インサート・コイン(ズ)

著者 :
  • 光文社
3.23
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928070

感想・レビュー・書評

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  • 大森望推薦って事で読んだんだが、ゲームが好きだったアラサー向けと対象がかなりニッチすぎる事もあって結局最後までいまいちノレなかったなあと。

    ただまあ表題作は素直に良かったと思いました。

  • 1970年代後半生まれのゲーム好きの人にお勧めする小説。
    一応ミステリーに分類しても良いのかもしれないけれど、ノルスタジーでも良いと思う。
    スーパーマリオ、ぷよぷよ、ストⅡ、インベーダー、ドラクエをやったことある人にはピンポイントで当時の思いがわきあがってくる代物。
    ただ、インベーダーに関してはちょっと年代がずれそう。

  • ノスタルジー。

    90年代のゲームを題材にした本書は、昨今のゲームから様々なモノが失われてしまったことを、改めて呼び起させる。
    貧弱なグラフィック(「ドット絵」)の先に広がる想像力の世界。人と人とが向き合って「手合わせ」する対戦台。スーパープレイヤー(「ハイローラー」)に続かんと腕を磨くプレイ...。
    大容量のメモリと強力なグラフィック機能がまるで映画を見るようなエンターテイメントを実現し、クリエーターの想像力を表現できるようになったかわりに、プレイヤーから想像する(妄想する)余地を奪ってしまった。ネットワーク対戦で場所を問わず対戦相手を見つけることができるようになった代わりに、画面の向こうのプレイヤーの顔が見えなくなってしまった。高いインカムを稼ぐクレーンゲームが、ストイックなシューティングゲームをアーケードから追い出してしまった。

    この作品には、古き良き時代のゲームへの、ノスタルジーとリスペクトが詰まっている。だが、それだけではない。ミステリー作家らしい「ひねり」もふんだんに盛り込みつつ、小説の形を取った「レトロゲーム文化論」としても成り立っている。それは、ゲーム記号論であったり、ゲームの文法(「お約束」)であったり。
    主人公でゲーム誌ライターの「柵馬」と、先輩でそうしたゲーム論に詳しい「流川さん」の会話の形で語られる。面白いのは、作者が自身「詠坂」という人物を主人公の知りあいという形で登場させ、なかなか重要な役割(Role)を演じ(Play)させていることだ。いわば、NPC。

    すっきりした読後感は無い。ゲームそのものを知らなければそれはきっとなおさらモヤモヤのままだろう。だから、本作は読者を選ぶ。万人にはオススメしかねる。
    しかし、それらのゲームをプレイしたことがある読者なら、ストーリーを反芻しながらしばらくその余韻に浸ることができるだろう。ノスタルジーと一緒に。

  •  懐かしのゲームをネタにした連作短編。ゲーム雑誌のライターがマリオやドラクエなどに絡めた、「日常の謎」系ミステリな内容であります。
     例えば、古い友人が「ドラクエ3の最大の伏線は?」というメッセージを残して自殺する。ドラクエ・ファンであれば、その答えに納得するとともに、ストーリーと自分の甘酸っぱい記憶の交錯により、ついジーンとくるはず。
     いやいや、どれも想定外に「いい話」でした。泣かせます。

  • 読書の感想よりも、ゲームの思い出でいっぱいになる物語でした。
    マリオブラザーズが好きだったけど、持って無くて
    友達の家に遊ばせてもらいに行ってたことや、
    ドラクエ、自分で遊んでたってよりやってるのを見てたせいか、
    印象に残ってるのはFFの方だったり。
    でもあの音楽はゲーム好きには忘れられないインパクトだし。
    シューティングゲームは、ファミコンでしかやってないけど、
    今でもDSで懐かしいゲームとしてやってるから、
    ゲーム好きはいつまでもこれからもなんだろうな。

    ただ、ゲームセンターに行ってゲームをする経験が、
    ほとんどないので、対戦ゲーム格闘ゲーム系はあんまり分からないんだよなあ。
    その世界でしか分からない空気感とか。
    ゲームセンター嵐とかまで思い出してしまった。

    軽い感じで続くのかと思ったら結構重い部分もあったけど、
    面白く読めました。

  • ゲーム雑誌「プレススタート」のライターをしている柵馬朋康と、柵馬のあこがれの先輩ライター流川映とが解き明かす、ゲームにまつわる日常の謎。

    いやぁ、面白かった!でもこれはかなり読む世代を選ぶんじゃなかろうか?
    なにしろ扱われているゲームがそれぞれ
    「穴へはキノコをおいかけて」→マリオ
    「残響ばよえ~ん」→ぷよぷよ
    「俺より強いヤツ」→ストリートファイター
    「インサート・コイン(ズ)」→ゼビウス(インベーダーゲーム?)
    「そしてまわりこまれなかった」→ドラクエ
    という。

