- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344011007
感想・レビュー・書評
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死者が生き返って戻ってくる。
それはいったいどういうことなのか。
18年前に死の病に罹っていた仲間が死んだ。
彼を復活させるために、仲間たちは死者を甦らせる儀式を行う。
だが、それは果たして生き返るということになるのか。
自分であって自分ではない何者かが、ずっと自分の中にいる。
いつの間にか、本当の自分が誰なのか。
わからなくなってくる。
人の記憶とは、ひとりひとり違っている。
たとえ同じ体験をしたとしても、100人いれば100通りの記憶が出来上がる。
では、いま記憶していることが本当に自分に起きたことなのか。
実はどこかで入れ替えられていることはないのか。
不気味な展開は、妙な不安定さを心の中に残していく。
深町の人物描写がいまひとつ物足りなかった。
もう少し踏み込んでいれば、もっと葛西との関係やハルへの思いも強烈な印象を残しただろうと思う。
けれど、忍び寄る恐怖…といった点では、いかにも日本的なホラーだといえると思う。
すぐ近くに葛西がいたとしても気づかないかもしれない。
見えている葛西が実体を伴うものなのか、自信が持てない。
種明かしがされるまでに感じる不気味さは、この物語の読みどころだと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラー、怖かった。
人称?がコロコロ変わるので、だれの話だ??と感じた部分がありました。
それでも面白かったです。 -
前半の回想シーンが少し長くて飽きそうだったけど、後半のフカチが日本に帰ってきてからのシーンは一気に読んだ。
思い出がその人をその人だと認識させるものである、という設定には考えさせられる。見た目が変わったところで中身が記憶が前と同じであれば、別になんら問題はないわけで。細かい話、身分証明とかは問題あるけど。
誠のネズミのシーンは自分だったらと考えるとぞっとする。
終わりはさっぱりしてて、読後は個人的にはよかった。 -
喉を滑り落ちる死体の一部。裂かれた胎。皮膚からぬるりと溢れる葡萄大の異物。びっしりとひしめく粒。寄生。永遠。この辺の単語が好みなら愉しめること間違いなし。
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生き返るということはどういうことか。思い出とはどういうことか。キタイとはいったい何なのか。謎と恐怖が渦巻く物語り。
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ホラーサスペンス大賞(2005/6回)
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高校でようやく自分で初めて小説を買いました。それがこの本だったのですが、パッケージで選んだのでまさかホラーサスペンスとは、、
生きるための執着心とか、その代償で起こる恐怖がなまなましく伝わってきて自分も暗い森の中にいるような感覚でした。まさか活字でこんな不気味さを感じれるものとはあの頃は思ってなくて新鮮でした。 -
すごく気持ち悪い話。
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死体を生き返らせる儀式というと、昔見た映画の「ペット・セメタリー」を思い出してしまうのだが、ゾンビにしても何にしても、生前そのままで生き返るわけはなく、最初から恐ろしい結末の予感を感じた。
予想を裏切ることなく、ああぁ、やはりこういう事になってしまったかと、あまりの凄まじさに息を飲みながら読んだ。
表現的にも、結構、グロかったり、エロかったりするので、ホラー好きのお子様などに薦めるのは要注意である。
キタイの儀式に加わった仲間たちの人間描写が巧みで飽きることなく読めた。 -
確かに荒っぽい作品。
んが、不思議に魅力がある……これは本当に不思議だ^^;
ビックリするくらい青春。過去描写がなんと瑞々しい。これには本当にビックリ。
最近読んだ、若者を描写したどの小説より、彼らが抱えるうっ屈やぎりぎりの正義感、優しさが描かれていると思う。これは素晴らしい。
んが、あの子たちの末路はあまりにも悲惨だろ~。
みんな根はイイ子で、葛西に対する罪悪感から行動したのにさあ。カワイソ過ぎる。
それに全体のダラダラ感は耐えがたい。
もっとスピーディーなほうが、この作品の威力を増すと思うのだが。
それと人が多過ぎだろ。あんなにいらんと思う。
人数を絞ったほうが、ホラーとしての緊張感が緩まないと思われる。
確かについつい押し切られてしまったが、「ハ?」という展開もあるし、なんだか細部が杜撰な印象もぬぐえない^^;
それにしても葛西が色っぽい。あんなゾンビ(いやゾンビちゃうけど)、反則だ。
このキャラ、なかなかに新鮮でありました。
ちょっとだけ×深町萌え(え)。 -
ホラーサスペンス大賞。どちらかといえば、かなりホラー寄り。正統ホラーといってもいいよなあ。もちろんサスペンス感もばっちしだけれど。
死者甦りテーマ、てのはよくあるけど。なるほど、生きることの根源ってのは○○○なのかあ。これってあまり今までになかった観点かなあ。しかも非常に納得! ただし、こんなもの食わされちゃあたまったもんじゃありませんけどね。なかなかえげつないお話。
ラストはやや感動路線に入ってたなあ。てなわけで後味は悪くないかも。 -
大人のためのホラー落語?!
死者復活の儀式・キタイ。死んだ仲間の葛西を蘇らせようと、8人の高校生が儀式を行う。16年後に蘇った葛西は仲間を次々と殺し始め・・・。
冬のホラーも乙なもの!!
↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00028154 -
死者の復活に関する設定は面白い
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びみょ
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これも自己満足的な倒錯小説なんじゃないの?的な序盤から、意外にもさくさく読めるホラーな展開に。描写がグロいが読後感は悪くない。思い出が人を形作るってのはなるほどなあって感じだったな。
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新聞で見かけて、ずっとチェックしてた本。漸く読めた時は一気に引きずり込まれた。怖い、けど、先が気になる。ホラーなのかな?
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8人の高校生は、死んだ仲間・葛西を甦らせようと死者復活の儀式・キタイを
行う。それから18年、復活を遂げた葛西はキタイの秘密を知る仲間を殺し、
永遠の命を得ようとするが…。死者による、時を超えた惨劇が始まる。 -
登場人物たちの無駄な会話が気になったり、“キタイ”についての説明が不足気味なのが気になったりしましたが、文章自体は読みやすかったです。
登場人物たちもそれなりに魅力的といえば魅力的。主人公を含む登場人物たちの淡い恋模様が描かれている点も良かったですし、人間は思い出によって成り立つという説にも肯定出来ました。
飛び上がるほど怖くはなかったけれど、禍々しくドロッとした恐怖を味わえました。かなりグロテスクな場面が多々あるので、苦手な方はご注意を。ラストは悲しさを残しつつも、前向きで明るかったので救われた感じです。 -
ホラーとしてはいろいろ「ん?」ってところもあったけど、それでも面白かった。恋愛物として楽しめた。実はもててたくせに、全然気づいてなかったフカチに萌えた。しかし今は足裏マッサージ師で、その昔は犬のマサオをもだえさせ、ハルに「マサオの気持ちがわかった」と言わしめたフカチのハンドパワーって。高校時代の葛西はけっこう好きだったけど、蘇ってからの葛西は何だか単なる自己中心的な狂信者みたいになっちゃっててちょっと残念だった。ホラーとしてはとかげの記憶をもたされたゴリと、痛めつけられたねずみのキタイを飲まされるっていうのが怖かった。あれはやられたくない。