坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928643

作品紹介・あらすじ

読書家としても知られる坂木司が、今いちばん読みたいテーマを、いちばん読みたい作家たちに「お願い」して、作った、夢のようなアンソロジー。十人の人気作家による和菓子モチーフの新作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞で、『和菓子のアンソロジー』・『本屋のアンソロジー』・『ペットのアンソロジー』と
    3冊並んだ書籍広告を見るやいなや、「ぜったい読みたい本リスト」に書き込んだ私。
    それ以来、暇さえあれば図書館の新刊リストをチェックし続け
    リストに加わったその日に、3冊ともしっかり予約を入れたのですが。。。

    なんと、この『和菓子のアンソロジー』だけ、先を越されてしまったのです!
    「きー、どこの食いしん坊だー!」と思いつつも
    3冊のうち、よりによって『和菓子』だけ張り切って予約するなんて。。。
    そんな誰かさんとは、なんだか仲よくなれそうな気がする♪ と思ったりもして。

    というわけで、この3冊の贅沢なアンソロジー、ようやく全部読み終えることができました。
    なんといってもいちばん好きなのは、
    作家さんたちの本屋への愛が溢れ出るようだった『本屋のアンソロジー』だけれど
    ひとりひとりの個性が際立ち、こんなアプローチもあったのか!と
    驚かされるのは、この『和菓子のアンソロジー』かもしれません。
    まさか和菓子をモチーフに、臨死体験や精神疾患や壮大なSFまで描けてしまうなんて。

    和菓子はもちろんのこと、登場するカフェのランチメニューがひたすら美味しそうで
    雪解けの大地に芽吹く野草のように、しなやかでみずみずしい
    柴田よしきの『融雪』
    隠されたたった7文字の謎解きの中に、愛する妻を遺して旅立つ夫の
    慈愛に満ちたまなざしを浮かび上がらせる北村薫の『しりとり』
    この2作が、とりわけ素敵です。

    ふとしたつぶやきから、このアンソロジーシリーズの発案者となり
    自作にひっかけて、『和菓子の餡、ソロジー』開店です♪ と書く
    坂木さんの『空の春告鳥』では、懐かしいアンちゃんや立花さんにも出会えて
    いろんな味が楽しめる、本当に贅沢なアンソロジーです。

    • nobo0803さん
      アンソロジー3冊制覇!!ですね!(^^)!
      私は、まろんさんのレビューでこんなアンソロジーがあるのか!!と知り、急いで図書館に予約したんです...
      アンソロジー3冊制覇!!ですね!(^^)!
      私は、まろんさんのレビューでこんなアンソロジーがあるのか!!と知り、急いで図書館に予約したんですが・・・時すでに遅し・・
      かなりの人数の予約で、気長に待ちます!!
      どのアンソロジーから手に届くか楽しみ♫
      う~ん、食いしん坊の私、そしてアンちゃんと立花さんに会えるのなら、願わくは「和菓子のアンソロジー」から届いてほしいなぁ・・
      2013/04/03
    • まろんさん
      noboさん☆

      やっと3冊目が来て、制覇することができました!満腹です(笑)
      noboさんが、私のレビューを見て予約してくださったなんて、...
      noboさん☆

      やっと3冊目が来て、制覇することができました!満腹です(笑)
      noboさんが、私のレビューを見て予約してくださったなんて、うれしい♪
      そういえば、図書館で返却したとき、他の本はおとなしく(?)引き取られていったのに
      この本は、すぐに次の行き先の紙が貼りつけられて旅立つ模様でした。人気なんですねぇ。
      立花さんの乙女度がますます高まっていて楽しい上に
      美味しそうな和菓子オンパレード♪のこの本が
      なるべく早くnoboさんのところに届きますように(*'-')フフ♪
      2013/04/05
  • いつもとは違う図書館に行ったので、読みたいリストにあって、いつもの図書館にない本を数冊借りてきた。
    「和菓子のアンソロジー」はずっと待ちわびていたもの。和菓子というのが、ペット・本屋さんに比べて話題にしにくいのではないか、単調な話になってしまうのではないかと感じていたのだが、全くそんな事はなかった。十人十色で、かけ離れた話の中に上手く和菓子が組み込まれていて流石!と思わず唸ってしまった。
    坂木さんのアンちゃんとの嬉しい再会から始まり、刑事物ありファンタジーあり外国物あり、過去未来と時代も超えて、読みながら短編集とは思えない充実感を感じた。
    ほぼはじめましてな作家さんばかりだったが、特に気に入ったのは北村薫さんの「しりとり」と恒川光太郎さんの「古入道きたりて」かな。