    どのゲームをやりこんでいたかによって、お気に入りの話が分かれてくると思われます。
    私は当然「そしてまわりこまれなかった」。
    ドラクエⅠ・Ⅱ・Ⅲをリアルタイムでやり、ハマっていましたので。
    いまだに新作がでると聞くと、ワクワクしてしまいます。
    だからもう、あの遺書とこのタイトル。本当にやられた。
    まわりこまれていたら、違った展開になっていたのだろうか。
    そしてこのゲームとこの作品を重ねた、最大の伏線。
    今回はヒネてないなぁ詠坂さんなのに、って思っていたら、この遊び心。

    とにかく全体的に甘酸っぱくて切なくて、青臭い。そしてラストが前向き。
    「心のAボタン」だなんて。
    でも作中の詠坂は相変わらず。だけど作品から浮いていないから、やっぱ詠坂作品なんだな、と納得したりもして。

    とにかく、ゲームへの愛がひしひしと感じられ、思わず共感してしまった作品。
    読むとあのころに戻れます。

    • graziemilleさん
      読みましたよ〜。ミステリーの感想よりもゲームの思いでの方が強い読後感ですなあ。
      マリオブラザーズ、好きだったなあ。
      そういえばマリオ、クリア...
      読みましたよ〜。ミステリーの感想よりもゲームの思いでの方が強い読後感ですなあ。
      マリオブラザーズ、好きだったなあ。
      そういえばマリオ、クリアしたことあるのって二つしかないわ〜。
      ドラクエは弟が買い、FFを自分が買って、
      って感じだったから記憶としてはFFのが大きいんだけど、
      ファンファーレはドラクエだよね。
      ってくらいゲームの事ばっかり思い出しちゃいましたわ。(^^)
      軽いお話が続くのかと思ったら、
      考えてしまうようなのも。
      ゲームがあったから死ねないし死なない、
      って言う人は本当にいそうですけどね。
      2012/06/16
    • ともさん
      >graziemilleさん
      ね~!思い出すよね‼
      うちはいま、wiiでポケモンとマリオパーティーばっかり2人がやってるんだけど、つくづくマ...
      >graziemilleさん
      ね~!思い出すよね‼
      うちはいま、wiiでポケモンとマリオパーティーばっかり2人がやってるんだけど、つくづくマリオはすごいと思う。
      世代を超えて愛されてるもんね。
      って、ゲームの話についなっちゃうけど。
      初・詠坂さんだっけ?気に入ったらぜひ遠海事件をどうぞ。
      2012/06/16
  • ドラクエ好きな人やレトロゲーム好きは読むべしです。絶対楽しめます。そして、物語中の詠坂さんのボケと微妙なつっこみが面白いです。
    ゲーム知らなくても楽しめるので安心です。
    テンポもよいのでサラリと読めます。





    感動は薄いです(笑)

  • ゲームをモチーフにした短編集、しかも大概古いタイトルを元にしているものですから、ある種上手に「おっさんホイホイ」している作品です。

    実際これ、20代後半から30代の(かつての)男子なら、ここで取り上げられているそれぞれのゲームになんらかの思い出のひとつがあっても不思議ではありません。その普遍的な元ネタがあるので、それだけで面白く読める……はずなのですが。

    なんだろう、響かない。

    これは、それぞれの物語の終盤が、やたら説明くさい主人公の独白によってまとめられる、という構成のせいかと思います。筆者はミステリー作家らしく、物語の前半に「伏線」を仕込んで、それを後半で回収するわけですが、その回収に手練れさを感じない。結果、全体的に薄っぺらい感じがし、心に響くものがない。

    かといって、ノスタルジーというほどにはこれも書ききっているワケでは無く、なんでしょうね、失礼を承知で言うなら、表現がありきたりで、全体的に「流して」しまうのです。

    伏線とその回収、という手法を、人が死ぬミステリーでは無く展開したのは面白いと思いますし、その「伏線」という概念そのものを(ある意味で)「トリック」に用いている短編なんかは結構面白く読めたんですけど……いかんせん、もう数歩の深みが欲しいな、と感じました。

  • スーパーマリオやドラクエIIIがよもや日常のミステリになるとは。

  • バリバリのファミコン世代なんで楽しく読みました。

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著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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