花菱夫妻の退魔帖 (光文社キャラクター文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334794262

作品紹介・あらすじ

累計100万部突破の「後宮の烏」シリーズの白川紺子・最新作
大正時代の薫り高い世界観×悪霊退治ファンタジー!

大正九年の東京。侯爵令嬢の瀧川鈴子はとある事情から浅草出身で、怪談蒐集を趣味としている。ある日、室辻子爵邸に呼ばれて芸妓の悪霊を目撃した際、花菱孝冬という青年に出会う。彼は十二単を纏う謎の霊を使い、悪霊を「食わせた」のだった……。掴みどころのない孝冬を気味悪く思う鈴子だったが、なぜか孝冬に求婚され――!
逃れられない過去とさだめを背負う二人が結ばれることで、動き出す未来とは。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の先輩からお借りした一冊。
    後宮の烏の作家さん。
    ファンタジーはあんまり好きな分野ではないのだが、後宮の烏には結構嵌り、アニメもアマプラでがっつり見た( ^ω^ )

    この作家さんの知識量って半端無いなぁ。

    割と読書は定期的にしている私でも、読めない漢字がいくつかあった。
    ルビもあまり振ってくれていない印象だったが、どういう人がこの本を読むのだろう??
    これってライトノベルと呼ばれるジャンルだよね?



    この本は大正時代の日本が舞台。
    侯爵令嬢の瀧川鈴子は怪談蒐集を趣味としている。ある日、室辻子爵邸に呼ばれて芸妓の悪霊を目撃した際、花菱孝冬という青年に出会う。彼は十二単を纏う謎の霊を使い、悪霊を「食わせた」のだった……。掴みどころのない孝冬を気味悪く思う鈴子だったが、なぜか孝冬に求婚される。

    幽霊が見え、成仏させてあげたい鈴子と、十二単の霊に幽霊を食べさせたい孝冬。
    この本はまだ序章でしかないと思われる。
    今後どんな展開になっていくのかなー?

  •  幽霊を見ることができる令嬢と怨霊のために幽霊を探さなくてはならない新興華族の青年の物語。

     かなり好き、こーいう展開。

     様々な伏線も張られていますし、続きが楽しみですね。

  • 「花菱夫婦の退魔帖」というタイトルから想像していた話とちょっと違いましたが、後半に行けば行くほど幽霊・悪霊・怨霊要素に加えてキュン要素もあり、主人公・鈴子と夫となった孝冬の絶妙な会話劇に、もだえていました。
    ただ最初から☆4とつけてしまうと期待値が上がりすぎ、次作評価が辛口になりそうなので、ここは☆3とします!

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    時は大正9年。
    侯爵令嬢の瀧川鈴子(17歳)は、訳あって怪談蒐集(かいだんしゅうしゅう)を趣味としていた。
    ある日、室辻(むろつじ)子爵夫人のもとに現れたという幽霊の話を聞いていたところ、花菱男爵と出会う。
    花菱男爵は十二単衣の怨霊・淡路の君を連れており、そこに現れた件の幽霊を淡路の君に食わせてしまった。

    花菱男爵の言動に苛立ちを覚えた鈴子だったが、花菱男爵はそんなことには構わず、突然鈴子に求婚する。

    鈴子、そして花菱男爵が抱える過去と秘密とは?
    淡路の君とはいったい「なにもの」なのか…?

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    「花菱夫婦の退魔帖」というタイトルだったので、表紙の二人が結婚して幽霊(悪霊など)や魔物をバリバリ退治してる話ですかね??とおもったら、冒頭の二人は夫婦どころか初対面でびっくりしました。
    また「退魔」というよりは、怨霊・淡路の君が問答無用に幽霊を食うことに対し、後半に行けばいくほど鈴子がそれを阻止し、食われようとする幽霊の無念をはらして成仏させようとする動きが活発になっていきました。
    というわけでタイトルのイメージで術をバンバンつかってかっこよく退魔!という展開を期待して読んでしまうと、期待してたんとちゃう…となってしまう恐れがあります。

    今回の話運びからすると「花菱夫婦の退魔帖」というタイトルはあまりしっくりきませんでしたが、一応本巻の後半で鈴子と孝冬は夫婦になりました。
    この先も続くシリーズのようなので、今後の展開も見据えた上で「花菱夫婦の退魔帖」としたのかも??
    今の所こたえはでませんが、今後タイトルと話が合致する瞬間に出会えたらいいなあ…とおもいます。
    それにしても、タイトルって本当に大事ですね!