  • 坂木司が「和菓子をテーマに、忘れがたい作品を」と依頼して出来たアンソロジー。
    一番好きな作家に一番好きなテーマで作品を書いてもらう企画の一つ。

    「和菓子のアン」の坂木司ですよ~これが読まずにいられましょうか。
    バラエティに富んでいて、予想外の味わいを楽しめました。

    最初の「空の春告鳥」が坂木司。
    「和菓子のアン」の続編というか。休日にもデパートの和菓子売り場へ行ったアン。
    もっと読みたいお菓子と人たちです。

    「トマどら」日明恩
    警察官が行きつけの和菓子屋での妙な出来事に気づき‥
    トマトどら焼き、食べてみたくなります。

    「チチとクズの国」牧野修
    自殺しようと思いつめて誰もいない実家に戻った男。
    そこで父親の幽霊に出会い‥?
    気の合わなかった父子だが、意外な共通点が。

    「迷宮の松露」近藤史恵
    仕事に行き詰まり、モロッコへと、あても期限もない旅行に出た女性。
    異国情緒溢れる世界で、思わぬ和菓子との再会。

    「融雪」柴田よしき
    ペンションを経営し始めて1年の若い女性。
    新鮮な材料で、毎日メニューを工夫しているある日‥

    「糖質な彼女」木地雅映子
    ひきこもりの少年が母に連れられて病院へ行き、消えたアイドルに出会う。
    病院付属の和菓子を作る作業所があり‥

    「時じくの実の宮古」小川一水
    近未来の日本。
    熱帯化が進み、南には人がほとんど住んでいない。
    和菓子職人の父と子は、和菓子が盛んだった伝説の土地へと旅をする。互いに工夫した和菓子を出して勝負しながら‥

    「古入道きたりて」恒川光太郎
    南方の洞窟で出会った日本兵二人。
    戦前の思い出を聞かされ、帰国後にその土地へと旅をする。古入道を見られるかと‥

    「しりとり」北村薫
    歌にこめられた謎を解く話。
    夫婦の出会いを思い出す情感。

    「甘き織姫」畠中恵
    新婚夫婦のもとへ友達が集まって串揚げパーティー。そこへ難問を抱えてきたのは学生時代以来、久しぶりの友人。
    友人の変人ぶりが際立つが、悪気はなさそう。

    あまりにも変化に富んでいるので、どういう薦め方をしたらいいのかと紹介が書きづらかったんですよ。
    皆さんに読んでもらいたい、とまではいえないか?と‥
    でも風変わりな話もいつまでも覚えているので、これは‥‥ 一生覚えているかもしれない!?
    と、★4つから5つに増やしました。
    知らない作家さんに興味を持てたことが良かったです☆

  • 『坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー』というタイトルと、可愛い表紙と、好きな作家さんのお名前にフラフラ引き寄せられた。

    最初の「空の春告鳥」でアンちゃんと立花さんにまた会えてとっても嬉しくて、最後のシーンの立花さんの可愛さににこにこしてしまう。
    もっとこのシリーズ読みたいなぁ!

    でもこの本の見所は最初だけではもちろんなく、他の作家さんの作品も「そうくるか!」の連続でとっても楽しい♪
    そして美味しそうな和菓子がたくさん!

