スワンレイク

著者 :
  • 幻冬舎
3.55
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本棚登録 : 186
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344002753

作品紹介・あらすじ

黄色いレインコートをまとい、猟奇殺人を繰り返す「五人」の若者と、女精神科医との不可思議な精神鑑定から現代における究極の愛の形を描く。人気脚本家の待ちに待たれた初小説。

感想・レビュー・書評

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  • 文章に入れれば。二転三転と。ひき込まれる。

  • 「それに・・・」
    「それに?」
    「あえて言うならば、人間は全てそうですよ」
    「そうって?」
    「つまり、個というアイデンティティそのものが、集まった別々のキャラクター、その集合体と言えるんです。僕も、あなたも、人はみなそうです」
    「そうかしら」
    「人間が苦悩するのは、異なったキャラの折り合いがつかない時です。何かが突出してリーダーたる時には起こりえない」
    「詳しく説明して」
    「モラルが強ければ社会帰属性が高い、これは一般的理性的な人間ですね。欲望が強ければ他人から有形無形のものを奪おうとする、犯罪者の衝動です。自意識が高ければ他人の悪口を言い、芝居が好きだ、鏡の国の人種ですね。特権意識がある。人間は分かりやすく集合体の中にリーダーがいるんです。強ければ迷うこともない。思春期ではまだ混沌とリーダーが決めかねられている。それぞれが覇権を争うと言ってもいい。だから悩み、苦しむんでしょう。リーダーが決まれば優先される価値観が決まる。もっとも大人になっても外的要因でリーダーがかわる場合もある。貧すれば鈍して犯罪を起こす場合ですね。年配になって狂い咲く恋も危険だ。モラルというリーダーが失墜する」
    美しい青年はクスッと笑う。
    「無意識下では、誰もが多重という名の個であるというワケね」
    「無意識下ではありません。意識と無意識の中間、精神分析では前意識というのでは?」
    「よく知ってるのね」
    「飛べないと思う自分と飛びたいと思う自分、飛ぶヤツが妬ましいと思う自分、考えればいろいろ矛盾した自分を発見するハズです」
    「あなたは?誰がリーダーなの」
    「さぁ、今となっては・・・意味はない・・・」

  • 初めて読んだときは、そういうことだったのか!
    とすごくびっくりさせられる展開が印象に残りますが、
    再読すると細かな台詞や考え方に意識が行くように思います。

    汚れて、安くなってくれ
    という台詞は、インパクトがあったな~
    この言葉で、分相応という意識の根底には比較があるんだな
    というのを感覚的に理解することができたように思います。

  • 野島さんの小説としては処女作だったはず。内容は衝撃的、かつ野島ワールド全開。悲しい世界観ではありますが、文章の美しさと独特なセリフの言い回しがうまく化学反応を起こし、悲劇という言葉だけでは言い表わせない作品になっています。野島作品が好きな方にはぜひ読んでいただきたいです

  • 中学時代読んで衝撃を受けた小説。
    最近 妹(中学生)が
    何故か読んでたので、再読。

    狂気と哲学そして愛。

    作者はテレビドラマの脚本家として
    成功を収めているけど、
    この話は絶対に映像化できないですね。

    二転三転するストーリー
    静かな激情
    森田童子をBGMに推薦
    (野島作品にはこれでしょう)


    想像力をできるかぎり
    働かせながら読んでください。



    僕はもう、ママンの胸に溶けちゃいたい。

  • もう一度、よみたい。2部に分かれているうちの1部を読み返したい。
    かなりよみづらく、内容もグロく、なんじゃこれ!?の世界だが、
    どうにも、また読み返したくなる。

  • 大人向けの童話。
    無秩序で、物悲しくて、なにかしこりが残る。

    読後にクワッとくる独特の感覚が好きです。

  • ドラマ化したら主題歌はまちがいなく
    森田童子の最後のワルツ

  • またまた野島さん。
    人気脚本家、野島伸司さんの小説第一弾。
    映像化が無理という前提で書いた作品だと思います。

    小説としての初作品でこれは凄すぎます…!
    野島ワールド全開です。
    文章もすごくキレイかつ読みやすくて素敵。
    でも個人的にこの作品は苦手かな…。
    少し哲学っぽいのと、とにかく重い。
    そして難しくて、読み終わった今も理解出来てない私。
    これは2回以上…理解するまで読まないとダメですね。

    黄色いレインコートを羽織ったアン、ドゥ、トロワ、キャトル、サンクの5人がハンムラビ法典に則って犯罪者に罪を加えていくお話。
    設定や展開がすごく面白いので、読み出すと止まりません。
    ただ読み進むと元気もなくなります…。
    それなので情緒不安定の方や元気のない方は読まない方がいいですよ。
    ララとキャトルの文通シーンは号泣でした。

    野島作品読むといつも、高校時代にもっと倫理勉強すればよかったなーと思います。
    愛って…人間って…なんだろうね。
    そう思わずにはいられない作品だと思います。
    理解するまで読みたいと思います。



    限界を超えてでも、私は愛にたどり着きたい

  • アン・ドゥ・トロワ・サンク・キャトル
    それぞれ違う役割をもった5人が猟奇殺人を繰り返す。

    殺人犯である彼らと、
    それを追う刑事柳井との駆け引きの中で、
    驚愕の真相が明かされる。

    そして、捕えられた犯人と精神科医カオルとの精神鑑定から、
    『愛とは何なのか』浮かび上がる。

    “究極の愛”がテーマのお話。

    とても難解。

    でも、もう一度読みたくなる。

    自分とは何なのか、考えさせられる本。

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著者プロフィール

1963年、新潟県生まれ。88年脚本家デビュー。数々の話題作を手がける。

「2015年 『お兄ちゃん、ガチャ(2)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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