リラの花咲くけものみち

著者 :
  • 光文社
4.43
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334915414

感想・レビュー・書評

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  • 親同然の祖母の元を離れて、大学で獣医学を学ぶ聡里の成長の物語。

    読み終わって温かい気持ちになった。よかった。

    動物の命に責任を持つことの重さがずしりと描かれていて、物語に深みを与えていた。
    激しい人見知りの聡里が一生懸命に周りの人や動物たちに向き合う姿に力をもらえた。

    ☆4.5

  • この一冊で、色々な事が経験できます。寧ろ人生を振り返る事ができます。これから生きて行く上で家族、友達、恋人をもっと大切にして行こうと思える一冊でした。そして、読了後はチドリみたいな強くて素敵なおばあちゃんになりたいと心から思いました。

  • 若者が成長していくのが見ても、読んでも心地よい。優しい祖母と孫は絵になる。獣医に関する事項も具体的で分かり易い。最後は、泣ける。

  • 獣医を目指す聡里の成長を
    大学時代を中心に
    描く。

    なんだか、共に人生を歩んでいるようで、応援したくなったり、
    一緒に泣いたりしたくなる。

    いくつも人生訓となる言葉があった。
    ペットを飼う者には
    考えさせられる一面もあった。

    実習の描写が生々しかった。
    苦手な方はダメかも。
    ストーリー全体では、
    ん?と思う部分もあり、
    星四つ!

  • 祖母の愛情に感動です
    聡里の引きこもりからの自分の目標を見つけ
    成長していく物語に
    引き込まれました
    是非読んで頂きたい本です

  • 複雑な環境に育った聡里が北海道の大学で獣医師を目指してひたむきに努力し、周囲の人にも恵まれて目標を達成し、さらには心優しい同級生と結婚にまでこぎつけるというストーリー。この結論だけ見ると、単なるハッピーストーリーだが、途中大小様々な試練が襲い、それを乗り越えていくという成長物語。所々泣ける。
    ただ、これは本当に聡里という主人公中心の聡里のための物語であって、同級生、尊敬する先輩、親身になってくれる祖母の妹夫婦などは、登場シーンが過ぎるとどんどん脱落していき、この人たちは存在しなかったかのように軽く消えていく。あれだけ主人公が関わった人たちの行く末というのも知りたかった気がする。

  • この作品の舞台になった大学を卒業し、今も研究で通っている獣医師です!書籍も大学購買で手に入れました。道路、バス停、大学構内の建物の配置、授業やテストの日程は9割本物です。気になる先輩に彼女がいたりするのもあるある笑
    なのでめちゃめちゃリアルな描写でさらさらと読めた。
    個人的には獣医学部ではなく”獣医学類”なのと、生化学教室のファージセラピーが書かれてて嬉しい。

    小説としてもすごく面白い。私もチドリの強さと優しさが好きで泣いた。医者が見る医療ドラマ的なファンタジー感はあるけど、動物ではなく獣医師(を志す人)視点の作品は初めてかも。
    命の扱い方が丁寧に描かれていてよかった。かわいそう、助けてあげたい、殺したくないと思いながら「人の生活を守る」という獣医師の使命を全うしています。大学と仕事に改めて誇りを持てました。

  • Audibleで。
    沢山のツラいことを経験した聡里を心から応援したい。耳で聞く読書だったので、運転中に聞いていて途中泣いてしまった。
    ちゃんと自分の足で立つ、立派に成長していく聡里にとても感動しました。
    今度はじっくり文字で読んでこの感動を書き留めておきたいと思います。

  • 獣医を目指す少女が6年間の大学生活の中で成長していく話。過去への葛藤と祖母の支え、大学で出会った人々との交流の中で力強く成長していく聡里の姿は、読んでいて応援せずにはいられないし共にやり遂げた気持ちになった。素晴らしい作品に出会えて良かった。

  • 第7回未来屋小説大賞受賞。

    生い立ちに不幸があった少女が、獣医師を目指して成長していくビルディングスロマンだと思って読み始めた。
    本筋はそうだが、違った。もっと私たち自身の物語だった。

    大昔から続く動物と私たち人間のかかわりを、改めて自戒を込めて見つめ直さなければならないと感じた。
    私たちは、動物を家族同様に可愛がりもすれば、それを好んで食べることもする。そのジレンマへの問いは古くからあるけれど、どちらにも通ずるのは、彼らの存在が私たちを支えてくれているということだ。そのことに気づき、彼らの存在に敬意を払ってはじめて、動物と向き合うことができる気がする。

    作中で紹介される椋鳩十『大造じいさんとガン』では、群れのリーダー「残雪」の気高い精神に胸を打たれた狩人の大造が、彼を認め尊ぶ姿が描かれている。

    伴侶動物、産業動物、実験動物…私たちは多くの動物たちの命によって生かされている。人間と共にこの地上に生き、また人間に生きる居場所を与えてくれてもいる彼らのことを、愛玩としてではなくもっと深いところで愛し、尊敬の念をもってその命と共に生きなければ。
    そんなことを、主人公聡里の成長を見つめながら思った。

    また別の視点からは、学ぶことの純粋な楽しさと悦びを、聡里たち学生と共に感じることができた。獣医学は6年間に及ぶ長く膨大な学びだが、「点で憶えていた知識が繫がって線となり、やがて治療という全体像が見えるように」p288 なる。どんな学びにも、夢に近づく喜びと不安があり、自らを成長させてくれる。

    サクラマスという魚を例に、一度は大学を辞めようとした聡里を励ます一馬の言葉が心に残った。稚魚の時に小さく弱い個体は、川を追われ海に出ることで、最後は大きく強くなって再び川に還ってくる。
    「逃げるのは悪いことじゃない。逃げなきゃ死んじまうことだってある。逃げた先で踏ん張ればいいんだ。」p192
    動物のように素直に、気高く「自分だけの領域を持って生きていく」p254 そんな風に、私たち人間も、それぞれの「けものみち」を歩いていけたら。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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