    日明恩さんの「トマどら」は、タイトルのトマどらが気になって気になって…。
    どこかに売ってないかなぁ。売ってたら買うのになぁ。

    恒川光太郎さんの「古入道きたりて」は、古入道の不思議に魅了され、夜船の描写にお腹が鳴る…。
    春は牡丹餅、秋はおはぎ、までは知っていたけど夏は夜船ということは知らなかった。
    素敵な名前だなぁ。やっぱり「夏は夜」なんですね。

    北村薫さんの「しりとり」は、とってもロマンチックな謎かけに和菓子が使われる。
    とっても優しくて愛おしい思い出を鮮やかに描く北村さんの手腕にただただうっとり。

    畠中恵さんの「甘き織姫」は、串揚げが食べたくなってしまった(笑)

    他にも全部語るのはちょっと大変なほどに多彩なアンソロジー。
    贅沢な1冊を堪能出来て大満足。

    • まろんさん
      わあ、いいなあ♪
      3冊同時に発刊されたこのアンソロジーシリーズ、
      図書館に入るやいなや3冊とも予約したのに
      この『和菓子のアンソロジー』だけ...
      わあ、いいなあ♪
      3冊同時に発刊されたこのアンソロジーシリーズ、
      図書館に入るやいなや3冊とも予約したのに
      この『和菓子のアンソロジー』だけ誰かに先を越されてしまったのです!
      いったいどこのくいしんぼうだー!(笑)
      takanatsuさんの愛に満ちたレビューを読んでいたら、ますます読みたくなってきました。
      今日は図書館から「本、届きましたよ」コールが入るはずの日なのだけれど
      果たしてその中に、この本はあるのでしょうか?!ドキドキです♪
      2013/03/28
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      3冊同時発売だったのですか。
      私はこの本を1番最初に見つけました。
      次は本屋さんのアンソロジーを...
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      3冊同時発売だったのですか。
      私はこの本を1番最初に見つけました。
      次は本屋さんのアンソロジーを読もうと狙っています♪
      まろんさんのレビュとっても楽しみです♪
      2013/03/29
    • takanatsuさん
      まっき~♪さん、コメントありがとうございます!
      お役に立てて嬉しいです♪
      恒川さんの作品は初めて読んだのですが、とっても良かったです!
      ...
      まっき~♪さん、コメントありがとうございます!
      お役に立てて嬉しいです♪
      恒川さんの作品は初めて読んだのですが、とっても良かったです!
      まっき~♪さんのレビュ、楽しみにしてます♪
      2013/04/06
  • どのお話もよかったなぁ〜。やっぱり和菓子を食べたくなるし和菓子や日本の文化などもう少し勉強したくなります。和菓子の世界って奥深いなぁ。

  • 和菓子大好きです!
    そんな和菓子を題材にいろんな作家さんの作品が読めるなんて。
    しかも、やっぱりその作家さん独特の世界観があって読み応えありました。
    坂本さんのお話は王道と言いますか、大好きな「和菓子のアン」の続編で面白かった。
    他に好きだったのは、「融雪」と「しりとり」かな。
    「時じくの実の宮古へ」は私には難しすぎた。

  • 図書館で中身ペラペラっと開いたら、なんと立花さん、椿店長という文字が!これはアンちゃんの新たなお話が読める!!と喜び勇んで借りたところ、坂木司『空の春告鳥』は既に読んだお話と気づく。
    ガッカリはしたものの、やっぱり好きだなぁ…和菓子のアンシリーズ、と再実感。

    柴田よしき『融雪』は、これから先に続く未来がちょっと楽しくなるような読後感。
    北村薫『しりとり』と、畠中恵『甘き織姫』は、日常の中にあるミステリーだった。

    お目当ての"新たなアンちゃん作品”は読めなかったものの、日常でおこる出来事の謎や人が死なないミステリー、私、好きだ 。
    これから読みたい本を探す時にとっても役立つ発見になった。

