日本史は逆から学べ 近現代史集中講義 (知恵の森文庫 t か 3-7)

著者 :
  • 光文社
3.93
  • (4)
  • (7)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 161
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334787554

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 時々チャットGPTで遊んでいますが、本の内容に関してはめちゃくちゃな答えしか返ってきません。
    少し知っているだけですぐに嘘だとわかるので、騙されないですんでいます。(知らないときっと騙されます)

    そこで、本書に関してはコンセプトについて聞いてみました。
    本書を読んでみて私が感じたこととほぼ一致した回答が返ってきました。
    なので、これをレビューとします。(楽ちん♪楽ちん♪... 良い子はマネしちゃダメですよ!)

    ------------------

    私の問い:

    歴史を学ぶには、現在から過去に遡る方がいいでしょうか。

    チャットGPTの回答:

    歴史を学ぶには、一般的には現在から過去に遡る方が効果的です。
    これは、現代の社会や文化、政治、経済、科学などの背後にある歴史的な背景や出来事を理解するためです。
    現代の世界の様々な要素が歴史的な経緯によって形成されており、その背後にある歴史を知ることで、現代の社会や世界の状況をより深く理解することができます。

    また、歴史を学ぶ際には、歴史の変遷や歴史的な出来事の因果関係を理解することが重要です。
    現在から過去に遡ることで、歴史の流れや出来事の経緯を追いながら学習することができます。
    現在の社会や文化、政治、経済の状況を考えながら、歴史の出来事を学ぶことで、歴史の背後にある理由や要因をより深く理解することができます。

    ただし、歴史の学習には時系列を無視して特定の時代や出来事を深く学ぶ「断片的なアプローチ」もあります。
    歴史の中で興味を持った時代や出来事を選び、そこから過去や未来について学ぶ方法もあります。
    これは、個々人の学習スタイルや目的に合った方法を選ぶことができます。
    歴史の学習は個人の興味や目的に合わせて自由にアレンジすることができますので、自分に合った学習方法を見つけることが大切です。

    ------------------

    私は良い子でありたいので「楽ちん♪」はダメだと思い直して、自分のレビューを書きます。

    2018年現在から次のようにさかのぼっています。
    まさにこのような時代を生きてきたので、書かれていることは理解しやすいです。

    ①なぜ、安倍政権は長期間(5年超)政権を維持できているのか?
    →民主党が弱体化し、自民党に代わって政権をになう野党が存在しないから

    ②なぜ民主党政権は崩壊したのか?
    →マニフェストを実現できず、震災対応でも失敗したから

    ③なぜ民主党政権が誕生したのか?
    →所得格差を広げた自民党政権がリーマンショックで失速したから

    ○○だから、の理由は誰もが賛同しやすい表面的な事項になっていますが、実際には本質的な理由が裏に隠れています。
    間違いではなさそうなので、とりあえず本書の○○だからを信じて読み進めば、それなりに日本の歴史が頭に入ります。
    少し知識を蓄えてから、さらに興味が湧けば、○○だからの「○○」になった本質的な原因を探ることもできるでしょう。

    歴史を学ぶということは、過去の失敗を繰り返さないための反面教師にするという役割があると思っています。
    未来に生かさなければ歴史を学ぶ価値はないと思います。

    現時点の①の理由からは、さらに「なぜ、自民党に代わって政権をになう野党が存在しないのか?」
    を深堀りして本質的な原因を究明し、政権交代が起きやすい体制に社会を変えていくことが重要だと感じています。

    いつの時代も腐敗政治がはびこる、という歴史が繰り返されていることが(残念ながら)よく分かりました。

  • 日本史は逆から学べ近現代史集中講義読了。
    第1シリーズに続いて読んでみました。
    今回は近現代史に焦点を当てて書かれていて前回同様とても勉強になり楽しく学べました。
    学校の勉強ではあまり詳しく学べなかった時代だったので学び直せて良かったです。
    特に1900年代からの終戦までの内容は日本人として知らなければいけないことを学べていなかったことを痛感させられました。
    これを機にもう少し踏み込んで学んでいきたいと思いました。
    とりあえず次はシリーズ第三弾を読みたいと思います!

