に転じる主人公。

    ココはやっぱり面白い。わくわくしますね。

    そして、

    ●あっち行ったりこっち行ったりしているうちに、なぜか何人かがしゃべらなくて良いことを勝手にしゃべって、巨大すぎる秘密があっという間に判明、
    そしてそれを何故だか主人公が独りで全部カタストロフな終局導く。

    という、ココのところはやっぱり、にやにやしちゃうくらい、割と強引(笑)。

    まあ最早、かわいいと言っても過言ではないくらい...。

    ただ、結局は。
    暴力と理不尽と既得権益、脅迫と恫喝と弱い者いじめがまかり通る世の中で、
    それらに敢然と立ち向かい、毎回毎回、死にかけながらも死なない鮫島さん(笑)。
    言ってみれば現代の月光仮面の叔父さんなんですが(笑)。
    そこに「警察官であり、上流階級(キャリア)であり、しかし放逐され流浪する貴種(プリンス)であり、その特権を振いながらも汚れた街を行く」
    という、小説上のリアリズムベースの上を飛び跳ねることで、ただの「正義の味方」に停滞しない生活感が主人公にあります。

    結局は、その主人公の新宿鮫さんが、それなりに「らしく」活躍してくれれば、多少の完成度は低くても愉しめちゃうんやなあ、と。

    と、言う訳で、ふっと頭をよぎる、

    「もはや、ルパン三世状態...」

    #

    ただ、なんだかんだ、読ませどころ、魅力も必ずあるのが、大沢在昌さん。
    「灰夜」はやっぱり、地方都市の生臭さ、生々しさ。
    そして、在日というマイノリティで、偏見激しい地方で生きる事、というヒリヒリした皮膚感覚。
    これは面白かったです。

    (危険なゾーンのネタを、犯罪アクション娯楽小説でいじり倒しながら、やっぱりどこか通底音として、大沢さんはリベラルな知性主義なのではないだろうか、と勝手に思います)

  • J様後追い第7弾
    ほんとにこれまた全く違うストーリーで、ほんとは5をつけようと思ったのに最後の読後感で一個落としてみました。
    でも限りなく5に近い。

    このシリーズ、悪いやつはとことん悪そうなのもいるけど、警察にも犯罪者側にもとにかく出てくる人物が魅力的。
    今回もなんだかんだ言って家族や友達を思いやる人たちであふれていた気がします。

    ちなみに、最初読み始めた時はなぜこんな状況に?!というのと、前作でのこともあり天罰だ!と思ってしまったのは女の嫌なところでしょうか。
    余分に取っていた休暇も事件ですっかり終わってしまいましたが、晶からの連絡なし。残念。ってこと気づいてるかなぁ。
    次回は復活してくるでしょうか?また楽しみです。

  • シリーズ第7弾。今回、鮫島が自殺した同僚・宮本の七回忌で訪れた九州の地方都市で事件に巻き込まれる。前作で関係がギクシャクしてしまったロックシンガー・晶は登場しない。

    物語の雰囲気は、北方謙三のブラッディ・ドール・シリーズに似ており、九州の地方都市で孤軍奮闘する鮫島が描かれる。また、鮫島が警察組織を揺るがす秘密を握る過程も描かれ、シリーズの中でも重要な位置を占める作品ではないだろうか。

    鮫島の握った警察組織を揺るがす秘密とは…宮本の遺書の内容は…

  • 偶々眼に留めて愉しく読了した作品が“シリーズ”であったので、読了した作品より以前の作品で面白そうなモノを探した。そして見付けて入手したのだが、紐解き始めると面白いので少し夢中になった。休日の昼頃に読み始め、翌朝に迄時間を設けて続きを読み、素早く読了に至った。言葉を換えると、そう「させてしまう…」モノが在る。
    本作では主要視点人物が「何時もの場所」から偶々離れた時に“事態”に巻き込まれてしまう。そしてその“事態”を何とか収拾しようと奮戦する様が描かれるという物語だ。
    冒頭、鮫島が気付くと、何やら酷く妙な寒々しい檻のような場所に閉じ込められてしまっていたという状態から物語が起こる。不慣れな地方の街で、鮫島は拉致されてしまったのだった。
    拉致されて妙な場所に閉じ込められている状態から、そこに至る迄を回顧し、やがて事態が動きながら物語は展開するのである。
    鮫時は新宿署の生活安全課の刑事だ。警部の階級で新宿署の生活安全課に在るのだが、所謂“キャリア”として警察庁に入って警察官になっている。かなり「訳アリ」で、現在の境遇に在るのだ。通常は数年で警視の階級に進み、様々な場所での役職を経験することになるのがキャリアだ。が、鮫島はその限りではなかった。
    鮫島には、キャリアとして警察官になった同期に宮本という男が在った。宮本は思い詰めて自殺をしてしまったのだが、自殺の直前に“遺書”を認めて、それを鮫島に送ったと言われている。その件が鮫島の「訳アリ」の一部ともなっている。鮫島は同期の友人を悼む気持ちを持ち続けていたのだが、7回忌の法事について家族からの案内を頂いたということで出席することにした。そして宮本の郷里である九州の街を訪ねたのだった。
    法事の席で、鮫島は宮本の古くからの友人であるという古山や木藤と会う。冷淡な木藤に対して、古山は鮫島と親しく接した。意気投合という感で古山が馴染のバーを訪ねる等していた。
    そういう様子の後に、鮫島の危難である。鮫島は辛くもその危難を脱するのだが「一体、何が起こっているのか?」という様相である。鮫島を眼に留めて接触して来た福岡から出張の麻薬取締官が連絡を絶つというようなこともあり、何やら深刻な事態となる。鮫島は、地元の酷い悪徳刑事というような人物とも出くわし、地元県警との距離を如何取れば好いのか決めかねる。事案を巡って動いている県警の公安部の刑事達とのやり取りも生じる。
    「東京の刑事」とは言え、地方の県に行けば「別段に職権を有するのでもない一個人」である。その「一個人」という立場になった鮫島が、男気溢れるような古山を何とかしようと、何人かの協力者の支援も得ながら、許し難い悪徳刑事や、暴走する極道を向こうに回して奔走する様が酷く面白かった。
    如何でも構わないが…本作に登場する「九州のとある街」は具体的な名前が出ない。麻薬取締官の事務所が在る場所、九州一円で大きな勢力を誇る暴力団の本拠地というようなことで福岡というような実名は出る。が、鮫島が同期の宮本の故郷を訪ねるということでありながら、その名称は出ない。宮本が芋焼酎を好んだとか、街の路面電車が見えるというような辺りで「鹿児島?」というようにも思ったが、何処となく「宮崎?」というような感じもしないではない。その辺は不覚追及するのが野暮というものであろう。
    本作は、「何時もの場所」を離れた鮫島の孤軍奮闘というような感じが際立つ物語であると思う。古山と木藤の「微妙な立場の中での各々の選択」というような事柄、地元の悪徳刑事の行動等、何やら色々と考えさせられた。愉しい1冊だったと思う。

