- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344000414
感想・レビュー・書評
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娘が離婚するかもと実家に帰ってきたところから話が始まり、時代は戦後まもなくの母親視点の壮絶な過去の恋愛の話へと移り変わり、刑事事件に巻き込まれて行く様は目が離せませんでした。最後は、やっとほっとする場面で流石乃南アサさん!と言う作品でした。
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東京オリンピック前夜、翌月に萄子との結婚式を控えていた刑事を生業にしている勝が突然姿を消した。
割り切れない思いを胸に、勝を探し続ける萄子。
何故、勝は姿を消したのか。
…
事件の真相に行き着くまでが長かった。
とはいえ、最後まで飽きずに読みました。
萄子の旅があそこまで続けられたのは、裕福なお宅のお嬢様だったから。
2年の月日を経て、萄子は変わり、最後には新たな自分の幸せを見つけるようになりました。
悲しい別れだったけど、きっと良かったのだと思います。
オリンピック後2年間の昭和史を並行して眺めることが出来たようで、興味深かったです。
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追う女と逃げる男の物語。
プロローグ
第一章 東京砂漠
第二章 風の太郎
第三章 飢餓海峡
第四章 ヨイトマケの歌
第五章 女のためいき
第六章 涙
エピローグ
東京オリンピック開幕直前に陶子の前から姿を消した婚約者・奥田勝。
彼は警察官でありながら、殺人現場に居たことを証明する証拠を残し、姿を消してしまった。
殺された女性は奥田とコンビを組むベテラン刑事・韮山の娘であった。
わずかな情報を頼りに奥田を捜す陶子。
娘への復讐のために警察をやめ、奥田を捜す韮山。
徐々に分かってくる現実。
狂おしいほどの悲恋が陶子、韮山共に発せられる。
陶子は奥田を見つけ出し、事の真相を知ることができるのか?
2段組みの500P弱。
1か月かかってしまいました。
陶子の恋愛体質は情熱的でもあり、ストーカーチックにも感じられる。
心の移り変わりの描写が秀逸。 -
2018_09_26-113
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2017/2/5
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昭和をしっている人、読むべき。
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長編ミステリー小説。
刑事・奥田勝は婚約者の藤島萄子を残して失踪する。同僚刑事・韮山の娘・のぶ子を殺した容疑が掛かっている。勝を追って萄子は川崎、熱海、郡山、筑豊、そして沖縄と旅を続ける。新たな恋人、柏木淳を残して・・。
するすると掴めそうで掴めない勝を追い求める萄子。勝が逃げ続ける理由。韮山の葛藤。
かなり分厚い本だったのに、気づけば夢中になって読んでいました。
宮部みゆきの小説にどこか似ていると思った。追いながら追い詰められていく萄子から目が離せません。
人物関係がミステリーの割りに混乱していないので、物語に集中できます。そして思いがけないラストが待っていました。読み応え十分です。 -
30年前に失踪した恋人。
結婚が目前だったにも関わらず、なぜ彼は失踪しなければならなかったか?
昭和39年。オリンピックで沸き上がる東京の裏側でひとつの殺人事件がおこる。
事件をきっかけに失踪する刑事。
主人公である萄子は、失踪した刑事の婚約者であった。
断片的な手掛かりをもとに、突然消えた彼を追い続け、やがて彼が失踪した理由があきらかになる・・・・。
この物語は運命劇であり、ひとりの女性の成長ドラマである。
消えた婚約者を追う、主人公のひたむきな姿に心打たれる読者も多いかとも思う。
最近読んだミステリーでは「火車」以来の衝撃。
登場人物それぞれが魅力的で、重層な人間ドラマを展開する傑作。