    それに、読んだことのない作家さんたちの作品との出会いにもなるアンソロジー(特定のテーマに寄せた複数の作家の作品が掲載されている←初めて知った)って、自分好みの作品との出会いや今後の読書体験が広がっていくアイテムにもなりそうだ。

  • 好きな作家さんである坂木司さんと近藤史恵さんの作品は既読だった。それ以外は…和菓子?と思う様な驚きの設定あり、謎解きあり、びっくりした方が多かった。アンソロジーってこんなもんなのかも。
    「しりとり」が好きかな。

    近藤史恵さんがお願いしたペットのアンソロジーを読んでみたくなりました。

  • さすが坂木さん推薦する作家さんがこしらえてくれた
    『和菓子』

    ・・・と、いうだけあって、
    それぞれに味わい深く、
    もっと
    他の菓子も頂いてみたい、
    と、甘い余韻がいつまでも残る、アンソロジーでした。

    なかでも特に好みだったのは
    恒川光太郎さん。

    もののけ姫の『ダイダラボッチ』(←古入道)
    の登場には、胸がワクワク高鳴りました(^^♪

    • MOTOさん
      まっき~♪さん こんにちわ☆

      こちらこそいつも花丸ありがとうございます♪

      あ、実は私、恒川l光太郎さんって初読なんですよ!
      このアンソロ...
      まっき~♪さん こんにちわ☆

      こちらこそいつも花丸ありがとうございます♪

      あ、実は私、恒川l光太郎さんって初読なんですよ!
      このアンソロジーでの短編で一読み惚れしたっ感じです。(^^;
      幻想的でありながらも現想的でもあるような。
      (イミフ?)

      本当に満月の夜、ひとりで山奥に篭れば、ダイダラボッチに会えるのかも…
      そう思わせてくれるような描きっぷりが面白かったですよ~

      他の方の短編も面白いし、きっと楽しめる一冊だと思います。(^^♪



      2013/10/21
    • MOTOさん
      まっき~♪さんへ

      いやぁ~♪
      こんな雑な表現を、しっかり受け止めて頂いて、
      ありがとうございますっ!
      (伝わる)って、こんなに嬉...
      まっき~♪さんへ

      いやぁ~♪
      こんな雑な表現を、しっかり受け止めて頂いて、
      ありがとうございますっ!
      (伝わる)って、こんなに嬉しいものなんですね~

      恒川さん、今回の物語を読んだだけなんですけど、
      どこか、大好きな宮沢賢治作品を読んでいる時に似た感覚がありました。
      現代版遠野物語かぁ~♪
      うんうん!怖いのも好きだし、これから読むのがすっごく楽しみです!

      こちらこそ、嬉しいお返事をありがとうございました。(^^♪

      2013/10/23
  • 執筆陣が魅力的だったので購入。
    最初は坂木司さんの作品から。
    「和菓子のアン」の続編というか後日談であるとあとがきでご本人が書いているが、確かにそういう感じ。これからまた新しい展開があるのかと期待してしまう。覆面作家ということだが、最近ますます女性的な雰囲気が漂っているなあと思う。
    日明恩さんの作品は初めて読んだのだが、硬質な雰囲気がけっこう面白かった。
    牧野修さんの水まんじゅうには度肝を抜かれた。こんなふうに和菓子が出てくるなんて。
    近藤史恵さんと柴田よしきさんはしっとりした感じ。モロッコと日本という違いはあるが、どちらも女性の心理がねっとりと描かれている。最近柴田よしきさんは、食べ物系に重心を移しているのだろうか。作中やたら食材や料理法に言及しているのが、私には余分だった。
    木地雅映子さんは「氷の海のガレオン」以来だが、やはり心がヒリヒリするような作品だなあと思う。
    小川一水さんと恒川光太郎さんはとても不思議な気持ちになる作品。
    北村薫さんは相変わらずの北村節だなあと思った。
    畠中恵さんの作品は、時代設定がちょっとよくわからなかった。タブレットを使っているのだから現代なのだろうが、出てくる男性陣がまるで明治か大正時代の学生のようで、人間関係のあり方がやけに古臭く感じた。
    御岳さんは発達障害なのかなあ。あの反応や対応の仕方はまるっきりそうとしか思えなかった。