  • 面白かった

  • 【作品紹介】
    寒気に包まれた檻の中で鮫島は意識を取り戻した――。自殺した同僚・宮本の七回忌で、鮫島は彼の故郷へやってきた。故人の旧友・古山をはじめ、古山の妹・栞、麻薬取締官・寺澤、不良警官の上原、バーのママ・平良マリー……、多くの人々と出会った。そして、その夜、拉致された。誰が何を目的に鮫島を狙ったのか!? 底知れぬ闇が広がる! 新宿から遠く離れた見知らぬ街で、孤立無援の闘いに鮫島は身を投じる。

    【感想】
    相変わらずのスピード感で作品にどんどん引き込まれる。
    しかし、鮫島はなぜいつも奇想天外なトラブルに巻き込まれるのだろうか。
    最も、ありえないトラブルが無ければ面白い作品も生まれるわけがないのだが。
    勿論、シリーズすべて読み続けます!

  • これは、完全ハードボイルドだ。

  • これは、番外編と言っていいでしょう。
    舞台は新宿ではなく、自殺した同期の宮本の故郷で全てが始まり終わる。

    そもそもは鮫島が拉致監禁された。理由は不明。
    鮫島を助けるために宮本の親友・古山が動いたが、鮫島の解放と引き換えに彼が捕まってしまう。
    古山を助けるため、鮫島は走る。

    地元で手広く水商売をしている古山、彼を調べていた麻薬取締官、鮫島を見張っていた地元警察、そして地元の暴力団。
    狭い地域で密接に交差するこれらの関係。
    いったい何が起こっているのかわからないまま、宮本と古山の友情のために走る鮫島に胸が熱くなる。

    人が死に過ぎて、死んで欲しくない人までも死んじゃって辛いけど、これは男の友情の物語なのです。
    いつもの新宿鮫とはテイストが違うけど、これはこれで好き。

  • いよいよ鮫島が握る情報が明らかになるかとおもったが、事態は思わぬ展開となった。それぞれの利害、使命、友情をめぐり展開はどこに落ち着くのかと気になりながら読み進めた。悪事を働いていたほとんどの人間は最後に死んでしまったのは鮫島や須貝にとっては残念だったろう。俺としては古山が死んでしまったのが残念であり、後に残る栞やマリーのこれからが心配だ。いつものことだが、鮫島の事件解明能力は何者も及ばないだろう。改めてそう思った。

  • 文句なし。面白い

  • このシリーズでは久しぶりに最初から最後までハラハラさせる展開で楽しめた。

  • kindleで再購入で再読了
    何年振りかで読み直して驚いた
    この作品シリーズでは異色なんだけど
    こんなに面白かったんだと改めて好きになった

  • 再読

  • 新宿鮫らしいカッコ良さが前面に出てますし、謎解きモードで楽しみではありますが、うーん、もうちょっと明るさとテンポの良さがあるといいのだけれど、読むのがちょっとしんどかった。

  • 新宿鮫シリーズを読み終えると、当たり前なんだけど「あー、終わっちゃった。」という感じが残ってしまう。終わりは付き物なのだけど、まだ続いてて欲しい気持ちがいつも漂う。

  • 田舎町でこんなに火花が散って人がバンバン死ぬか?と思うけれど、新宿鮫ならあり!と思う。晶がでてこなかったのが残念。

  • 鮫島のことを知らない数多くの人たちが当然のように鮫島に協力するなんてことは、本来なら現実感がなくて置いてかれそうになるけど、それをさせない鮫島のスター性。彼ならば皆が彼のために尽くしてもおかしくない。灰夜という題名はこの物語にとても合っている。

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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