黄昏の光と影 (光文社文庫 し 40-3)

著者 :
  • 光文社
3.96
  • (7)
  • (13)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 79
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772369

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 孤独死した老人の部屋からスーツケースに仕舞い込まれた女性の白骨死体が発見され、老刑事&新米コンビが遺体の身元捜索に奔走するトラベルミステリー。話の大筋は二時間ドラマだが、徐々に昭和という時代の光と影に翻弄された一人の女の生涯が浮かび上がり何とも言えない哀愁を誘う。実在した事件や災害、文化史など様々な要素がふんだんに盛り込まれているにも関わらず、本筋はブレることなく見事に完結している。実直で丁寧な反面、地道で地味な展開が延々続くので根気は必要だったが、読了時は主人公達と共に一旅終えた様な高揚感があった。



  • 孤独死。
    親族や友人知人など誰にも看取られずに、ひっそりと人生に幕を降ろす。
    誰にも知られず、死に行くことと、愛する者に殺され、せめて今際の際は独りではない方が良いのか。

    スピード感はないが、じっしくり読ませてくれる一冊でした。

    孤独死か...人ごとではないな。

  • 主要人物の大半が亡くなっているせいか、緊迫感が欠ける気がした。
    あらすじ(背表紙より)
    定年間近の石神井署の刑事・片倉康孝は、孤独死した小切間清という老人の捜査を担当する。が、部屋には身元を示すものは何一つない。さらにスーツケースから古びた白骨死体が発見される!部屋にあった写真の女か?遺留品をたよりに柳ヶ瀬に飛んだ片倉は、女が舞台女優だったこと、小切間清が伊勢湾台風で亡くなっていたことを突き止める―。哀切さが心に沁みる傑作。

  • なんだかありきたりなタイトルだなと思って読んでみたけど、予想以上によかった。今まで知らなかった作家。二人の刑事が事件を追い詰めていく様子は松本清張ものを思わせる。丁寧な描写でスリルもある。奇をてらわない淡々とした文章は私の好み。ぐんぐん読ませる。たまたま大きな台風被害で日本が打撃をうけた今読んだのもなんだか奇遇だ。哀しい話だった。すべての人生は重いものだと思った。

  • を読んだあとに再読。
    同様の事件をうまく盛り込んで、地味ではあるが、少しずつ点と点を線に結んでいく刑事の姿勢がとてもいい。

  • このところ軽めのものばかり読んでいたので、
    久々に「ガツんとした骨太の作品」が読みたくて。

    結果的に、期待に違わぬ骨太感。
    ストーリー的には派手な展開は何も無い。
    警察的には「地味な」変死体発見から物語が始まる。

    はっきり言って「面倒くさいから」、
    事件性無しで済ませたい上司。
    が、ベテラン刑事は何か引っかかるものを感じる。

    そのベテランを慕う若いペーペーの刑事。
    どちらも仕事の合間を縫って、
    警察内部ではもう「処理済み」のこの案件を
    個人的に追い続けて行く。

    刑事の勘と執念は侮れない。
    上司に内緒で有給を使ってまで現地調査をする
    二人の前に次々と新しい事実が現れてくる、

    最終的には、なかなかな「え、そう来るか」的な
    どんでん返しが待ち受けている。

    本作をこれから読まれる方に、
    一点だけアドバイスさせていただくと...

    登場人物が多くて、またそれぞれの人生が
    かなり密度濃く語られて行くので、
    半端な気分で飛び飛びに読んでたりすると
    途中でついて行けなくなります(^ ^;

    本作は「一気読み」をおすすめいたします m(_ _)m

  • いわゆる足で探して丹念さと偶然から拾い上げていく作品で、なかなか良かった。
    過去に翻弄された人生を浮かび上がらせるのは良かった。

  • 老人の孤独死。その部屋にあった白骨死体。
    地道な捜査をするベテラン刑事と新人。
    何やら読み応えがありそうと、読み進めると、、、史実を絡めたストーリーで、松本清張っぽい。

    飛島村の悲惨な歴史は知らなくて、一番印象に残った。現在は日本一裕福な村と言われているのに、、、。

    最後に明らかになる部分は、思わず最初の方を読み返した。
    読み終わっても、昭和と黄昏が余韻となって残るお話でした。

  • 自己満刑事(笑

  • 帯に'感泣必至の物語'とあったので期待し過ぎた。
    どこで感泣するのか?全くわからない。

    推理小説としてはまあまあ面白かった。
    主人公の刑事 片倉が幻をみたり夢をみたりでやたら物思いに耽るシーンは要らないと感じた

  • けして派手ではないんだけど、最後の最後まできれいに騙されたから、満足。

  • 骨太で泥臭い警察小説。今どき、こういう警察小説は珍しく、まるでノンフィクションのような趣きを感じる。

    定年間近の刑事の片倉康孝は孤独死した老人と老人の部屋にあった女性の白骨死体の捜査をするうちに老人と女性の過酷な運命に触れていく。

    最後の最後まで見えない結末と片倉が執念で喪われた過去に迫る展開が面白い。派手さは無いが、じっくりと読ませる警察小説である。

全14件中 1 - 14件を表示

著者プロフィール

1957年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンから作家に転身し、現在はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍する。パリ〜ダカールラリーにプライベートで2回出場し、1990年にはドライバーとして完走。1991年『KAPPA』で小説家デビュー。2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラー作家となった。他の著書に『DANCER』『GEQ』『デッドエンド』『WOLF』『下山事件 暗殺者たちの夏』『クズリ』『野守虫』『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』『ミッドナイト』『幕末紀』など、多数ある。

「2021年 『ジミー・ハワードのジッポー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柴田哲孝の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×