- Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927288
作品紹介・あらすじ
父親の世話、娘の場面かん黙症、夫の暴力、恋人の自殺…それぞれに事情を抱える二人が出会ってしまった。真実の愛には、何ができるのか。リアリズムの名手が、精神の進化に挑む感動大作一〇〇〇枚。
感想・レビュー・書評
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初めて読む作品。
盛田さんの名前も私は存じ上げなかった(失礼)
生きていく、生活していくという地味なベースが大変細やかに書かれていて、とてもリアルで登場人物が絵空事ではなく、それだけに訴えことが大きい。
共に生きる、そばに居る人に対しての愛情が素晴らしい。利己ではなく利他。自分と相手の立場をきちんとわきまえ、大事にしている上での利他の愛情。
最近押し付けがましい利己的な感情をぶつけられることに辟易し憎みもした。又そういう欠点は自分の中にもしっかりとあって、自己嫌悪にも陥っていたのだけれど。
そんな感情を払拭させるようなしっかりと生活に根ざした他者を優しく思いやり言動を表現する人達のなんて素敵なこと。
私にとってはタイムリーにあるカタルシス、またはこれからの指針のようなものを感じさせる小説だった。
自己愛に満ちている私だけれど、遅すぎるかもしれないけれど、利他的な愛の行動化、一つのテーマ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
場面かん黙、DV、痴呆介護。それだけ見るとどんよりしそうなアイテムを上品にゆったりと読ませる。誰かと信頼し合い寄り添い合って生きることが出来ない二人の心の距離が哀しいが、いつの日か安心して共に歩いていける日が来ることを祈らずにはいられない。
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盛田隆二氏が聞いた事が無かったがツイッター文学賞という物を取った作品『二人静』を読了。認知症の父親を持つ食品会社に勤める男性。人前に出ると声が出なくなってしまうコミュニケーション障害を持つ女性。二人は人には深い傷をうけた過去を持っている。そんな二人が認知症の父が入る施設で持って出会う。様々な障害に出会いながらわずかにさす希望の光を追い求めて行く二人の物語だ。複雑に絡み合う二人の物語がものすごく上手に編み上げているので、かなりのページ数なのだがさくさくと読み進める事が出来た。ちょっと重いけどいい作品です。
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素直な感想としては、気軽に読み終わった後の感想が書けないってことかな。
自分のこれからの未来にすごく身近すぎて、どのようにまとめたらいいかわからないや。
題名がとても深い意味があるように感じる。
決して一つにならない二人静のお花がしくしくと物語とリンクして少しだけ淋しい気持ちになった。
出会えてよかった。 -
第1回(2011年度)受賞作 国内編 第1位