著者 :
  • 幻冬舎
3.78
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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344000414

感想・レビュー・書評

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  • 30年前に失踪した恋人。
    結婚が目前だったにも関わらず、なぜ彼は失踪しなければならなかったか?


    昭和39年。オリンピックで沸き上がる東京の裏側でひとつの殺人事件がおこる。
    事件をきっかけに失踪する刑事。
    主人公である萄子は、失踪した刑事の婚約者であった。
    断片的な手掛かりをもとに、突然消えた彼を追い続け、やがて彼が失踪した理由があきらかになる・・・・。

    この物語は運命劇であり、ひとりの女性の成長ドラマである。
    消えた婚約者を追う、主人公のひたむきな姿に心打たれる読者も多いかとも思う。

    最近読んだミステリーでは「火車」以来の衝撃。
    登場人物それぞれが魅力的で、重層な人間ドラマを展開する傑作。

  • 東京オリンピック前夜、翌月に萄子との結婚式を控えていた刑事を生業にしている勝が突然姿を消した。
    割り切れない思いを胸に、勝を探し続ける萄子。
    何故、勝は姿を消したのか。

    事件の真相に行き着くまでが長かった。
    とはいえ、最後まで飽きずに読みました。
    萄子の旅があそこまで続けられたのは、裕福なお宅のお嬢様だったから。
    2年の月日を経て、萄子は変わり、最後には新たな自分の幸せを見つけるようになりました。
    悲しい別れだったけど、きっと良かったのだと思います。
    オリンピック後2年間の昭和史を並行して眺めることが出来たようで、興味深かったです。


  • 娘が離婚するかもと実家に帰ってきたところから話が始まり、時代は戦後まもなくの母親視点の壮絶な過去の恋愛の話へと移り変わり、刑事事件に巻き込まれて行く様は目が離せませんでした。最後は、やっとほっとする場面で流石乃南アサさん!と言う作品でした。

  • 追う女と逃げる男の物語。

    プロローグ
    第一章 東京砂漠
    第二章 風の太郎
    第三章 飢餓海峡
    第四章 ヨイトマケの歌
    第五章 女のためいき
    第六章 涙
    エピローグ

    東京オリンピック開幕直前に陶子の前から姿を消した婚約者・奥田勝。

    彼は警察官でありながら、殺人現場に居たことを証明する証拠を残し、姿を消してしまった。

    殺された女性は奥田とコンビを組むベテラン刑事・韮山の娘であった。

    わずかな情報を頼りに奥田を捜す陶子。

    娘への復讐のために警察をやめ、奥田を捜す韮山。

    徐々に分かってくる現実。

    狂おしいほどの悲恋が陶子、韮山共に発せられる。

    陶子は奥田を見つけ出し、事の真相を知ることができるのか?


    2段組みの500P弱。

    1か月かかってしまいました。

    陶子の恋愛体質は情熱的でもあり、ストーカーチックにも感じられる。

    心の移り変わりの描写が秀逸。

  • 2018_09_26-113

  • 2017/2/5

  • 昭和をしっている人、読むべき。

  • 初めて乃南さんの作品を読みました。
    だいぶ前の作品だからなのかブクログの登録件数が
    少ないことに驚いた。かなり面白いのに。

    お嬢様育ちの陶子。結婚目前の幸せ絶頂の中で突然婚約者が忘れてくれと言い残し行方をくらます。
    その背景には想像を越える事件が。

    読み始めたら止まらない。
    私はかなり面白かったです。
    オススメです。

  • 私は今まで読んだ乃南アサさんの本の中でこの本が1番好きです。
    とてもせつないストーリーです。
    何で?何でこうなるんだろう?こんないい人が・・・。
    以前読んだ時そう思いながら涙が流れました。
    今回読み返しると、やはりそう思うのと同時に、全く違う感想をもちました。

    結婚を目前に控えた幸せなカップル、勝と萄子。
    刑事で、正義感が強く誠実な性格の勝とお嬢さん育ちでお天気屋だけどしっかりした考えをもつ萄子はお互いを運命の人と思っていた。
    所がある日、勝から萄子に1本の電話がかかる。
    「俺のことは、忘れてくれて、いい」
    と。
    そして行方をくらました勝。
    しかも勝には殺人容疑がかかっていた-。
    その勝の行方を萄子はひたすらに追う。

