- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334768096
作品紹介・あらすじ
本所五間堀にある「鳳来堂」。父親の古道具屋を、息子の長五郎が夜鳴きめし屋として再開。朝方まで営業している店には、父親の友人たちや、近くに住む武士、芸者や夜鷹までさまざまな人々がやってくる。その中に、かつて長五郎と恋仲だった芸者のみさ吉がいた……。『ひょうたん』の世界から十数年後、待望の続編登場! --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
感想・レビュー・書評
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遅くに口開けし、朝まで営業する居酒見世・鳳来堂。
その店主・長五郎と、客たちをめぐる、連作短編集。
『ひょうたん』の続編にあたるそう。
さほど酒は飲まず、干物や漬物、味噌汁やお茶漬けを喜ぶ、夜更けの客たち。
お酒を出す深夜の店でありながら、安らぎの空間になっているのが、心地よかった。
飯屋なので、子どもの常連客も出てくるけれど、これがまたけなげでかわいい。
おいしい料理と人情ものの時代小説。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すっかり宇江佐真理さんのファンになってしまいました。なんて素敵な物語だろう!人の気持ちや心の動きに魅了されまくりの素晴らしい時代小説、短編連作集です。
宇江佐真理さんは5年前に亡くなってしまったので、新作はもうないけれど、遡って全部の作品を全部読みたいなと思っています。僕にとって、宇江佐真理作品は一つの目標と言ってもいいかもしれません。それくらいに、魅了されました。
まずはこの作品の前編にあたる「ひょうたん」という作品を探すことから始めようと思います。 -
この物語には、この結末しかないというような、最高の結末だと思う。
心温まる結末のために、それまでの物語があったのだと思うと、すべての物語が愛おしく思えてくる。
出てくる人物、すべてが人情味溢れ温かい。
読んでいるこちらの心も、非常に温かくなってくる。 -
時代小説は江戸時代などの過去が舞台になっているが、あくまでも現代を生きる読者にメッセージを伝えるために書かれている。昼と夜で違う顔を見せる市井の人々。宇江佐作品では、それを現代の世界にすんなり置きかえる事ができ、自分自身の話しにも置きかえる事ができる。いつの時代でも、同じような悩みを抱える人たちがいる。そして、貧乏ながらも粋と張りを捨てられないない頑固で不器用な精神は、今でもしっかり生き続けている。前作『ひょうたん』同様、本当に面白い作品だった。
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やっぱり宇江佐真理さんの作品は好き。こんな風な内容もいやらしさがなくていい。
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本所五間堀の「鳳来堂」は、父親が営んでいた古道具屋を、息子の長五郎が居酒見世として再開した“夜鳴きめし屋”。朝方までやっているから、料理茶屋や酒屋の二代目や武士、芸者など様々な人々が集まってくる。その中に、かつて長五郎と恋仲だった芸者のみさ吉もいた。彼女の息子はどうやら長五郎との間にできた子らしいが…。人と料理の温もりが胸に沁む傑作(裏表紙より)
久々の宇江佐さんの作品.長五郎の人柄ににんまり.長五郎とみさ吉のもどかしさも何とも微笑ましい.いつの時代も恋っていいなと思わせてくれる.とても面白く,なんでもっと早く読まなかったのかと,少し後悔,早速,まだ読んでない宇江佐さんの作品をチェックせねば. -
飯屋、鳳来堂の一年の話。
宇江佐さんの本を読むと、日々を丁寧に欲張らず真摯に過ごしたいと心底思う。
実際は難しいのだけど。
長五郎とみさ吉がもどかしくもあったけど、ラストもとてもよく良い本を読んだなと気持ちが暖かくなる。 -
ものすごい大事件は起こらないけれど深く引き込まれる。鳳来堂の、なんてことのないお惣菜やお茶漬けがとても美味しそう。
長五郎は控えめなようでいてお客さんとの会話が気が利いており、真っ直ぐで、時に武士相手でも言うことは言う。お店を続けて上手になったのかな?常連客たちが仲良く飲み、女ひとりでも入りやすい、居心地良さそうな店だ。
惣助の友達の長松が良いヤツだった。駒奴も増川姐さんもかっこいいし、出てくる人みんな魅力的。
大晦日、静かな焚き火で迎える小さな幸せにしみじみとした。味が落ちたと言われていた「かまくら」はその後挽回できたのかが気になるところ。 -
連作短編集
ひょうたんのその後 -
時代小説+食が大好きな私にドンピシャな小説。雰囲気もよく、登場人物にも味があって良かった。