  • 歴史はまったく興味なく大の苦手なのに、
    ふと魔が差してこの本を読んでみたら、意外とおもしろく、とても勉強になった。
    逆から「なぜ?」と進んでいくので、興味深くすいすい読めた。

    ちょっと歴史を日本史をいろいろ読んでみようかな、という気分。

  • 戦後史と大正デモクラシーがおもしろかった。

    明治政府は、戊辰戦争や西南戦争の戦費を不換紙幣の増発で補ってきたため、貨幣の価値が大きく下がり、インフレーションとなっていた。1881年に大蔵卿になった松方正義は、増税や新税導入によって収入を増やし、経費削減を断行して支出を抑えて、政府に集まってきた紙幣を償却した。その結果、貨幣の価値は上がって、政府の財政は好転した(松方デフレ)。一方で、農産物の価格も暴落したため、地租が支払えなくなった多くの農民が土地を担保に高利貸から金を借りたり、土地を手放して破産する者が続出した。土地や財産を失った秩父地方の人々は、借金の軽減や据え置きを求めて、集団で利子減額の嘆願運動を展開し、1884年に秩父事件を起こした。そのリーダーになったのが板垣退助がつくった自由党員だったため、自由党は急進化する党員を制御できなくなって解党し、立憲改進党も大隈重信らが脱党して休止状態となり、自由民権運動は衰退した。一方で、没落農民から土地を安く買い叩き、大地主に成長する人々が現れ、彼らが会社を興して没落農民やその子女を安い賃金で雇い入れ、産業革命を支える存在となった。

    明治時代末期日本の政治は政党と閥族が交替で政権につく桂園時代が続いていた。大正時代に入って第三次桂太郎内閣が成立すると、立憲政友会や国民党は、閥族打破・憲政擁護をスローガンに倒閣運動を開始した(第一次護憲運動)。桂内閣は、国会議事堂の周りを取り囲んだ数万の国民の圧力を受けて総辞職した。

    大正デモクラシーの風潮を高める上で、2人の人物が大きな役割を果たした。美濃部達吉は、1912年に天皇機関説を唱えて政党内閣制を積極的に容認した。吉野作造は、1916年に民本主義を論じて、普通選挙法の成立を訴えた。こうした中、1918年に本格的政党内閣である原敬内が誕生したが、立憲政友会は地主や都市の資本家を基盤とする政党だったため、原は普通選挙を認めようとしなかった。その後の高橋是清内閣の後、三代にわたって非政党内閣が続いたため、憲政会の加藤高明、政友会の高橋是清、革新クラブの犬養毅の三党のリーダーは結束して第二次護憲運動を展開した。その結果、総選挙で過半数を獲得して、加藤高明内閣が誕生し、普通選挙法を成立させた。その後、5代にわたって政党内閣が続き、立憲政友会と立憲民政党(憲政会)の二大政党が内閣を担ったが、 1923年の関東大震災で首都圏の企業や工場が大きな打撃を受けて銀行の業績が悪化したことによる金融恐慌が発生したり、1929年の世界大恐慌の影響を受けて昭和恐慌が発生したが、日本経済を好転させることができなかった。こうした中で、1931年に満州事変が発生し、国民は満州を手に入れることによって日本の経済が好転すると信じて、関東軍の軍事行動を支持するようになった。犬養毅首相は、農村の疲弊に不満を持った農民出身者が多い青年将校たちによって、1932年の5・15事件で射殺された。こうして日本は、軍国主義国家へと舵を切っていった。

