ロンリネス (光文社文庫)

  • 光文社 (2021年8月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784334792251

みんなの感想まとめ

情愛と憎悪をテーマにした本作は、主人公の岩見有紗がママ友たちの秘密や葛藤を通じて、自身の過去や現在に向き合う姿を描いています。家族を持ちながらも現状に満足できず、禁断の恋に身を焦がす彼女たちのリアルな...

感想・レビュー・書評

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  • 『ハピネス』の続編。見栄と嫉妬を描いた前作から、テーマは情愛と憎悪へ。変えられない過去と妥協で選んだ現在。それらへの後悔が高梨との関係という更なる深みへ駆り立てる。現実という壁に阻まれる度に、自ら破滅への道を選び取る有紗の姿が印象的でした。

  • この本の文庫版の解説は、井上荒野が書いているが、井上荒野は、本書の前書の「ハピネス」について、斎藤美奈子が文庫版に書いている解説を引用している。孫引きになるが、引用する。
    【引用】
    「桐野夏生はつまりプチセレブのバイブルである"VERY"の読者に向けて、読者層と重なる女性たちを徹底的に皮肉り、批評した小説をぶつけたのである」
    【引用終わり】
    本書「ロンリネス」も、「ハピネス」と同じく初出は「VERY」連載であり、登場人物も前書から継続しているので、この斎藤美奈子の解説は、この「ロンリネス」にも当てはまるはずだ。
    「VERY」という雑誌を知らなかったので、ネットで調べてみた。いくつかのソースから引用・整理すると、下記の通りである。
    ■30代女性をターゲットとする光文社発行の月刊誌
    ■1995年に30代主婦向けファッション雑誌として創刊。1998年には本誌から、東京都白金にちなむ造語「シロガネーゼ」という新語が生まれた
    ■女性の社会進出に伴い、主に30代から40代前半の、結婚、出産、育児、復職など子育て世代の女性を対象としてファッション、ライフスタイルの情報を中心に掲載している
    ■雑誌ベリーのターゲットは、共働きである事が前提ですのでそれだけで世帯年収も必然的に上がります。実際に、VERY妻の世帯年収は1500万円以上というのが条件となります。セレブな生活を送るという事も条件の一つですので、やはりそれなりの年収がなければセレブ生活は送れませんよね
    ■雑誌ベリーの読者層の主な居住区域は、「世田谷区、江東区、目黒区、中央区」というのが一番多いようです
    ■VERY妻というのは、妻であり母である前に、「女性」なんです。そこを楽しめるか楽しめないかという事もVERY妻にとっては死活問題です
    なるほど。それで、本書内の色々なエピソードの背景が少し分かった気がした。キーワード的に言えば、「タワマン-分譲棟と賃貸棟」「子供のお受験」「不倫」「青山のセレクトショップ」等である。他にも色々とある。

    そういう読み方をすると、主人公の有紗の設定は面白い。
    タワマンの賃貸棟の方に住んでおり、地方(新潟)出身で短大卒。共働きではあるが、パート勤務であり、上記のVERY妻の設定とは明らかに異なった設定を桐野夏生は選択している。また、有紗の一番の友人、洋子も駅前の賃貸マンション住まいで「セレブ」とは言えない生活水準。確かに、この2人がVERY妻たち、および、その夫の生活を引っ掻き回すという斎藤美奈子が言った「読書層と重なる女性たちを徹底的に皮肉り、批評した小説」と読めなくはない。
    ただ、そんなこと(VERY連載であること/VERYとはどういう雑誌か)を知らなければ、この小説は、有紗と洋子の不倫恋愛に関する小説であり、読者は、2人の不倫恋愛の持つ、潜在的・顕在的破壊力に驚くばかりである。私は「そんなこと」は、小説を読んだ後に知ったので、破壊的恋愛小説として、この物語を面白く読んだ。

