死神と天使の円舞曲

著者 :
  • 光文社
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感想 : 146
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914639

感想・レビュー・書評

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  • 2作目と同じく黒猫のクロから始まる。
    柏木美穂と平間大河は幼馴染だ。プロポーズしたが美穂の両親から反対される。一人前の料理人になれば結婚できると信じて、大河は料理人として修行して帰ってきた。再度プロポーズしたが美穂は既に結婚し子どももいた。大河が鬱病になり療養し復活したが、その間に美穂は死んでいた。ここまでがプロローグだ。

    美穂が真実を語らないもどかしさを感じる。同時に語らない事の優しさもわからないではないが、それが事態を悪化させていると感じた。
    さて真実は?真実はクロによって明らかにされていく。想像がつくが、それでも悲しくも温かい気持ちになれる。

    美穂の未練は娘、娘の体についたアザは両親、従兄弟の虐待なのか?美穂は終の棲家として山の上医院で過ごす。レオの登場である。レオの活躍はクロと同じく温もりを感じる。
    そんな中、不審火が起きる。柏木家と関係があるのか?レオとクロが共闘する。放火犯はレオとクロが捕まえたが、更に謎が深まっていく。連続放火犯の動機や方法や機会は何だろうか?そして真犯人は誰か?わくわくしながら読み進めたが・・・

    レオやクロと同類のカラスのプルートが登場するが、敵か味方か?
    ミステリーとしては稚拙さはあるが、人の強さや優しさが伝わってくる作品だ。読後に素敵な気持ちになることができた。

    • いちご大福さん
      私は面白いとしか思わなかったけれど、まっちゃんさんは深読みしていてなるほど〜、と思いました!
      私は面白いとしか思わなかったけれど、まっちゃんさんは深読みしていてなるほど〜、と思いました!
      2023/02/18
    • まっちゃんさん
      いちご大福さん、コメントありがとうございます。私も知念美希人さんの作品は好きなので読み漁っております。題名の付け方も気になるタイプなもので、...
      いちご大福さん、コメントありがとうございます。私も知念美希人さんの作品は好きなので読み漁っております。題名の付け方も気になるタイプなもので、その点も知念美希人さんの題名は、興味深く、手に取ってしまいます。
      2023/02/18
    • いちご大福さん
      私も知念実希人さんの本が大好きです!
      私も知念実希人さんの本が大好きです!
      2023/02/18
  • ミステリとしては前回のが上だったかもしれないが、場面や心理描写は迫ってくるものがあった。
    特に解決部分よりも、その背景の描かれ方が素晴らしかった。このような未練を抱いて亡くなる人は多いのだろう。

    どちらかと言うと、犯人や黒幕はなんとなく分かる形だったので、動物が持つ特性を活かした解決法がどう展開されていくかが面白かった。
    所々に挟んでくる、レオとクロのお互いの信念と関係性や好物がストーリーのテンポをよくしている。
    レオとクロが肉球を合わせて、協力を決め込むところの可愛さ。
    レオは体力、クロは頭脳を使って。
    そして、今回は協力者も得て。
    めっちゃいい仕事するこの協力者。
    思い入れを持って読んでいたので、純粋な感想と違うかもしれないが、私はこのシリーズを自信を持ってオススメする。

  • <憶>
    読んでいると過去の出来事の記述が沢山出て来る。前に起きたあの時のあいつが・・・とか。ということは明記こそしてないないがこの本はシリーズ物の途中巻(現時点では最新刊か)という事になる。
    そして僕はそのシリーズを多分全部読んではいる。だが!ほとんど思いだせない。ストーリーとしてはかなり特徴的な内容なのだが読んだ筈の過去ストーリーの仔細を覚えていない。もしかすると前の巻はづいぶん昔の発刊だったのかなぁ。

    どうやら作者の知念実希人は,読者は前のシリーズを読んで しかもしっかりと覚えている事を前提にこの本を書いている様子だ。でも読んでいない読者だっているんだからその読者無視的なやり方はあんまりだろう。そんなシリーズものかどうかなんて知らずに本を買ってしまう読者だって結構いるんだから。普通の作家達はそう言うある意味ありがたい読者の為にシリーズ物であっても出来るかぎりその一冊だけで内容が分かって読みやすく面白い本にする努力をしている。

    顕著な例を挙げれば小路幸也の『東京バンドワゴン』がそうだ,もう10年以上続いているバンドワゴン シリーズだけど毎巻のっけの部分でシリーズ成り立ちの説明を行っている。これは読み慣れた読者にはちょっとしつこくて面倒かもしれないが,東京バンドワゴンは年一冊しか新刊は出なくて僕の様な記憶力の衰えた老人には結構ありがたいんだ。そしてもう日本ではそういう老人しか紙の本は読まないんだぜ 笑う。

    物語の中のとある件でひとりの刑事が登場する。その刑事は久住(くすみ)という名前。なんとこれが偶然な事に本書と並行して読んでいる京極夏彦はんの『鵼の碑』に 何人か登場する主人公格の名前と同じなのだ。久住という名前は僕的には大変にめづらしい名前なので憶えていた。こういう偶然は文芸本を読んでいるとかなりの確率で僕の場合は起きる。いや起きるからどうにかなるか と云うと別にどうにもならないのだが。すまぬ。

