アリス・ザ・ワンダーキラー: 少女探偵殺人事件 (光文社文庫 は 38-1)
- 光文社 (2020年1月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334779610
感想・レビュー・書評
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十歳の誕生日を迎えたアリスは、名探偵の父親から「極上の謎」をプレゼントされた。それは仮想空間上での謎解きゲーム。
『不思議の国のアリス』をモチーフにした世界で待ち受けるのは5つの問い。アリスは父の友人だという男に導かれ、ゲームに挑むが……。
父のような名探偵に憧れる10歳の少女が、仮想空間上での謎解きゲームに挑むミステリ小説です。
『不思議の国のアリス』をテーマとする小説はたくさんありますが、この本もまた個性的で面白い。不思議の国のアリスの世界=ナンセンス文学の世界とミステリを上手く融合させています。
アリスのストーリーを知っていればもちろん楽しいですし、知らなくても随所で補足が入るので問題なく読めると思います。
最初の問題がミステリというより推理クイズとか、全国高等学校クイズ選手権の実技問題? 課題問題? のような感じだったので、主人公が10歳の女の子という事もあり、ファンタジーな謎解きエンタメなのかと思って読んでいたんですが、先に進むごとになかなかダークでした。10歳の子にやらせていい内容&難易度ではないです(笑)
それぞれの謎もさることながら、物語全体に隠された謎・オチも面白い。読み終わってからみると、このタイトルも何だか含みがあって好きです。
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ありすをテーマとしたミステリはほかにもこんなの。
→『アリス殺し』小林泰三/東京創元社詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふしぎの国のアリスのモチーフの物語はいくつも存在していて、個人的にはライトなものからダークなものまで含めて、世界観も様々だったりします。
そんななか、こちらを手にして読んだのですが、最初から面白くってサクサクっと最後まで読んでしまいました!
最後の展開には、清々しさまで感じました。
面白かったです。 -
面白かった...。アリスの世界観というか特殊設定下のミステリをこれでもかと詰め込みつつ、ラストの畳み方が非常に良かった。伏線とはこうやって張るもの、というお手本のような...。
一般的なミステリを求めてるとちょっと違うかもしれないが、遊び心に溢れた良い一冊だった。こういうの好き。 -
たまげたなぁ、面白すぎる!アリスというモチーフの仮想空間でのゲームの中の話も面白いが、真骨頂はそれが終わってからの現実。どんでん返しの連続に何度あっと言わされたことか。
早坂吝の作品の親切なところは、伏線を結構ちゃんと違和感のある形で提示してくれるところだと思うが、それが回収されるまで全くわからず「そういうことだったのか!」と言わされるのがすごいところ。本作もあっという間に読み終えてしまった。 -
現実世界で名探偵を志す少女、アリス。十歳の誕生日、彼女は特別なプレゼントを贈られる。それは、VR世界で行われる謎解きゲームだった。
十歳にしてこれだけの観察力と推理力、そして論理的思考力を持っているアリスには、このまま名探偵への道を進んで行って欲しいですね。たとえ、他にもっと優秀な才能を持っていたとしても。 -
終盤の二転三転する展開と、伏線の回収はお見事。
母親の『固い職業』は全くの予想外だった。
そして、父親の言う『探偵の限界』が印象に残った。 -
不思議の国をモチーフにした仮想世界に入る探偵を目指す少女アリス、仮想世界で謎を解く話。英語の授業でアリスを訳してたから思わずリンクして懐かしさが込み上げる。そうそうこんなキャラいたなーってなる。最後の展開は個人的に好き。だがちょっと物足りなかった
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不思議の国のアリスを舞台にした仮想空間で謎解きをする特殊設定ミステリー。
アリス好きなら嬉しい原作小ネタが散りばめれていて楽しい。
ただの謎解きゲームかと思いきや、中盤からガラリと変わった雰囲気に驚いて、更にラストのどんでん返しに驚いて。 -
読書初心者の自分初の推理小説。どうしても人を殺めるのに抵抗のある殺人もの。
最後まで読み切れるかと思いきや、不思議の国のアリスなんて中学の英語の教科書ぶり。
原作を知らずとも、原作とこの本での比較シーンもあってシームレスにその世界に入り楽しめた。
推理小説初心者でも、謎の読み解き指南書としても面白い作品でした。