夜鳴きめし屋 (光文社文庫 う 15-4 光文社時代小説文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334768096

作品紹介・あらすじ

本所五間堀にある「鳳来堂」。父親の古道具屋を、息子の長五郎が夜鳴きめし屋として再開。朝方まで営業している店には、父親の友人たちや、近くに住む武士、芸者や夜鷹までさまざまな人々がやってくる。その中に、かつて長五郎と恋仲だった芸者のみさ吉がいた……。『ひょうたん』の世界から十数年後、待望の続編登場! --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

感想・レビュー・書評

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  • 遅くに口開けし、朝まで営業する居酒見世・鳳来堂。
    その店主・長五郎と、客たちをめぐる、連作短編集。

    『ひょうたん』の続編にあたるそう。

    さほど酒は飲まず、干物や漬物、味噌汁やお茶漬けを喜ぶ、夜更けの客たち。
    お酒を出す深夜の店でありながら、安らぎの空間になっているのが、心地よかった。

    飯屋なので、子どもの常連客も出てくるけれど、これがまたけなげでかわいい。

    おいしい料理と人情ものの時代小説。

  • すっかり宇江佐真理さんのファンになってしまいました。なんて素敵な物語だろう!人の気持ちや心の動きに魅了されまくりの素晴らしい時代小説、短編連作集です。

    宇江佐真理さんは5年前に亡くなってしまったので、新作はもうないけれど、遡って全部の作品を全部読みたいなと思っています。僕にとって、宇江佐真理作品は一つの目標と言ってもいいかもしれません。それくらいに、魅了されました。

    まずはこの作品の前編にあたる「ひょうたん」という作品を探すことから始めようと思います。

  • この物語には、この結末しかないというような、最高の結末だと思う。
    心温まる結末のために、それまでの物語があったのだと思うと、すべての物語が愛おしく思えてくる。
    出てくる人物、すべてが人情味溢れ温かい。
    読んでいるこちらの心も、非常に温かくなってくる。

  • 時代小説は江戸時代などの過去が舞台になっているが、あくまでも現代を生きる読者にメッセージを伝えるために書かれている。昼と夜で違う顔を見せる市井の人々。宇江佐作品では、それを現代の世界にすんなり置きかえる事ができ、自分自身の話しにも置きかえる事ができる。いつの時代でも、同じような悩みを抱える人たちがいる。そして、貧乏ながらも粋と張りを捨てられないない頑固で不器用な精神は、今でもしっかり生き続けている。前作『ひょうたん』同様、本当に面白い作品だった。

  • やっぱり宇江佐真理さんの作品は好き。こんな風な内容もいやらしさがなくていい。

  • 本所五間堀の「鳳来堂」は、父親が営んでいた古道具屋を、息子の長五郎が居酒見世として再開した“夜鳴きめし屋”。朝方までやっているから、料理茶屋や酒屋の二代目や武士、芸者など様々な人々が集まってくる。その中に、かつて長五郎と恋仲だった芸者のみさ吉もいた。彼女の息子はどうやら長五郎との間にできた子らしいが…。人と料理の温もりが胸に沁む傑作(裏表紙より)
    久々の宇江佐さんの作品.長五郎の人柄ににんまり.長五郎とみさ吉のもどかしさも何とも微笑ましい.いつの時代も恋っていいなと思わせてくれる.とても面白く,なんでもっと早く読まなかったのかと,少し後悔,早速,まだ読んでない宇江佐さんの作品をチェックせねば.

  • 飯屋、鳳来堂の一年の話。
    宇江佐さんの本を読むと、日々を丁寧に欲張らず真摯に過ごしたいと心底思う。
    実際は難しいのだけど。
    長五郎とみさ吉がもどかしくもあったけど、ラストもとてもよく良い本を読んだなと気持ちが暖かくなる。

  •  ものすごい大事件は起こらないけれど深く引き込まれる。鳳来堂の、なんてことのないお惣菜やお茶漬けがとても美味しそう。
     長五郎は控えめなようでいてお客さんとの会話が気が利いており、真っ直ぐで、時に武士相手でも言うことは言う。お店を続けて上手になったのかな?常連客たちが仲良く飲み、女ひとりでも入りやすい、居心地良さそうな店だ。
     惣助の友達の長松が良いヤツだった。駒奴も増川姐さんもかっこいいし、出てくる人みんな魅力的。
     大晦日、静かな焚き火で迎える小さな幸せにしみじみとした。味が落ちたと言われていた「かまくら」はその後挽回できたのかが気になるところ。

  • 連作短編集

    ひょうたんのその後

  • 時代小説+食が大好きな私にドンピシャな小説。雰囲気もよく、登場人物にも味があって良かった。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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