    以前私がこの本を読んだ時は勝の立場から読んでいたように思います。
    ひたすらに彼に同情し涙が出ました。
    でも今読み返すと、萄子の立場に立って見てしまいます。
    お嬢さん育ちで世間知らずな萄子が慣れない所に足を踏み入れ、一人旅をして勝の行方を追う。
    その姿がけなげで胸を打たれました。
    さらに彼女が勝に対し、憤り恨んだりしながらも一度も彼が殺人を犯したとは思ってない、信じているという事に尊敬の念を抱きました。
    私だったら人をそこまで信じられるだろうか?
    そう思ったら自信がありません。

    今回読み返して思ったのは、人は自分を幸せにする事を何よりも優先していいという事です。
    それは自分の事しか考えないというのとは違う。
    自分を大切にする事は自分の大切な人たちも大切にする事につながるのだと私は思います。
    さらに、人生において自分で背負いきれるだけの物を背負ったのでいい。
    という事です。

    本って、読む時期や年代によって全く違う見方が出来るので楽しいです。
    若い時と今と、心に染み渡るお話だという感想には変わりありません。

  • 長編ミステリー小説。
    刑事・奥田勝は婚約者の藤島萄子を残して失踪する。同僚刑事・韮山の娘・のぶ子を殺した容疑が掛かっている。勝を追って萄子は川崎、熱海、郡山、筑豊、そして沖縄と旅を続ける。新たな恋人、柏木淳を残して・・。
    するすると掴めそうで掴めない勝を追い求める萄子。勝が逃げ続ける理由。韮山の葛藤。
    かなり分厚い本だったのに、気づけば夢中になって読んでいました。
    宮部みゆきの小説にどこか似ていると思った。追いながら追い詰められていく萄子から目が離せません。
    人物関係がミステリーの割りに混乱していないので、物語に集中できます。そして思いがけないラストが待っていました。読み応え十分です。

  • 萄子の半生

  • 涙という題名なのに、涙も出ない、酷く、心を引き裂かれる思いがした作品。
    乃南アサの情景描写が本当に見事だと思った。

  • 殺人事件の容疑者となってしまった婚約者を探して歩く女性の心の葛藤が描かれてます。
    まぁ、仕事もせず(寿退社して)、あの時代に飛行機、タクシーを駆使して
    彼を探し歩けるという彼女はかなりのお嬢様。
    その辺はちと私には考えられませんが・・・。
    彼女の気持ちはよくわかったので、最後は涙してしまいました。

    ただ、彼が彼女の元を去った本当の理由が、(~ヘ~)ウーン
    そ、そうなのか?逃げないでも何とかなったんじゃないのか?と少し不満でした。
    最後の最後まで引っ張った割にはちょっと・・・
    きっと、読み手が女性と男性とでは感想が違ったものになると思いますね。

    事件が解決した後の話がさらっとしか書いていなかったので、
    もう少し説明して欲しかったかなぁ。

  • 会いたくて会いたくてといった気持ちが切々と伝わってきて、私も会いたくて涙するようでした。
    逃げていた相手の人も本当は会いたくてたまらなかったのだろうと思われました。
    読み終わって、本当に涙がこぼれる様な小説でした。

  • どうなるんだろう、と次が読みたくてどんどん読んでしまった。
    時間がなくて、ちょこちょこ読みになってしまったけど、
    続けて読んでたらもっと面白かったのではと思う。

  • とにかく切ない。。。主人公が、消息を断った警察官の婚約者を探す話。その背後にある事件や恋愛など、とにかく真相に近づくほど切なくて、もう読んでるこっちが一杯一杯になっちゃう感じでした。主人公の感情の流れが痛いほど分かって、かなり辛い物語でした。

  • この方の作品の中では好きです。
    どうなるんだろう、なんでなの?、何があったの?…と読みながら主人公(萄子)と一緒にずっと婚約者の勝を探していた感じ。
    なんだかとても疲れました。
    舞台が戦後から東京オリンピックくらいまでなのでもどかしさも感じました。
    なんせ、通信手段が電話(交換手)とか手紙とか駅の掲示板とかですから。
    でもその頃何があったか、実際に起きた事件などが書かれていたのがリアルで良かったです。

