名もなき毒

著者 :
  • 幻冬舎
3.54
  • (269)
  • (682)
  • (1024)
  • (72)
  • (17)
本棚登録 : 4257
感想 : 693
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344012141

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2015.3.28 読了

    普通すぎるくらい普通の杉村三郎。

    完璧すぎなくて、嫌いじゃないです。
    普通は こんな反応しかできないんじゃないか、というところが 逆にホッとします。

    連続毒殺事件と、
    会社を辞めさせた女が逆恨みする事件、
    ふたつが 同時に進行します。

  • この本の中で特に印象に残ったのは、 主人公とその娘との会話である。 「明日桃子があかねちゃんにごめんなさいをしたら、 あかねちゃんもごめんなさいしてくれるかな?  桃子だけがごめんなさいしたら、桃子だけが悪いって あかねちゃんに思われちゃうのかなぁ?」 謝った方が良いという事は本能的にわかっている。 でも、自分だけが悪いわけではない。 なのに自分だけ謝っちゃったら、そう思われてしまうのでは?  彼女が思い悩んでいるのは、 それが『理不尽』だと思うからだ。 子どもでも成人してからでも、人々が割り切れない思いをするのは 『理不尽』である事に変わりは無い。 「あんなに何一つ不自由なく幸せな人もいるのに、 どうして私は苦労ばかりするのか。」 「自分の思い通りにばかりなっている人もいるのに、 どうして私だけ。」 誰でもほんの少しは胸の片隅に持っている『理不尽』。 ある程度時間がたてば、 それぞれに自分をなだめる方法を身に付ける。 でも、誰でも、そういう気持ちを完全に消すことは出来ずに、 浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返している。 そして『理不尽』を全く自分の中で消化する事が出来ずに、 常に抱え持っている人もいる。この本にはそういう人が出てくる。 自分たちのまわりにも、気付かなくても そういう人がいるかもしれない。
    ドラマ『名もなき毒』原作本(TBS月曜ミステリーシアター 7月8日~)

    今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、トラブルメーカーだった。
    解雇された彼女の連絡窓口となった杉村は、振り回される。
    折しも街では、連続毒殺事件が注目を集めていた。
    人の心に巣食う毒を圧倒的筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。杉村三郎シリーズ第二弾。
    日常のいかなるところにも潜伏し、いつその触手を伸ばすともしれぬ毒に対して、
    人はあまりにも無力なものですね。            ──中谷美紀(女優)

    ありふれた毎日に潜む「毒」は、確かに私の中にもあり、この小説を読むことは、
    その「毒」の姿を確かめることに似ていました。怖いのに見ないではいられない。
    こんなにも面白くて、こんなにも苦しい小説があるなんて。
                                 ──草野満代(キャスター)
    どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。

  • 作者さんは二作目ですが、この方の書かれる体の内から溢れる毒は激しいなと思います。ちなみに初読みはソロモンの偽証。じわじわと自分をも滅ぼす毒素に振り回される人達。面白くてぐいぐい読まされる感じがしました。

  • 最後までじっくり読めた。
    杉村の落ち着いた性格が、読んでいるほうにも冷静な目を持たせてくれる。
    「何かにならなければならない」というゴンちゃんの言葉が刺さった。作者は、事件だけでなくさり気なく、現代の毒を混ぜるのが上手い。

  • 同じく中学時読了。同、印象になし。

  • 杉村シリーズでした

    ミステリです 
    殺人事件は起こりますが
    作者得意の人情味あふれる内容です

  • 忘れた

  • 東野圭吾は違った面白さ(^^)

  • 「誰か」よりは内容的に面白く、読み終えてすっきりしました。
    物質的な毒だけでなく、人間の悪意や善意、立場などにも毒という表現を巧みに利用して、なぜ「名もなき毒」というタイトルなのか?という意味を全体を通して考えさせられる作品です。社会における毒というテーマをうまく描いている面白い小説でした。

  • 今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、トラブルメーカーだった。
    解雇された彼女の連絡窓口となった杉村は、振り回される。
    折しも街では、連続毒殺事件が注目を集めていた。
    人の心に巣食う毒を圧倒的筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。杉村三郎シリーズ第二弾。

全693件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×