絶叫 (光文社文庫 は 36-2)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334774509

感想・レビュー・書評

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  • 構成やストーリーなど良くできた小説だなと思いました。本筋はミステリーでありながら鈴木陽子の半生を描いた物語でもあり、様々な社会問題を想起させる社会派の作品でもある。読んでいて様々な感情が去来しました。

    父親は失踪、弟は自殺、母親は典型的な毒親という崩壊した家庭の中で育ち、その後も転落していく人生を読書を通してなぞる行為はフィクションであっても悲しい。結果論だが、完全犯罪を成し遂げられたなら地頭は良かったのではないかとも思う。

  • “人間って存在はね、突き詰めれば、ただの自然現象なんだ。どんなふうに生まれるか、どんなふうに生きるか、どんなふうに死ぬか。全部、雨や雪と同じで、意味も理由もなく降ってくるんだ。”

    ぷちぷち笑う幽霊の言葉がとても印象的だった。

    二人称で語られる物語がとても新鮮で、「あなた」と語られる女が、あらゆる選択肢で読み手の私の考えとは違う方を選んでいくので読んでいてもどかしく、心が痛かった。
    社会に棄てられた人間の足掻きを見た感じ。
    自然現象=自由を貫き通した陽子(あなたであり私)は幸せだったのかな。

  • 個人的にロストケアより面白かった。
    「人生は自然現象」という弟の言葉に妙に納得。
    陽子に感情移入してしまい夢中で読み終わってしまった。
    陽子には、1人で幸せになって欲しいナ。。。

  • 最後まで読んで、えっ!すごい!ってなる。事件の内容もすごいけど、真相が分かった瞬間の合点がいく感じ、途中のグロテスクにも感じられる描写にも追い詰められた人間の心の動きを感じるし、ラストまで一気に読んだ作品。この著者さんの他の作品も読みたくなった。

  • 葉真中さんの「ロストケア」が良作で、評価の高いこの作品も読んでみることに。
    500ページ強だったが、続きが気になりあっという間に読んでしまった。

    ストーリーに集中しながらも、最初から、物語を語る「あなた」が誰なのだろうと少し不自然な気がした。
    誰に当てはめてもしっくりこないなぁと。
    最後にそういうことか…と。

    主人公の陽子には共感できないし、その両親にも。
    弟だけは何かを繊細に感じとり、自殺したのだろうか。
    家族といても孤独。という事はあり得るし、子供を愛せない親も事実いるのだろう。
    他人同士の集まりの神代ファミリーのほうが、家族ごっこだとしても幸せだったのだろう。
    でも、それを壊してしまう事も出来る陽子はやはりひとりで生きていくべきなのかもしれないと思った。
    だけど本当は、今までと違う自分になるのは、殺人を犯さなくてもなれるのだ。それに気付いて欲しかった。

    実家跡地のマンション。1階に入るカフェのオーナーはもしかして?と思うけど違うのかな。


  • で孤独死した女性の遺体が見つかるのですが、その女性の半生か描かれてていきます。
    結末はいかにという感じで、読む手は止まらず。
    読後も読み返したくなりますよね。

  • 1人の女性が自立した生活を送ることの難しさを描いた、作品。
    1度転落してしまうと、元の生活に戻ることはきわめて難しい。

    どこで人生を間違えてしまったのだろう…
    この物語で言うと生まれた時からもうズレているのだろうか。
    自然現象であるように。


    色々な伏線がありましたが、ラストは驚愕でした。


    名作です。暗い部分が盛りだくさんでしたが、好きです

  • 電車内の広告に
    「ラスト○行に驚愕」みたいな事が書かれていて、へぇ、と思い、借りてみました。


    地方に生まれた平凡な女性・鈴木陽子が遺体となって見つかる。

    孤独死とあたりをつけたものの、一応、彼女の戸籍を丁寧に確認すると、偽装結婚をしていた伏がありー。


    愛に飢え、経済的にも厳しい状況に追い込まれ、学歴やキャリアのない女性が堕ちていく様は壮絶で、同じ女性として恐怖すら感じます。

    保険金殺人、囲み屋などの問題と一人の女性の転落をうまく絡ませており、文体から結末については8割方予測はついていましたが、確かにラストから4行目には、やられたな、と思いました。

    ちょっとした遊び心っていうのでしょうか。
    キライじゃないです。

    2015年25冊目。

  • ただ生きていて、良かれと思って選んだことも全て不幸になっていくの辛すぎた。
    でも最後利用されて終わるのではなく自分を消してまでやり直すところは、良くないことだけど上手くいってほしいと思ってしまうほどだった。

  • 初読みの作者でした
    とても良かった。おもしろく良かったとは
    違う良かったです。
    とにかく続きが気になり、けっこうな長編なので、一気読みは出来ないけれど、早く続きを読みたいと気になる一冊でした。

    主人公の陽子がどういう歩みを経てそうなってゆくのか?「誰か」の目線で語られ、中盤にはだいたいの流れがわかるのですが、最後にはそうなのか!と驚きもあり。
    全ては降ってきたもの。そうなのかもしれないと
    納得。
    主人公の年齢が近いこともあり、時代の背景や
    環境にも共感して引き込まれた。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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