    行く先々で空振りするのは「君の名は」のようでした。 (苦笑)
    ただ、出来すぎてる気もしました。
    あちこちで人をこんなにうまく探せるものかとか、手がかりをつかめるものなのか、とか。
    あとセリフがちょっと臭い。

  • 2009/11/11

  • 悲しい。悲しくて切ないストーリー。読み終わって【涙】の意味が分かった気がします。
    一人の人を追って探し彷徨う萄子。きっと何が何でも見つけ出して話をしないと、これから先前に進めないって気持ちよく分かる。
    逢えてよかったね。
    そして最後の旦那さんの言葉。衝撃的だけど、本当に辛抱強い人なんだな。穏やかな家庭が目に浮かびます。

    ***********************************************************
    内容(「BOOK」データベースより)
    昭和39年東京オリンピック前夜。一方的な別離の電話を最後に、挙式を翌月に控えた萄子の前から、婚約者・勝が姿を消した。
    刑事である勝には、ある凄惨な殺人事件の嫌疑がかけられていた。潔白を信じる萄子は、勝を探し出す決心をするが、同じ頃、勝への復讐を誓った男も行動を起こしていた―。
    川崎、熱海、焼津、筑豊、飛田、そして沖縄・宮古島へ―。
    すれ違い、裏切られ、絶望と希望の間で激しく揺れながら続けた孤独な旅の終わりに、萄子が見たものは―。

  • 読み応えがあった長編作
    乃南アサってほんと読みやすくって面白い

    物語は東京オリンピックが開催された昭和40年頃を舞台に繰り広げられる
    高度成長期時代 主人公はお嬢様の籐子

    婚約者だった刑事の透の無実をずっと信じ続ける純粋さ
    こんなに人を信じて愛し続けられるものだろうか
    生きているか死んでいるかも分からないのに・・・

    最後は思いもよらなかった結末

    台風のラジオ中継はちょっとウザかったかな

  • 共に生きることを誓い合っていた2人が、悲しい運命でもう2度ともとに戻れなくなるお話。
    その運命になんとか抗おうとする萄子のあまりに盲目的な行動に引きずられるように一気に読みました。
    東京オリンピックの頃の日本の情景が目に浮かぶような描写もよい。
    2年余りも不在の相手を想い続け、かすかな手掛かりでも即行動に移す萄子の行動力がすごい。
    でもさすがに偶然が重なりすぎ、勘が当たりすぎじゃないかー?とは思ったけど。
    真相はキツかったなー。救われないよ。。
    でも訣別のシーンはやはり涙。

  • どしてそんなにすれ違うのよ!と心の中で思い、主人公になりきって盛り上がりました。でもこんなこと現実じゃ起こらないよなーとか半分冷静だったかも。でも星5つ。よかったです。

  • やだなぁ〜

    こうゆう、結末がめっちゃ悲しい話ってキライなのよね、あたし

    でも、陶子が婚約者を最後まで信じて、探しに行った、その姿勢は本当えらいと思った

    それにしても登場人物みんな不幸すぎる。悲しすぎる。切なすぎる。


    そして、淳優しすぎじゃない?!いい人すぎじゃない?!

  • 読み応えたっぷり。しかも泣けた。乃南さんの作品の中でも一番好きかも。タイトルがシンプルでいい。

  • おもしろかった。久しぶりに一気読みした。ミステリーというより恋愛小説。主人公だけでなく脇役ひとりひとりを細かく書いているところがツボ。ところどころに、調べて昭和を書きました、とか、辻褄を合わせました、というようなところもあるけれど、読み応えのある一冊。

  • 失踪した婚約者、殺人事件・・・これらはどう関係しているのか・・・ミステリーです。
    読みやすく、オススメ!!!

  • 期待しすぎたせいか、ところどころじれったい!と感じることに・・・。2人とも強い人間すぎる。素直に感動できなかったのは自分が弱い人間だからか(;´Д`)ノ

  • なぜ失踪したのか…自分が主人公だったらここまで追えるのかなあ。

  • 誰かを本気で愛して、愛されたことのある人には涙の出る一冊です。

  • 婚約者である刑事が突然失踪し、殺人の容疑者となった。残された萄子は真実を求め、わずかな手がかりを元に探し続ける。ラストは泣いてしまいました。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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