    日本が1955年から高度経済成長を続けられたのは、1ドル360円の固定相場制と、石油を安価で輸入できたことが背景にあった。 1971年にニクソン大統領がドルと金の交換停止を発表したため、各国はドルの価値低下を防ぐためにドルの切り上げを行った(スミソニアン体制)。日本は1ドル308円としたが、その後もドルの信用は回復しなかったため、1973年に変動相場制へ移行した。これに加えて、同年に勃発した中東戦争により石油危機が起きたため、高度経済成長は終了した。

    1973年に第一次石油危機が起こると、日本経済は経済成長率の低下、物価の上昇、経済収支の赤字のトリレンマに陥った。そのため。労働者の賃上げを労働生産性の伸び以内にとどめさせ、省エネ型の産業や製品を開発するなどの努力を行った結果、1976年度に景気は回復した。 1979年に第二次石油危機が起こると、日本企業は省エネやリストラを断行したほか、マイクロ・エレクトロニクス技術を使ったロボットやコンピューターを活用して、工場やオフィスの自動化を推進することによって、再び危機を乗り越えた。特に、自動車や電機機械、ハイテク産業(半導体、IC、コンピューター)は急速に輸出を拡大した。一方で、鉄鋼や石油化学、造船などの資源多消費型の産業は停滞し、産業が転換した。

    日本の輸出産業が好調となり、日本の欧米に対する貿易黒字が大幅に増加したため、なかなか不況から抜け出せない欧米諸国は、日本にやり方を不公正だと非難するようになった。特にアメリカは巨額の財政赤字と貿易赤字を抱え、1985年には純債務国に転落したため、対日批判を強めて、市場開放を妨げる日本の不公正な制度や慣行を槍玉に挙げるようになった。この流れの中で、日本の貿易黒字を減らすための国際協調介入として、1985年にブラザ合意がなされた。

    プラザ合意で円高不況になったが、その後、政府が公共事業の拡大など積極財政を展開し、内需主導型の経済成長を促したため、不況は収まっていた。そのため、アメリカ政府からいっそうの貿易黒字削減のための努力を迫られ、日銀は低金利政策を継続したため、金融市場には過剰な資金が供給された。銀行や企業に集まってきた莫大な金は、生産的な設備投資ではなく、株や不動産の投資に向けられたため、バブル経済を生んだ。

    バブル景気崩壊のきっかけをつくったのは、1990年に実施された不動産融資総量規制と公定歩合の引き上げの2つ。不動産融資総量規制によって、銀行は土地売買に関する資金大きい企業に貸し付けることができなくなり、地価は下がっていった。土地は融資の担保となっていたため、銀行は追加の融資ができなくなり、不況に突入していった。

  • 学びの形としてはとてもいいと思う。そうなった理由を、数ある事柄の中から最も重要なポイントを選び、解りやすい言葉で伝えているのがいいと思う。ただ、なぜ民主党政権は崩壊したのか、というところでマニフェストを実現できず、震災対応に失敗したから、というのは少し表面的に過ぎるというか、もう少し掘り下げて欲しかったというか、そんな気がした。何故マニフェストを実現できなかったのか、というのが本当は知りたいのだが、それは研究の対象であり、大きな流れを掴む作業とは違うのだろう。
    あとは幕末〜維新。この時は色々な立場の人が色々な動きをしており、単純に幕府vs.朝廷という図式で割り切ることはできない。ここは著者も難しいところだったと思う。
    まとめ方が上手なので他の本(時代)も読んでみたい。

  • 日本史を現代から逆に辿るシリーズの近現代史版。歴史の授業で淡々と史実を追うだけでは見えないことも見えるのが面白い。歴史は流れ。現代は過去からずっと繋がっているんだという事がよく分かる。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1965年、東京都生まれ。青山学院大学文学部史学科卒業、早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学。文教大学付属中・高校教諭。早稲田大学教育学部講師。教育活動の傍ら、精力的に執筆活動も行なっている。

「2016年 『大学入試問題から日本史を学びなおす本(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

河合敦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×