    「蓋然性」という言葉がある。起きる内容に必然性があって誰が考えても不自然ではない事を表す というような意味の筈だ。僕はこの言葉をコンビン(今野敏)先生の警察小説で読み覚えた。例えばある事件の被疑者のその行動は蓋然性があるので信じてよいかもしれない,等の様に。
    で,本書にはその蓋然性が乏しいところがある。もちろんネコが・・犬が・・と云うある意味ファンタジーな作品なので端から蓋然性など無くてもいいのだ,と云う意見もあるだろう。

    だが例えばどんな奇想天外なSFにだって蓋然性が無いと物語り全部が嘘くさくなってしまう。子供向けの絵本ではないのだから。どうも知念はそういう所も時々取りこぼした作品を書いてしまうようだ。もちろん知念の多くの作品は別に蓋然性に欠けるところは無いのにどうしてこの物語には蓋然性が無いのだ,という意味で僕は言っている。

    ここまで僕の感想を読むと本書はなんだか嫌な感じの全然面白くもない本に思えるかもしれないけれど実はかなり読みやすい面白い本ですので読者諸兄姉のみなさま是非読んでみてください,以下の様に値段もとてもお手頃ですので。

    本作は本の厚みの割には1450円と安い。これは出版社にヤル気が有る ということだ。買いやすい値段をつければガチ沢山売れる という算段である。イコールこの作品を売れ筋作品だ と認めているという事。出版社は 『光文社』光文社と聞いて僕が思い出すのは かの有名な漫画『鉄腕アトム』鉄腕アトムの最初の漫画単行本は 光文社刊ではなかろうか? もちろん調べればすぐわかる事だが そうせずにここに書き飛ばす。すまぬ。笑う。

  • シリーズ第三弾。

    “魂の案内役”である、ゴールデンレトリバーの(姿の)レオと、黒猫の(姿の)クロは、それぞれ、大河と美穂の“未練”を解消するべく、彼らの記憶に入り込みます。そこで二人の悲しい事情を知ることになり・・・。

    クロ視点の第一章とレオ視点の第二章が、丁度大河と美穂の物語のサイドA、サイドBのような構成で、そこからレオとクロが行動を共にする第三章に繋がる展開です。
    二人の若者の悲しすぎる物語は、読んでいて胸が苦しくなる部分もありましたが、レオとクロの言動が何ともチャーミングで、癒されました。
    二匹(?)がお互いをディスり合いながらも、協力し合って事件を解決しようと奔走する姿が好ましいです。
    そして、院長が何気に良い仕事をしてくれて、高ポイントでした。
    第三章で、連続火災の真相や、まさかの黒幕が判明する辺りは、まさに手に汗握る怒涛の展開で、一気読みの面白さでした。
    いやぁ、レオ&クロのコンビ、最高ですね。彼らの活躍を今後も読みたいので、是非続いてほしいです~。

  • シリーズ三作目。今回はレオとクロが一緒に立ち向かう。レオもクロも好きな私には嬉しい作品。
    人が亡くなったり、未練を残したりと悲しい部分はあるけれども、根底には穏やかさや温かさのある作品。表紙もレオとクロらしさや世界観が出ていて好きです。

  • 「死神」シリーズ3作目。1作目、2作目のレオとクロが力を合わせて、大活躍。
    1作目、2作目を読んでいなくても大丈夫ですが、レオとクロがどうやって地上に降りてきたのか、どんな人たちと出会ってきたのかがわかるので、順番どおり読むほうがおすすめ。
    黒幕はなんとなくわかるし、今回も前作同様、ちょっとご都合主義な話の展開、と思いながらも楽しんで読ませてもらいました。

  • 死神シリーズ第3弾
    クロの物語、レオの物語、クロとレオの物語という構成になっている。クライマックスの部分について、クロとレオが果たすべきこと、奴らの正体等、伏線を回収できるため、本書については、第1.2弾を読んでから読むことを勧める
    涙は必須!死神シリーズは最高に心暖まる物語である

  • シリーズ3冊目。

    今回も、なんだけど。
    なんだか未練を残す人達の思い込みがすごくて
    モヤモヤしながら読んだ。
    追い込まれると人はこうも自分の思い込みから逃れられないものなのかと。
    それでも最後はスッキリほっこり終わった。
    レオとクロ、いいコンビだな♡
    愛がたくさん。

  • アンソロジー集から、こちらへ移動。

    なるほど。
    第一章を切り取って読んでいたので、大河のその後がどうなったか分かって良かった。

    フィクションに求めてはいけないのかもしれないが、穂乃花については、なんだか、ミステリーのために色んなものを背負わされているような気持ちにもなって、少し切ない。

  • シリーズ3。

    うーん。
    大河のパートは話せばわかるのにややこしくしているだけだし、美穂のパートは医者がしっかりしていればいいだけだ。真相も解決方法も想定内。定番が悪いってわけじゃないけれど。

    正体を明かすのも、人間を操る催眠術もあり。縛りがなさ過ぎて御都合主義に思えてしまうのが残念。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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