- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334786250
感想・レビュー・書評
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鉄道旅をしつつ読み進め、旅先の宿で読了。路線図をつぶさに見ると「謎が表出した」と言わねばなるまい。整備新幹線に乗って、車内アナウンスでJRから離脱を余儀なくされた並行在来線の新たな社名・路線名を聴くと、その無理スジな名称に「これで良いのか?」という疑問を持たざるを得ない。宮脇氏の著作を読んできた自分には既知の鉄道ネタが多かったものの、貨物や境界の話は興味深かった。
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わたくしが所持するのは光文社新書版ですが、その後文庫化されたやうですので、ここではそちらを挙げておきます。昔中公新書が文庫化されたりとかはありましたが、本来新書の文庫化といふのは異例なことでした。わたくしも好きではありませんが、まあ仕方がない。
地図といふものは、いつまで眺めてゐても飽きませんね。わたくしも幼少時より、暇があれば地図を読み耽つてゐました。小学生の時分は、給食の時間にいつも地図を広げてゐて、至福のひと時だつたなあ。
同時に時刻表の索引地図も愉快であります。著者は「(鉄道地図を)眺めているとだんだん地図に描かれた地域が、我が領土のように思えてくる」と述べてゐます。丸谷才一氏ふうに言へば「帝国主義的愉しみ」ですかな。
さうして鉄道地図を備にチェックしてゐると、不思議な現象が色々と見つかります。なぜこの路線は不自然に大迂回して遠回りをするのか。なぜこの一区間だけ会社名が違ふのか。同じ位置にある駅なのに、なぜ駅名が違ふのか。
所澤秀樹著『鉄道地図は謎だらけ』ではかういふ疑問に、所澤秀樹氏が懇切丁寧に、即ちメイニアックに答へてくれます。
第一幕の「鉄道地図、七不思議の怪」は、まあ割と他の類書でも紹介される内容です。ドラゴンレール大船渡線とか、土讃線・予土線に挟まれた土佐くろしお鉄道とか。しかしかかる(所澤秀樹氏はこの「かかる」をやたらと多用します)不恰好な路線は、今後「整備新幹線」が開通するにつれて、ますます増えるでせう。既に信越本線・東北本線・鹿児島本線・北陸本線・函館本線などで無残な姿を晒してゐます。
第二幕の「全国津々浦々、「境目」の謎」では文字通り会社間の「境界」について述べてゐます。特に貨物関係はわたくしも知らぬことが多いのです。テツぢやないですからね。一般の読者は付いて行けるのでせうか。
第三幕は「特選 鉄道地図「珍」名所八景」。著者が選んだ珍名所を解説。いづれの「名所」も承知済みですが、最後の第八景は知らぬ事実が結構ありました。わたくし、元元東武関係はちよつと弱いものですから。
所澤氏の著書に慣れてゐない人は、その諧謔調に戸惑ふかも知れませんが、この人は真面目な硬い評論(例へば『国鉄の戦後がわかる本』とか)を書いても、どこか軽いユウモワを交へてゐますので、藝風なのですね。まあ、N・T氏のワルノリぶりに比べたら好感が持てるのではないかと。
旅のお伴に、肩の凝らない一冊と申せませう。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-703.html -
今度は文庫版だったか‼知らずに購入。
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マニアック過ぎて、”鉄道に乗ることが好き” ”時刻表を見ながら旅行計画を立てるのが好き” 程度の私にはあまり入り込めなかった。
”謎”の事象の羅列っぽい文章に多少色付けされているものの、ウケるポイントが自分とずれていてあまり笑えないことも多く、最後まで読むのがつらかった。
読み始める前はこの著者の他の著作も読もうと考えていたが、おそらく手に取ることはないだろう。 -
時刻表の冒頭に載っている鉄道地図。
細かく見ると謎が…。
そして、いろいろ想像してみるとさらに謎が…。
同じ著者の他の本と重複している部分も多いですが、
超マニアックな細かいところを、
写真付きで、歴史経過も踏まえて、きちんと解説されています。 -
運営区分が素人の自分にとり興味深い
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~世の中の不思議な路線のお話~
途切れた路線、曲がりくねった路線、異常に絡み合った路線など、世の中の不思議な路線の成り立ちを解説。
なかなかマニアックな世界なので、作者と同じく、鉄道地図を見ているだけでワクワクする方にはオススメします。 -
著者の作品のなかでも、かなりマニアックな内容であると思う。相当鉄道好きな人であれば、本書で取り上げられている「謎」は或いは知っているかもしれないが、その理由まで調べている人は少ないのではないだろうか。
鉄道全体に亘ってはいるものの、特に近鉄に関する記載が多い。関西在住の方や近鉄好きの方にはお勧めかもしれない。