    和菓子にはほとんど興味がないのに、これだけ楽しめるからアンソロジーは面白い。

  • アンソロジーなので好きな話もそうでもない話もあるのですが、貧乏性なのでとりあえず全部読んでしまう。そしてモヤモヤしてしまう。
    全部好きっていうアンソロジーに出会う日はいつか来るかしら。

  • 和菓子のアンの続きが読みたくて、借りた。
    やっぱりアンちゃんにほっこりする。
    ぜひ続編を書いて欲しい!!

    他の作家ははじめて読む人が多かった。
    バラエティに富んでいるので好きな話しと嫌いな話しがあって、和菓子は甘い話しが好きだなぁと思った。
    でも、読んでから数週間経った今、ほとんどの話しを忘れているのは、その程度だったてってこと?

    覚えているのは、「トマどら」日明恩と「融雪」柴田よしき。
    一番食べてみたいと思ったのは「トマどら」。それ以外のどら焼きも美味しそう。
    「融雪」は和菓子というよりはペンションのカフェメニューが美味しそうだったな。


    (図書館)

  • 図書館より。
    坂木司氏の和菓子のアンの続編見たさに読んでみた。他にも知ってる作家さんがいたが、興味を引いたの日明恩氏と畠中恵氏。あと、北村薫氏かな。
    しかし読み終わって思うのは、やっぱり坂木司氏の和菓子ネタが一番好きってことか。
    和菓子は奥が深いと思う。

  • 面白かったー!!!
    ありそうでなった和菓子テーマの短編集。
    どら焼が食べたい。果物が入ってるの食べたい。

    • non8696さん
      本当に果物はいってるどら焼きありそうですね!
      あー食べたいなー。
      本当に果物はいってるどら焼きありそうですね!
      あー食べたいなー。
      2013/12/03
  • リクエスト!アンソロジー(って括っちゃっていいのかはともかく)は
    大崎梢さんの本屋さんに続いて2冊め。
    話の設定やジャンルがバラエティに富んでいて吃驚、というのが第一印象。
    場所が限定されない分、自由度が高かったのかな。
    それに加えて和菓子って元々名前が凝ってたりいろいろ含みを持たせたりするので
    題材としては広げやすいのかもしれない。
    ちょっとずれたところでは、練り切りよりこなしの出現率が高かったので
    西の方出身の作家さんが多いのかなー、と思ったりした。
    (さっそく『和菓子のアン』で仕入れた知識を使ってる辺り/笑)

    空の春告鳥(坂木司)
    アンちゃんたちにまた逢えて嬉しかった。
    店長と立花さんの博識ぶり、アンちゃんの洞察力と閃きは相変わらず。
    読み終えたときに投げっ放し感があって、なんでなのかなーと思ったら
    解いた謎がその当事者に届かないまま話が終わってる所為だと気がついた。
    そこはちゃんと伝わってほしかったかな。

    トマどら(日月恩)
    『ギフト』とか、気になってはいたんだけどようやく読めた日月さん。
    "タスマニアデビル"宇佐美さんのキャラが掴み処がなくて面白かった。
    どら焼きを作るお姉さんの気持ちは察するに余りあるが故に切ない。
    これが最後のどら焼き、と悟ったときに訪れた宇佐美さんの変化が清々しかった。

    チチとクズの国(牧野修)
    父と乳、葛とクズが掛かってるんだな。
    高田純次張りにチャラいお父さん(幽霊だけど)の
    失敗続きの息子への愛情が痛いような眩しいような。

    迷宮の松露(近藤史恵)
    『タルトタタンの夢』で実証済みだったが、やはり近藤さんの知識量は凄い。
    松露がキノコのことだとは思わなかった。昔の人は綺麗な名前を付けるもんだ。
    というかまさか和菓子でモロッコとは。しかもそれに違和感が全くない辺りが力業。

    融雪(柴田よしき)
    『こち亀』のアンソロジーで読んだ記憶が…。
    透明感のある綺麗な話。謎解きが自分の為じゃないところがなんとなく好きだった。
    ところで素朴な疑問。淡雪羹って卵白入ってるけど、ベジタリアンって卵食べられるのかな?

