腸詰小僧(ちょうづめこぞう) 曽根圭介短編集

著者 :
  • 光文社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912994

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。曽根圭介は結構好きな作家の一人です。
    二つの違うストーリーが同時進行していって、最終的に交錯して、意外な結末が明かされる…という同じようなパターンが続くので、最後の方は展開が読めてくるのが少し残念。とはいえ、なんかあるんだろ?なんかあるんだろ??と構えながら読んでいても、最後にはそうきたかー!となるところが楽しかった。

  • 邪悪の極みというほかない、ブラックでダークな読み心地のミステリ短編集。どれをとっても最悪。誰一人共感できやしない。アンハッピーエンドここに極まれり。でも逆に爽快というか、こういうのを好きなものにとってはたまらないです。
    お気に入りは「腸詰小僧」「母の務め」。「腸詰小僧」はもうタイトルからやられてしまいましたが。そのタイトルにも劣らぬ邪悪すぎる物語。そして「母の務め」もいったいどうなるのかと思ったらまさかそんなことに。どっちもとても印象的な結末でした。
    「天誅」も気持ち悪い話。あの人もこの人も信じられない。そもそもまともな人がいるのか、どれが真実なのか。なんとも言えない不気味さが後を引く読み心地です。

  • くだらなくて、痛快で、
    クズばっかり出てくる最高の短編集だった。
    やっぱり曽根さんは短編の方が
    斬れ味抜群で読んでて気持ちがいい。
    マンネリせず読みやすいスピード感が好き。

    しょーもないクズばっかりで、
    皆悪びれる様子もないのがたまらなく好き。

    表題作の腸詰小僧の終わり方は
    スーっとして個人的には好きなオチ。
    解決屋の終わり方もいい。や、そっちかよ笑 って

    天誅と留守番もよかった。

    ミスリードが素晴らしい

  • フリーライターの西嶋の元を、「腸詰小僧事件」の被害者の父が訪ねてきた。当時12歳だった犯人の「腸詰小僧」に会わせろと言う…。表題作をはじめ、全7編を収録した短編集。

    いずれもひと捻りある短編が並ぶ。叙述トリック中心だけれど、警戒していてもまんまと騙される。通勤電車で細切れに読むのに向いているような感じの短編集だった。
    (B)

  • ノン・シリーズの短編集。全7作の内、1作だけ「ザ・ベストミステリーズ2017」で既読だった。その短編がとても良くて印象に残っていたのだが、未読だった6作も面白かった。特に表題作が傑作。ミスリードの巧い作家さんだなあ。すっかり騙されてしまった。
    全体的に裏社会に生きる人が多く登場し、結構ゲスいストーリーであるけど、その中にミステリの仕掛けが潜んでいるのが愉快。これ、今年読んだ短編集の中で上位に入るな。

  • 皮肉のきいたブラック味の短編集。
    7話収録。

    「腸詰小僧」
    主人公は記者。
    両親と女性を殺害し、ソーセージにした犯人を直接取材した事があり、それを突き止めた被害者の父親が彼に接触してきた。
    その父親は犯人の居所を知りたいと言う。
    主人公には弟がいるが、弟は今ストーカー女に悩まされている。
    弟に借りのある主人公がした事はー。

    「解決屋」
    殺し屋のスズキとその半生。

    「父の手法」
    主人公は介護施設で働く女性。
    入所者の老人で彼女を見たとたん、怯える男性がいて、彼はやがて自分の犯した罪について語り始める。
    主人公はその話が真実なのか、当時の事件を探るー。

    「天誅」
    児童ポルノ特捜班で、娘の裸をネットにさらす犯人を追う刑事たち。
    同級生の少女が父親から性的虐待を受け、何とか彼女を助けようとする小学生の男の子。
    刑事たちの話では、やがてネットカフェで犯人らしき男が来店したという情報が入り、小学生の男の子の話では大人たちに相談してもらちが明かず「天誅」と称し男の子は同級生の父親を殺そうとするがー。

    「成敗」
    元妻に恨みを抱く男性。
    彼は犯罪をおかした人間のグループセラピーに参加し、そこで一人の女性と出会う。
    彼女は罪を犯した人間を「成敗」する「新選組」のメンバーだと言う。

    「母の務め」
    誘拐の片棒をかつがされて刑務所に入った息子をもつ母親。
    弁当工場で働き、新しく入ったバイトの女性に恋する男性。
    全く接点がないと思われる両者にはある接点がー。

    「留守番」
    家で留守番をする男性。
    そこに娘の婚約者と名乗る男性が表れるが、話をしているとどうもつじつまが合わない。
    彼は偽物ではないのか疑った主人公がした行動はー。

    どの話も皮肉がきいていて、ブラック味が漂っている。
    だけど、どこかマンガチックで読んでいてユーモアを感じる。
    とにかく、上手に騙された!
    そのひと言。
    こういう犯罪を犯すのはこういう人だろう・・・という読み手の固定観念を上手に利用して、その思いこみでもって、結末で「あ、そうだったの?」とさせる。
    しかも、1話、2話とそういう話だったので、3話目もか、騙されないぞ・・・と読んでいたら、次はこうきたか・・・となる。
    とにかく巧みで、それが奇をてらった、という体でないのがいい。
    ただ、難を言えば、同じような話が多く、続けて読んでいるとどれがどれか分からなくなるという事。

    私はこの本を読んで、自分が固定観念が強い人間なんだな・・・と改めて知った。

  • 初読みの作家さん。

    この手法が長編で取られていたら、ついて行くのが面倒で大変だったと思うが、短編集なので、騙された後すぐに読み直せる手軽さが良かった。
    4作目の「天誅」以降は、こちらも少し慣れてきて、身構えながら探り探り、大幅に騙されずに読めた。

    先が気になるし、読み易いし面白いのだが、グロい点が私は苦手。

    脱字…初版1刷 45ページ 「気配を感じのか」
    疑問…駅での人身事故発生後、反対側ホームへ行き、(少し時間が経過して)、電車が来たので飛び乗ったという描写があるが、普通この状況なら反対側の電車が入線してくることは無いのではないだろうか。(この点は、話の筋には重要なことではないが、気になった)

  • 女性をソーセージにしてマスコミに送りつけ、全国を震撼させた”腸詰小僧”の独占インタビューに成功した西嶋だったが、記事掲載を発端に困難な事態に。追い詰められた西嶋は――。(表題作)どいつもこいつもロクデナシ。でも不思議と痛快な極悪ミステリー全7編!!

  • スピード感・発想・ストーリーは良くてさくさく読めるけど、どれも同じ手法で書かれているので読み終わる頃には少々食傷気味になってしまう。
    どれも嫌な後味でモヤッとして終わるのは好き。話によってはバドエンぽかったりメリバぽかったり。

  • 好き。
    出てくるヤツラ全員悪人。
    人生なんて放っておいても勝手に前に進む。

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著者プロフィール

1967年、静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。漫画喫茶の店長などを経て執筆活動を開始。2007年「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、同年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞。09年「熱帯夜」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2011年『藁にもすがる獣たち』で第2回山田風太郎賞の最終候補作となる。トリックの効いた異色の作風で注目されている。

「2017年 『暗殺競売』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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