- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334929206
感想・レビュー・書評
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次々と起こる殺人。
それに伴う複雑に絡み合った家族関係。
こんなにも血族同士が、疑心暗鬼になるのか…と。
まるでサスペンスドラマを見ているような展開。
不慣れな殺人事件を担当するのは、亡くなった知人のためだと弁護士の衣田は思っていたが無罪を勝ち取ってもすっきりしない。
そのまま影の薄いまま、終わるのかと思いきやまさかの結末。
その全てを調査したのが、プロローグでの私立探偵ってことで。
いゃ〜、私立探偵の榊原が、そうなん??とエピローグで知ったときの驚きのほうが、本編よりインパクトありすぎて…しかもさらりと触れてるところがなんともなぁ。 -
放火殺人の容疑で逮捕された、被害者の娘婿であり養子でもある、諒一。
彼が弁護人に指定したのは、さして親しくもなければ、刑事事件は専門外の弁護士だった。
ミステリ。
状況証拠が集まっているのに、信じがたい供述しかしない、諒一。
次々と起こる、不可解な関係者の死。
女性たちが、それぞれの視点で事件の真相を推測していく、第2章が面白かった。
資産を持つ男と、その妻、娘、娘婿といった一族のドロドロと愛憎劇。
携帯電話が登場するので、時代設定はそこまで古くはないはずなのに、昭和の作品を読んでる気分。 -
『殺意の構図 探偵の依頼人』
深木章子 光文社
ある冤罪事件に端を発する連続不審死事件。その発端は、放火による殺人だった。容疑者は、焼死した人物の婿養子峯岸諒一。知人でもある容疑者の、たっての願いであると彼の妻から依頼され、弁護を引き受けた依田弁護士は、冤罪を主張する男の本心をつかみきれず苦悩する。
容疑者の複雑な親族関係は、誰が誰の叔父で、養子で、従姉妹なのかわからなくなり、人間関係の構図を理解するのに最初もたついた。が、放火の真犯人や協力者は、最初案外簡単に予想がつくと思われたものの、依田弁護士、容疑者の義妹、従兄弟の妻それぞれから見た事件への独白を読みながら、誰もが怪しく思えて来る。それでも案外予想が当たると甘く見ていたが、後半一気にどんでん返しに次ぐどんでん返し。
絡まった糸のような真相が探偵によって解きほぐされ、殺意の構図が最後に浮かび上がった時、え!とのけぞるこちらに追い打ちをかけるようなエピローグにもう一度打ちのめされた。
刑事物でも無く、法廷物でも無く、サブタイトルが「探偵の依頼人」だったと読み終わって改めて思い出し、ああ、やられた、と思った。
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(No.14-4) ミステリです。
『衣田征夫(きぬたまさお)は弁護士だが、刑事事件は専門外。街の弁護士、いわゆる街弁で顧客は中小企業や個人経営の店などが主だ。
それまでにも商売上のトラブルで何度か相談に乗っていた顧客である峰岸諒一の依頼を断りきれず、弁護を引き受けた衣田。
容疑は殺人だが、峰岸は衣田に冤罪だと訴える。そして裁判で無罪判決が下った。
衣田の手腕が優れていたわけではない。峰岸が土壇場になってアリバイを証明する情報を告げた結果だ。
一生に一度経験するかどうかの見事な大逆転劇。しかし報道関係者による取材攻勢が一段落した矢先に、飛び込んできたニュース。
こんな幕切れが待っていたとは・・・・。衣田は独り煩悶する。』
視点になる人がどんどん変わっていく構成です。
ある人が疑わしいと語った人が次には視点人物になると、あれ~じゃあ違ったのか?って、疑いが晴れちゃう。
もちろん視点の人だからといって、ほんとのことを隠してないとはいえないけどね。
じゃあ実際起こったことは何なのか、知りたくてたまらなくなります。
一部分は、予想通りだわやっぱりそうだと思ったんだ!と満足感を与え、その上でえ~っそうだったのか!と驚かせる、なんてこの作者さんは見事なんでしょうか。
どろどろしてとても哀しい物語なのに、何故か救いが感じられ読後感は悪くありません。
読み終わってもう一度あちこち確かめたくなる、そういうミステリが私は大好き。
満足です。
これでこの作者の本を読むのは4冊目。(多分4冊しか出てないはず)
どれも全部面白かったです。
なかなかそういう人はいないので、今後も楽しみにしてます。 -
5月-8。2.5点。
資産家が放火殺人にあう。容疑者は義理の息子。
逮捕、起訴されるが無罪に。親類には疑わしい人間ばかり。
前半は弁護士、後半は探偵が謎解き。
うーーん。複雑にし過ぎて、薄いストーリーになった感じ。
イマイチ。 -
関係図が最初分かりづらくてなかなか難しかったけど、最後の最後でビックリな感じの。探偵さん、そこで関わってくるのか、みたいな。
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あまりにも綱渡り過ぎではあるけどすばらしい
ダブルどんでん返しっていうのかな。この返し方は「そんなことあり得ないよなぁ」とは思うけれども、すばらしくかつ綺麗に決まる。人物が平坦に感じるから感情移入できないし、核心である梅酒ぎとてもわかりにくいし、偶然に頼ったトリックが多いと感じてしまうから現実感が薄くなるのだが、半分以降の真相解説からはなかなかの物語になるし、そもそもそんなことは些細だと思うほどのどんでん返しに感心。
そして一番の驚きは作者さん自身にあった。1947年生まれ。東大法学部の弁護士さんが、60過ぎてから執筆開始だって。すばらしいなぁ。まだまだ現役で頑張ってほしいな。 -
予想もつかない事件の真相だった。
面白かった。最後はどう決断したのだろうか。 -
2016.4
60歳になって小説を書き始めたとい...
60歳になって小説を書き始めたという深木章子さんですが、そのいずれもが傑作という、物凄い才能を持った作家さんだと思います。
この作品も、巧緻極まりない仕掛けが施された本格ミステリで、物語は、奇妙な冤罪事件から始まり、妻の父親宅に放火し、養父を殺害した容疑で逮捕された男が、それまで頑なに口を噤んでいたにも関わらず、ある事をきっかけに、突然、無罪を主張し始める事に。
ここから、この物語は二転三転の逆転劇が展開されるのですが、これが二転三転どころか、読みながら七転八倒してしまうぐらいの驚きが待っていたんですね。
何より感心するのは、この作品は現在進行形で物語が進むのではなく、後に振り返る形で、事件の顛末と関係者たちの感想や行動が描かれていて、これが我々読者の予想を裏切るというか、先回りしてそれは違いますよと可能性を次々と潰していくんですね。
まさに驚天動地の展開で、この卓越した仕掛けには舌を巻きましたね。
コメントありがとうございます。
確かに複雑でありながらも物語に引き込まれてしまって、凄いなって思うストーリーでした...
コメントありがとうございます。
確かに複雑でありながらも物語に引き込まれてしまって、凄いなって思うストーリーでしたね。
毎回、レビューに四苦八苦しています。
この拙いレビューを気に留めて頂きありがたいです。
これからもよろしくお願いします。