    糖質な彼女(木地雅映子)
    引き籠もりの裕樹よりも、アイドルのりりちゃんよりも、
    性格のひん曲がったリア充秋本先生がいちばん気になる。
    裕樹が作った薔薇の細工菓子、ぜひ見てみたい。
    というか和菓子職人になれるんじゃないか???
    終わり方がまだ続きそうな感じだったのが気になった。

    時じく実の宮古へ(小川一水)
    ファンタジーかな。近未来の日本の話、というところか。
    伊豆とか岐阜とか実在の地名に交じって『みやこ』が出てくるのは理解できるのだが
    『宮古』という字が当てられていることで、どうしても北の方をイメージしてしまって
    個人的には違和感を抱えながら読んでいた。
    意味的にはいちばん『宮古』がしっくりくるのは判るんだけど
    できれば他の字を当ててほしかったと思わなくもない。

    古入道きたりて(恒川光太郎)
    春は牡丹餅、秋はお萩、そして夏は夜船。また新しい知識が増えて嬉しい。
    粒餡が苦手で牡丹餅の類は絶対食べないんだけど(爆)、
    この話を読んで初めて夜船を美味しそうだと思った。

    しりとり(北村薫)
    日本語の美しさを和菓子に絡めて堪能できる話だと思う。
    こういう言葉遊びというか謎解きを楽しめるところが
    和菓子の、ひいては日本語の魅力なんだろうな。

    甘き織姫(畠中恵)
    これも和菓子の名前を使った謎解き。
    伊藤の奥さんの百絵さんの勘の良さもさることながら
    人付き合いが悪くて変わり者の御岳さんをこき下ろしつつも
    なんだかんだで仲がいい4人の男たちが不思議で仕方なかった。

  • 和菓子に関する10の短編集。

    あの和菓子の話の続き、から始まって
    刑事ものから近未来から不思議世界まで。
    色々な世界が覗けて面白かったですw

    発案者の話ももちろん楽しかったですが
    次の話の、トマトどら焼き…食べてみたいです。
    主人公が刑事という時点で驚きではありましたが
    トマトとどら焼き…どんなものなのでしょう?
    とりあえず妹さん、騙されてなければいいですが。

    和菓子と言えば国内の話になるだろう、と思っていたら
    近藤さんは驚きの国外。
    さんさんとした太陽の下で、ひょっこりと渡された和菓子。
    また違った甘さの物体ですから、憶えのある甘さに
    ほっとする気持ちは分かります。
    すでに国内でさえ、色がありますからw

    不思議話は恒川さん。
    それが出現したのを想像するだけなら、厳かな感じがするのですが
    語っている場所は、逃げてきた洞窟。
    知り合った相手を置いて、生き延びた今
    ふと思い出してでかけ…目的と邂逅できたのか。
    それとも、向こうへと混じっていくのか。

    北村さんの話は、よくもまぁこんな事思いつくな、と。
    最後のラブレターのよう、とにやにやしてしまいました。
    気分は、盗み見している感じです。

    最後の畠中さんの晩餐付きミステリーには
    だめだこりゃw と。
    ひと目ぼれをするのと、その先を考えた、まではいいです。
    先走りしすぎる感じがありますが、まだ人として理解できます。
    が、なぜそれを試験式にするw
    これは相手になったら、むっとしそうです。
    むしろ、なぜ彼氏がいる事を思いつかないのか。
    うぬぼれか自意識過剰か…悩む所です(笑)

  • 印象的だったのは、「トマどら」日明恩、「融雪」柴田よしき、「しりとり」北村薫。

    和菓子が食べたい!!!