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    鈴子自身は退魔能力は持っていませんが、幽霊の姿を見ることができます。
    また花菱男爵(名前は孝冬・たかふゆ)は、淡路の君を連れているせいからなのか、それとも生来の能力なのかは不明ですが、こちらも幽霊を見ることができます。
    くわえて花菱家は神職であり、手広く商いを成功させている商人の家柄…つまりはお金持ち、です。

    鈴子も孝冬もその出自と家族構成が複雑で、さらには華族、神職についての知識を理解するのに、序盤すこし苦労しました。
    脇役とナレーション、そして孝冬が懇切丁寧にその辺の知識を教えてくれるのですが…やはりもともと詳しくないところなので、のみこむのが難しく…(汗)
    しかしそこさえ越えてしまえば、「淡路の君を退治したい」という鈴子の決意表明はむしろ応援したくなるものですし、そんな鈴子の凛とした佇まいに惹かれていく孝冬もまた、愛すべきキャラクターへと変貌してしまったのでした。

    特に本巻最後の話「魔女の灯火」では、鈴子がとにかく凛々しく、そんな鈴子に恋をしてしまった孝冬の姿に、読んでるわたしもキュンキュンモードに!
    鈴子はまだ恋愛感情を知らないが故、孝冬をひとりの人間として、そして妻として支えていきたいという気持ちで発言をしています。
    そのセリフには、孝冬とともに歩んでいこうとする確かな意志は感じるものの、孝冬への恋心はにじみません。

    対しての孝冬は、もう完全に鈴子に恋い焦がれてしまっており、鈴子が自分に対して恋心を抱いていないことにも気づいています。
    結婚はしている、そして鈴子も自分を支える気持ちはある。
    しかしそこに鈴子が孝冬に恋をしているという感情だけがない、この状況…
    でも夫という立場を利用して力づくで鈴子をモノにしようというわけでもなく(そういうとこがいいところ)、鈴子にも自分を好きになってほしい、そのために自分も努力しますという孝冬。
    いやもうせつない!読みながらおもわず「がんばれ孝冬!!報われてほしいわ!!」となってしまいました。
    孝冬のしんどすぎる生い立ち(いやでも鈴子もなかなかの生い立ちなのですが)も相まって、というのもありますが、シリーズ1作目にしてすでにもう「鈴子も孝冬も絶対しあわせになってね!!!」モードになってしまっています。
    次作、いつ出るんだろう…?

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    白川さんの作品はシリーズものとしては「後宮の烏」「契約結婚はじめました」「朱華姫の御召人」「京都くれなゐ荘奇譚」に続いて5シリーズ目です。
    初期作品の「朱華姫〜」はもとはコバルト文庫で刊行された小説で、中華風ファンタジーの世界を舞台としながらもラブコメ色が強く、文章明るめ・キュン要素高めでした。
    「契約結婚〜」はおだやかでもどかしい三角関係と困りごと解決ドラマでしたが、「後宮の烏」「京都〜」あたりは文章も重め、闇要素もある物語に。
    このあたりの作風の変化は、どういうきっかけがあってなのかな??と興味をもちました。

    「後宮の烏」では主人公と皇帝・高峻の間に恋愛感情はえがかれることなく終わりましたが、こちら「花菱夫婦の退魔帖」は過酷な運命ながらも「京都〜」よりは共感できる恋愛感情が書かれていますので、そうしたお話がお好きな方は一度手にとってみられるとよいかもしれません。

  • 2022年9月光文社キャラクター文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。虚飾のエメラダ、花嫁簪、魔女の灯火、の3つの連作短編。大正時代の華族である夫妻の退魔譚。時代の雰囲気と妖しい事件と二人の関係の織りなす展開が興味深くて面白い。次巻が楽しみ。

  • 読みやすかったです。
    大正時代が舞台なのが良いですね。
    ファンタジーですが、作中に出てくる着物や宝石、食べ物など作者の知識量が凄く、大正時代の流行についても勉強になりました。

  • このタイトルで始めるのなら、出だしのふたりは『花菱夫妻』でないと。
    そこから過去に戻る感じ?
    そこがちょっと違和感。

    お話しはおもしろいですよ〜時代背景が新鮮。
    一気に読めます。
    2023年5月発売予定の二巻目が楽しみ。

  • 最悪の出会いからは思いもよらないほど、穏やかな2人の関係。孝冬の兄が本当に関係しているのか、鈴子の手の火傷やその下の傷が何なのか、まだまだ気になることはたくさんあるので、それが明らかになることを祈りつつ、それらが明らかになった時もこの2人が穏やかな時を過ごしていると良いと思う。

  • 伯爵令嬢の鈴子は、浅草の貧民窟に暮らしていた所を11歳の頃に伯爵家に引き取られた。
    霊を見る力がある鈴子は、街で出会った花菱孝冬に憑いている十二単を着る淡路の君に認められて、急遽孝冬へ嫁ぐこととなった…

    急に結婚させられた鈴子と孝冬が、不器用ながらに歩み寄る姿がニンマリでした。

    花菱家の闇や、鈴子が母を亡くしてから良くしてくれた浅草の人達を殺した犯人など、まだまだ解明されていない事があるので、これからに期待しています。

  • 死者を視る死んだ魚のような目をした鈴子と、笑顔なのに目の奥は笑っていない怨霊付き孝冬。
    知るうちに傅きたくなるほど妻に恋焦がれていく夫が愉快です。

    まだまだ謎が残ってて続刊が今から待ち遠しい。

  • 後宮の烏程謎がない
    軽く読めそう、面白いけど

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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