  • 『ハピネス』のラストで、有紗は安易に海外出張の夫についていかず、働きながら娘と暮らして1年間考えるという結論を出していたはずなのに。『ロンリネス』という続編のタイトルに、きっと有紗は離婚してワーキングマザーになるのだろうの期待を持って続んだのだったが、予想を裏切られた。有紗の不倫相手男性が『寂しい、人はみな孤独なんだよ』と妙に独りぼっちを肯定していたのが『ロンリネス』に繋がっているのだろうか。自己燃焼する不倫に走ることで孤独から逃げられている気分になっているように見えて仕方がない。
    桐野さんが”VERY”という雑誌に連載したことに意味があるというレビューを読んだ。検索すると”VERY”は30代女性を対象にしたファツション雑誌らしい。彼女らに向けた警鐘だけとは思えないのも確か。

  • 桐野夏生『ロンリネス』光文社文庫。

    『ハピネス』の続編。本作も主人公の岩見有紗を中心にママさん仲間たちの幸せの裏側に持つ秘密がリアリティを持って描かれる。家族がありながら、今に満足出来ず、まるでスリルを味わうかのように、まるで競い合うかのように禁断の恋に身を焦がすママ友たち。

    離婚の危機を乗り越えた岩見有紗だったが、娘の花奈の教育や夫の俊平の実家のある町田への引っ越し話を巡り、再び夫婦関係がぎくしゃくする。そんな中、有紗は同じマンションの高梨と2人きりで会うようになり、ついに一線を越える……

    本体価格800円
    ★★★

  • ・相変わらず半径1キロが守備範囲みたいな展開
    ・美雨ママは最終的に沖縄に流れていくの、とっても日本的な感じ。逃避行の果てって北海より沖縄なんだよね…
    ・正直、1冊目を読んだ時の新鮮さはあまりない。二番煎じ感は否めない。続編の宿命。
    ・結局、高梨が日和って腰が引けた対応をし出した段階からもう面白くないなあ〜
    ・美雨ママの崩壊を目の前にしたら、やっぱり戻るのが最善策なのはわかる。
    ・中盤、怒涛の有紗の抱かれたいやら恋心の描写がエグい。読んでられん…読者にウケるってことは、やっぱり主婦の皆様は不倫願望があるのかしらん。まあ、日常に飽きてしまう感は誰しもあるよね…
    ・完全に大人本意の話で、子どもは清々しいくらい添え物感覚な描写も面白い。
    ・大晦日に読むべき本かどうかは疑義がありますな笑

  •  子どもの同級生の父親とW不倫しているメンヘラ主婦Aが、親友でセックスレスの主婦Bに「わたしと同程度の秘密がないとあなたのことを本気で信用できない」と執拗に不倫を持ちかける話。Aの言っていることは明らかに支離滅裂なのに、それに対してあまりにもBが無力で、自我がないので常に振り回され、ある種の洗脳のようなものを感じた。他の登場人物の中にも誰一人、魅力を感じる人がいなかった。そもそもママ友、タワマン、お受験の不穏三銃士が揃った時点で気持ち悪い作品になる以外の選択肢はない。あと個人的になんとなく昔から桐野夏生さんと井上荒野さんを同じジャンルに入れていたけど、最近は圧倒的に井上荒野さんの方が好きだなぁと思う。

  • タワマンに暮らし夫婦の危機を一度は乗り越えた主婦が、再び夫との関係に悩みつつ階下に住む妻子持ちと恋に落ちていくお話。

    と、書くとなんか陳腐なんだけど。不倫もの、といえばそうなんだけど、なんとも言えないドロッとした感じや、溺れる友人の話を聞いているうちに自分も深みにハマっていく感じが「グロテスク」っぽさもある気がした。

    ハピネスから続けて一気読み。有紗と美雨ママが互いを「親友」と言うほどの信頼関係になっていて驚いた。
    しかしこれがveryで連載されていたというのはすごいなあ。読者はどういう想定なんだろう?有紗みたいにならなくてよかった、と思う芽玖ママや真恋ママみたいな感じなのか、それとも有紗なようなプチセレブに憧れる層なのか。