  • いろんな作家さんのが読めて楽しかったです。

    個人的には「トマどら」と「糖質な彼女」が好きです。
    特に糖質な彼女の続きを読んでみたいです。

    この本の中に葛が使われたお菓子が多くでてきたような気がします。

    あー和菓子がたべたいー!!2013.12.1

  • 食べ物が美味しく描かれている小説が好き。
    そして、どうしてだろう、甘味だったらケーキよりも和菓子の方が、
    描写から味覚へ直結しやすい。
    もう今すぐにでもべたくなっちゃう。

    そんな私には夢のようなアンソロジー。
    でも、読んでみて意外。和菓子というテーマでこんなにさまざまなジャンルのアンソロジーになるのか。
    そして、ほぼ知らない作家さんだったのだが、この短編集で他の作品も
    読みたくなった。

    個人的にストーリーが気に行ったのは
    時じくの実の宮古へ
    古入道きたりて

    和菓子食べた―い!!
    ってなったのは
    トマどら
    迷宮の松露


    もともと知っていた作家さんは、冒頭とトリのお二人。
    坂木さん。
    前知識なしで読んだので、冒頭 『和菓子のアン』の続編が読めたことに感動した。 アンちゃんと立花さんが!! 
    うー、続編に期待大。


    しゃばけファンである畠中さんは安定の読みやすさ。
    ただ、今回は和菓子よりも串揚げにそそられた。
    若旦那の離れに出される素朴な三春屋の和菓子が一番かなぁ。

  • ペット、本屋と続く作家が選んだコンセプトアンソロジーの読み残していた一冊。坂木司選の和菓子をテーマとしたアンソロジーです。
    お気に入りは恒川光太郎「古入道きたりて」と近藤史恵「迷宮の松露」
    恒川さんの作品の不思議な雰囲気が好き。和菓子がテーマというよりは、そっと物語に添えてあるといった印象でした。
    「糖質な彼女」の主人公がクズすぎて不快でした。色々と無理…。
    餡子が苦手なので和菓子は好きじゃないんですが、物語に登場する和菓子はどれも美味しそうでちょっと食べてみたくなりました。
    他にも色々な作家のリクエストアンソロジーが読みたいなと思いました。「料理」とか「お化け」とか「スポーツ」とか、このテーマにはこの作家で、とか想像するだけで楽しい。

  • メデジンで読む。

    和菓子食べたい!
    横浜に中華食べに行きたい!

    坂木さんが好きな作家さんにお願いして実現したアンソロ。



    商品の種類の少なさは自信の裏返し。これが私の飲食店の評価法だ。

    トマどら 日明 恩(たちもり めぐみ




    松露
    食べてみたい
    迷宮の松露 近藤史恵 こんどうふみえ モロッコ行きたいなぁ フェズは迷路
    デーツというお菓子が松露(しょうろ)に似てるらしい



    ゆっくりしたメデジンの時間
    昼寝、音楽、スイーツ、おいしいごはん

  • 10編のアンソロジー。
    設定も時代も、バラエティに富んていた。
    お気に入りは、牧野修「チチとクズの国」、北村薫「しりとり」、畠中恵「甘き織姫」。
    じーんとくる話が好き。
    謎解きも楽しい。
    あの小さい中に、世界を描き出す。
    どの和菓子も魅力的。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-1f3c.html

  • 和菓子のテーマでここまで違う世界を楽しめるって驚きw(゜o゜)w それぞれの作家さんらしい話に仕上がっていて、贅沢な一冊だなと思った(^^)個人的にはやっぱり、言い出しっぺの坂木司さんの作品が好きかな(^o^ゞ本屋さんのアンソロジーも読んでみたいなぁ♪

