正体 (光文社文庫 そ 4-1)

著者 :
  • 光文社
4.36
  • (429)
  • (329)
  • (87)
  • (9)
  • (4)
本棚登録 : 4786
感想 : 312
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (618ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334792947

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 死刑囚の脱獄先での一つ一つのエピソードが多く結構長いのですが、死刑囚となった彼の本音を聞きたいし、真相が知りたくて一気に読んでしまいました。

    どの場所でも彼が本当に「いい」人間であることが伝わってきます。彼に救われた人たちもまた本当に善良な人たちなんです。市民としては警察には言わなきゃいけないし、でも嘘であってという思い…葛藤が切ない。

    結末には賛否あると思いますが、私はこれで良かったと思います。とにかく警察の人はちゃんと調べてくれ…

    作者のあとがきが本当に優しいです。

  • 主人公の人柄が温かくて切なくて、切なくて。どうか報われてほしいと願いながら読み進めた。最後は切なく悲しくて、でも少し光がさすようなそんな読了感だった…

  • 主人公がいいやつは、面白いので
    600頁はあっという間に読み切れる
    一方でいろんな潜伏エピソードは、少し間延び感はあったのかもしれない。
    最後はいい終わり方だったと

  • 重たかった、、けれどしっかりストーリも追うことができて味わえた。
    タイトルの通り、その正体に迫る内容ですごい引き込まれた。
    作者あとがきの最後の文がジンときた。
    自身の作品を愛されてるな〜

    若干伊岡瞬さんを彷彿とさせるので好きになりそうな作家さんだなぁ。黒い糸も面白かったし。

    ドラマ化してるみたいでそれも面白そう。

  • 少年死刑囚が脱獄。その逃亡劇の中で様々な人達と出会っては別れ、その結末までを描くストーリー。
    読めば読むほど鏑木君の人柄、抱える苦悩や寂しさが分かっていき、その最期にとてつもない理不尽さを感じた。
    自分の考えの軸を持とう、とここ最近読んでいた読書術の本に幾度となく書かれていたが、この小説でもそれを痛感。
    また、過ちを素直に認める人間性を備えていたいと思う。立場が上になり組織が大きくなれば過ちを中々認められないけれど、それは他の誰かにとって大きな歪みになってしまう。
    色んな内省が得られた一冊でした。

  • 2023/10/28読了。

    脱獄した少年死刑囚、鏑木慶一。
    そして逃亡先で彼と知り合い、関わった人たちと数々のエピソード。
    作者の力量をもって、しっかりと書き込まれているので、長い作品だけれど飽きずに、こちらもきちんと彼らと向き合って読めたのではないかと思う。
    世の中には本当にいろいろな職業、境遇の人がいるのだ、そしてそれぞれ、その人なりの悩みや考え方をもって生きているのだ、と改めて心に響く。

    最後の30ページぐらいは、涙で文字が霞み。
    読んでは涙を拭き、また少し進んでは、ティッシュに手を伸ばし。
    最後の文を読み終えた後は、声を出して泣いていた。

    何とか心を落ち着かせてあとがきを読んだら、また泣かされて、明日、目が腫れていないか心配なほど。
    本を読んで泣くことなんて、ほとんどないのに。

    まだ10月末だけれど、個人的に今年の1番はこの作品かな、と思う。
    たった8日間だけれど、鏑木慶一と一緒に過ごせてよかった。

  • 冤罪の怖さを本作で改めて知りました。

    無罪にも関わらず罪を着せられるという事の理不尽さ、ましてやその結果死刑判決を受けるという無念さ、悲しさが心に迫りました。

    事件当時、18歳という若さの青年が、この現実に真っ向から対峙する内容が、あまりにも辛く、最期まで真実を訴えた生き方に、心が押し潰されそうになり、何度も涙しました。

    本作はフィクションですが、実際に冤罪で罰を課せられ、中には命を奪われた方がいるという現実…
    ラストが意図する意味…
    作者の染井為人さんのあとがきが心に響きます。


    今自由に生活している中で、ある日突然、この自由が奪われるという悲劇

    それが実際に起こりうる現実に憤りを感じると共に、その様な悲劇が起こらない世の中を願わずにはいられませんでした。

    絶望の中でも、本来の素晴らしい人柄を変える事なく、人を思いやり尊重する主人公の鏑木慶一の生き様に、深い感銘を受けました。

  • 染井為人『正体』光文社文庫。

    サスペンスフルな長編小説。最初はなかなかやるじゃないかと思ったのだが……

    冤罪を扱っている点では清水潔の『殺人犯はそこにいる』を参考にしているようだし、鏑木慶一の逃亡記録という点では市橋達也の『逮捕されるまで 空白の2年7ヵ月の記録』を参考にしているように思った。そして、全体の味付けは薬丸岳の一連の小説という既視感ばかりの小説だった。

    さらには、鏑木慶一が犯人とされる一家惨殺事件は世田谷一家殺人事件がモデルで、一橋文哉の『世田谷一家殺人事件 韓国マフィアの暗殺者』を参考にしているのかも知れない。

    と、どう考えても模倣作としか思えない卑怯な作品だった。

    埼玉で若い夫婦と2歳の子供を殺害し、死刑判決を受けた少年死刑囚の鏑木慶一が脱獄する。鏑木は偽名を使い、東京オリンピックのテニス競技場の工事現場や高齢者向けグループホーム、在宅ライター、菅平の旅館の住込みアルバイトなど様々な職場で働きながら潜伏生活を送る。

    しかし、鏑木と関わった人物は皆一様に彼の人間性に魅了され、彼が凶悪事件の犯人であることを信じない。果たして、鏑木慶一は本当に凶悪事件の犯人だったのか……

    本体価格900円
    ★★

    • ことぶきジローさん
      単行本のレビューを見ると評価が高いことに驚く。こんな既存作のつぎはぎだらけの模倣作であるのに不思議だな。
      単行本のレビューを見ると評価が高いことに驚く。こんな既存作のつぎはぎだらけの模倣作であるのに不思議だな。
      2022/01/16
  • これは、、辛い。
    名を変え姿形を変え、自らの潔白を証明する為に必死で生きてきたのに…。
    不幸が重なった。
    主人公には生き抜いて欲しかった。

    信じてくれる人がいたことが救いか。

    ただただ考えさせられる。
    読み終えて暫し呆然。なかなか無い貴重な読書体験。

  • 2歳の子を含む一家3人を惨殺した死刑囚が脱獄した
    彼の目的、そして彼の正体とは?

    放心状態…
    彼の「正体」に胸が締め付けられた
    色々考えさせられる
    構成、物語の視点がとてもよかった
    あとがきの最後に涙

    評判通り作者のあとがきがよかったので文庫本かaudibleがおすすめ

全312件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

染井為人(そめい・ためひと)
1983年千葉県生まれ。芸能プロダクションにて、マネージャーや舞台などのプロデューサーを務める。2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。本作は単行本刊行時に読書メーター注目本ランキング1位を獲得する。『正体』がWOWOWでドラマ化。他の著書に『正義の申し子』『震える天秤』『海神』『鎮魂』などがある。


「2023年 『滅茶苦茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

染井為人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×