  •  2018年刊。『ハピネス』(2013年)の続編である。
     前作はタワマンに住むプチセレブな女児をもつママ友グループに露呈される階級による軋轢が主題であったが、本作ではそれは影を潜め、恋愛—不倫が主題となっている。
     主人公は同じ有紗で、前作のラストでは夫とよりを戻してハッピーエンドになっていたのに、2年後を描く本作では冒頭から夫婦仲があまり上手くいっておらず、不穏である。
     前作から引き続いて継起している親友・美雨ママのダブル不倫に触発されたこともあって今度は有紗が妻ある男性・高梨と恋愛に落ちる。
     しかしこの高梨なる男性はよく分からない。美雨ママの言うように「女たらし」であって、上手いこと女性心理を操縦して遊んでいるのではないかという風に見える。
     はっきりしない悶々としたやり取りが続き、この不透明さは最後まで解消しない。それは現実がそのような不透明さだらけであるからだろう。
     この作品もまた、さらなる続編を可能にしているような終わり方だった。

  • 「ハピネス」の続編ともいえるお話。タワマンで子育てしている有紗。不倫しているママ友がおり、気が付くと自分も不倫をしている。この小説のテーマは「不倫」ではなく、子育て中の男女がしがらみの中でいかに「自分」を失わずに大切に育てていくという話だと思った。なかなか面白かった。

  • 面白かった。何人子供を産もうと何回結婚しようと恋に落ちてしまうことはあるという過程の描写がリアルで読みながらドキッとして擬似不倫体験ができる小説。興味軸がママ友間の都内高水準生活マウントから男に切り替わったっていう人生にに感情移入した感覚になって、読んだ後は世知辛さも感じた。

  • ハピネスで家族の希望が見えただけに残念な気持ちになりました。

  • 甘くない
    挑発
    人たらし

  • 「ハピネス」の続編という事で手に取る。
    前作の流れを思い出しつつ読み進める。
    ハピネスの見えるか見えないかのひりつく女のバトルでは無く
    今作はガッツリとドロドロしている。

    不倫なぁ。
    妻になって母になっても、
    女で居たいと願うから足を踏み入れてしまうんでしょうが
    本当にハマって抜け出せなくなるんだろうな。
    子供が可哀想だと思いつつ
    こんな風に奔放に動けるのは凄い。
    幸せかどうかは別として。

  • 結局不倫するんかーい

  • タワマンに住む幼い娘がいる若い夫婦が主人公。お受験、近所付き合い、そして不倫。
    まあ、あなたの人生だからねー。でも子供には罪はないよ。自分の生き方ももちろん大切だけど。
    この後続編があるのかしら。どうも高階さんは私から見ると胡散臭い。やめた方がいいと思うのは、私が保守的だからかなー。

  • これはちょっと厳しい、、
    中年のダブル不倫を延々と読まされる方の身になってほしい。
    前作面白かっただけに残念。

  • 結婚を決めるときは、一生を添いとげたい相手かよく考えないと。みんなを傷つける

  • パピネスから一気読み!

  • ハピネスの続編。登場人物の表現が○○ママ、○○パパとなっているときと、名前の時があり、この人誰だっけと思い出すのに立ち止まることも。主人公が男との合瀬のために未就学児を夜1人留守番させるシーンさすがに引いた。続きがありそうな終わり方だった。

  • 出会ってしまったら危ない橋でも渡りたくなってしまうのは正直わかる。だから、有紗が沼に嵌っていくまではソワソワし通しで、指の隙間から見るように読んだ。ただ、これが本物の恋なんだとしてしまうところまでは気持ちが追いつかなかった。もちろん洋子の恋愛も同様である。

    有紗には自分という軸ができた。ハピネスの頃の彼女とラストの彼女はまるで違う人間だ。それでもこれを「大人になった」とか、「人間として成長した」と前向きな表現で評価したくない。彼女は「図太くなった」だけなのだ。そしてきっとこの先もよりそれが強くなるのだろうと思う。良くも悪くも。

    結果的になんとなくきれいに丸く収まったとしても、後々を考えると恐怖でしかない。このように考えてしまう私は、この本で言うところの"つまらない女"なのだろう。

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著者プロフィール

1951年生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞を受賞。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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