    • NAUGHTYさん
      贅沢な一冊です。
      本屋さんのアンソロジー、ペットのアンソロジーも読みたいと思ってます。
      贅沢な一冊です。
      本屋さんのアンソロジー、ペットのアンソロジーも読みたいと思ってます。
      2013/06/15
    • tonpeiさん
      >NAUGHTYさん
      大崎梢さんの書店員のお話も面白いからオススメです。
      >NAUGHTYさん
      大崎梢さんの書店員のお話も面白いからオススメです。
      2013/06/15
  • 坂木司さんが9人の作家さんに和菓子に纏わる話しをリクエストした10作の短編集。
    最初は言い出しっぺの坂木さんが和菓子のアンの続編とも言える空の春告鳥。デパ地下の和菓子売場でのアンちゃんと立花くんの軽快なやり取りが微笑ましい。
    近藤史恵さんの迷宮の松露。エストニックな雰囲気だけどこの松露美味しそう。恒川光太郎さんの古入道をきたりては彼独特の作風だけど牡丹餅食べたくなった。北村薫さんのしりとりは甘味の話しだけどしょっぱい感じ。そして最後は畠中めぐみさんの甘き織姫。プロポーズの意を込めて同僚の女性に贈った和菓子のお返しに別の和菓子を貰う。友人たちはその意味を考え結果は七夕のようには行かず悲しい結論に。ちょっとしゃばけシリーズの現代版のような感じがした。いずれの話しも美味しそうな和菓子が出てきて食をそそられながら読んだ。

  • 読むほどに、美味しい和菓子がいただきたくなる一冊。
    普段読まない作家さんとも出会うことになり、1冊で2度おいしい(^o^)ノ 和菓子だけに、優しい気持ちになるおはなしが揃ってます。
    ○○ドラが、プルプルの水饅頭が、……和菓子探しに行こっと。

  • 『和菓子のアン』の続編が読めてうれしかったです。アンちゃんと立花くんのコンビはやっぱりいいなと思いました。そのほかにも和菓子を使った話が出てきますが、『しりとりや』と『甘き織姫』が好みでした。よくよく考えると畠中恵さんの『しゃばけ』も和菓子小説といえるのかも。表紙カバーイラストがかわいい!

  • 読み応えのある短編集だった。
    作家によってこんなにもとらえ方が違うのかととても面白かった。
    和菓子のアンを先に読んでいて、その続編だけ読もうと思ったのに、次の話も面白くて、つぎは?次は?と読み進めてしまった。

    空の春告鳥
    トマどら
    チチとグスの国
    迷宮と松露
    融雪
    糖質な彼女
    時じくの実の宮古へ
    古入道きたりて
    しりとり
    甘きおりひめ

    迷宮と松露、古入道きたりて、甘き織姫 が心に残った。
    迷宮と松露 現実逃避でやってきた外国で、子どものころに親しんだ和菓子に出会う
    古入道きたりて 山奥で出会う怪異その話を聞いた男が時を経て約束の地へ向かう
    甘き織姫 お菓子による高度な心理戦。ネットの時代だから行きつくが、昔だったらもろに育ちを問われる試験だった。

  • 坂木司、小川一水、近藤史恵、日明恩、畠中恵…もう読むしかないじゃないか。

    アンソロジーなのでここの話のボリュームは多くないが、続きが読みたくなるものが多い。

  • 和菓子をテーマにしたアンソロジー

    坂木司さんの和菓子のアンシリーズが好きでつられて読んだ。

    和菓子にまつわる色々なお話。やはり色々な人の作品があるので、ある程度好みというものが分かれた。

    個人的には近藤史恵さんの迷宮の松露と木地雅映子さんの糖質な彼女がヒット。凛としたおばあちゃん・口の悪い先生と主人公以外のキャラが立っているのがいいのかな。新しい世界を知れたし。松露美味しいのかな。食べてみたい。

  • 10名の作家さんによるバラエティ豊かな和菓子短編。
    わたしのお気に入り作品は「トマどら」。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂木司の作品

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