- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336056269
作品紹介・あらすじ
バックが幼少に過ごした長崎から沖縄~北海道まで日本各地を訪れた体験やエピソード、友人との親交を基に日本を綴り、1966年にアメリカで出版された幻の随想集である。戦後の日本を活写した写真も多数収録。親日・知日家であるバック女史という「鏡」に映し出された一般的な日本人像であり、日本人の特徴を矛盾と二重構造(dichotomy)であると分析する。
感想・レビュー・書評
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『大地』で有名なパール・バックは米国と中国で暮らし、東洋と西洋の架け橋となったアメリカ人の作家ですが、中国での内戦が激化した時、三年近く日本(長崎県雲仙)に移住しました。その後、昭和中期の日本でみた生活習慣や道徳規範等についてアメリカ人向けに書いたのが本書『The people of Japan』です。時間が過ぎて変わった部分もありますが、その率直な観察力には考えさせられるものがあります。当時の写真も豊富にあり楽しいです。
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アメリカ人として生まれ、中国人として育った著者が、戦前から戦後までの日本と日本人への賞賛、同情を率直に綴った随想集です。彼女にとっての日本がいかなるものだったのか、世界から見た「日本」とは当時どのような国だったのか、鮮明に伝わってきます。
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日本人は誰もが公的な顔とそうでない顔を持ち、自国民の間ではあらゆる状況で使い分けを心得ています。礼儀正しく会議場を去った日本の知人が、人混みの通り出て行った時の豹変ぶりを欧米人は誰でも目にする機会があります。
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パール・バックが書いた古き良き昭和の時代の日本。彼女は、日本が好きだったのだろうなあ
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パール・バック女史はみずからの目と足が記憶する明治・大正・昭和の日本を本書で描いているが、その範囲は高度成長真っ盛りの戦後日本までもが含まれている。そして、その核心は<日本は変化はするが芯は変わらない>というものであった。
女史が本書を出版した1966年当時、すなわち高度成長ど真ん中という時点での日本は、良くも悪くも確かにそう言えたであろう。それはまことにまことに懐かしい、かつての日本の姿である。そして、現在も、将来もそうあってほしいと思うような日本の姿である。とはいえ、本書に描かれたような日本および日本人の姿は、もはや遠い昔のおぼろげな記憶の中にしか残っていないのかもしれない。
本書は19世紀前半のシーボルトから始まる一連の<外国人の見た日本及び日本人>論の掉尾を飾るに相応しい一書であるように思われる。