この国はどこで間違えたのか (知恵の森文庫 a さ 2-15)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334786236

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  • インドのネルー首相は中立主義を掲げて、アジアに東西冷戦を持ちこませないという発想から、サンフランシスコ講和会議において、日本に対してわずか5〜6年前まではアジア解放を掲げて興奮していたにもかかわらず、西側陣営の一翼として戦後復興していくのかと問い、日本に駐留している米軍が引き揚げるならば署名してもいいという条件を出して、結局条約に署名しなかった。翌年、吉田内閣が倒れて鳩山内閣が成立した。石橋湛山が鳩山を支えて、対米自主外交路線をとった。バンドン会議に参加してアジアに復帰していく伏線になっていったことで、インドは単独講和に応じた。戦後歴代の日本の首相のうち、石橋湛山、田中角栄、村山富一はアメリカから警戒された。

    米軍が全世界に持つ大型の海外基地のトップ5のうち4つ(横須賀、嘉手納、三沢、横田)が日本にある。日本が抱えている米軍基地の面積は、東京23区の1.6倍。アメリカが管理権を占有している基地は、日本の他にはキューバのグアンタナモ基地くらい。ワシントンには、日米安保で飯を食っている一群の人たちがいる。寺島は、シンガポールのように、日本が管理権を持つ基地に米軍が駐留する形に変えていくことを主張する。

    日米関係よりも米中関係の方がはるかに密度が濃くなっている。日米で連携して中国の脅威と向き合うことを考えているとしたら、こっけいな話。

  • 「国内問題を深掘すると国際問題に行き着く」という寺島氏の言葉にハッとした。世界はつながっているのだ。 タイトルから連想される国家衰退の始まりについての議論だけでなく、もっと大きな視点をもって、想像からの行動を脱構築して構想からの問題解決へと変えていくべきだという主張には賛成である。 この本を読んで、全否定の論理に酔ってソリューションできない運動は空疎だな、と首相官邸前デモに想いを馳せる。

  • テレビで馴染みのあるお二人の対談である。
    それぞれの立場でわかりやすく論じられる内容にページが進み、頷きながら、あっという間に完読。勉強しました。

    ・指導者の軽重判断がない国というのは「小さな正義」におどらされる。
    ・リベラルとは、絶対的価値に寄りかからないこと。相対的感覚が大事で  ある。自分の頭でものを考えているかどうか?自分で考える力は、まさ  に人間山脈によって培われる。人によって啓発され、触発されながら作  られていく。
    ・哲学や人生観に裏打ちされた時代を読む力というのが大事である

    加藤周一氏が「感情が働かなかったら知性なんて意味がない」と言っていたと読み、小林秀雄氏と岡潔氏も同じことを言っていたことを思い出しました。
    石橋湛山・大川周明・の本を読んでみよう。

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著者プロフィール

1945年山形県酒田市生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、郷里の高校教師、経済誌の編集長を経て、評論家となる。憲法行脚の会呼びかけ人。
近著に『新しい世界観を求めて』[寺島実郎との共著]『小沢一郎の功罪』(以上、毎日新聞社}、『平民宰相原敬伝説』(角川学芸出版)、『佐高信の俳論風発』(七つ森書館)ほか多数。

「2010年 『竹中平蔵こそ証人喚問を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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