ここは退屈迎えに来て

著者 :
  • 幻冬舎
3.59
  • (101)
  • (253)
  • (223)
  • (50)
  • (13)
本棚登録 : 1995
感想 : 277
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022324

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 何なのだ?
    なんだか楽しくない気分になる。
    どんよりとしたさびれた地方の退屈な空気に包まれる。
    別に妥協しなくても、惰性で生きなくても、地方に暮らしても青空は頭上に広がり、幸福を声高に歌う鳥の囀りは無限にひろがる。

  • ブックオフ、TSUTAYA、しまむら、西松屋、ココス、洋服の青山、ユニクロ、ガスト、ビッグボーイ、イオンモール!
    地方都市の郊外に並ぶチェーン店たち。

    高校のころ輝いてた彼も、30過ぎたら結婚して娘もいて、なんだかイケてない。東京でモデルをやっていた彼女も、地元に戻って結婚相談所で相手を見つけて結婚。
    中高生のころの人間関係しかないような地方都市で、地元愛を持つマイルドヤンキーにもなれない人たち。

    東京や大阪から戻ってきた結果、地元で自分を持て余す人もいれば、何者かになれるような期待を持って地元から都会に出ていく若者たちもいる。

    ---------------------------------------

    自分の人生こんなもんでしょ、と妥協した毎日を燃えカスみたいに地方都市で過ごす人たちの描写、とても素晴らしかった。痛快だった。

    もちろん地元には昔からの友だちや家族もいて居心地はいい。けれど、こんな退屈なところで自分の人生は終わっていくのか、という焦りのような感覚もないわけではない。だからといって、自分から何か行動するわけでもない。生活するには仕事をしなくちゃならないから、普通に働いて生活して、いつのまにか地元に馴染んで、妥協して、老いていく。

    マイルドヤンキーと呼ばれる人たちの哀愁を感じた。
    地元にずっといる、人生つまんなそうな中年になんて絶対なりたくなかったのに、自分も周りの友人たちも、みんな地方都市で生活しているうちにいつのまにかおじさんおばさんになっていくんだな。まるで、くすぶったままの燃えカス。
    それが人生。それが生活。

  • 田舎の中学校でモテるタイプの人間がめちゃくちゃ嫌いだったなあ、ということをしみじみ思い出した。田舎ってなんであんなにラブホ多いんでしょうね。

  • ロードサイドで戦う女子たちへ、当時そんな帯がついていたと思います。
    ハードカバーなんだけどおしゃれでどこかうさんくさく感じる表紙に一目惚れして購入しました。
    東京ではない、どこか画一化されたある地方での話。短編集なのでどこから読んでも楽しめるけども、全ての話にある人物が様々な視点で登場します。
    ああ~いるいる、こういう人!!そんな感想を必ず抱くと思います。
    そして出てくる戦う女の子たちに、共感の嵐。わーあなたも分かるし、あなたも分かる!私もおんなじ気持ち!と、ちょっと仲のいい女友達の話を読んでいる感覚。
    戦ってるのは私だけじゃないんだ、と少しだけ後ろを向きそうなときに読みたい本です。

  • 私は東京出身で、地方に住んだこともないけれど、少なくとも日本に住んでいる女の子はみんな共感出来るのではないだろうか。
    ドラマチックなことが起こるわけでもない日常。上辺だけの対人関係。全てがめんどくさく、どーでもいいのだけれども、愛おしい自分の人生。
    あーわかるよその気持ち、あーわかるーそういうのあるー。
    読めば読むほどあるあると思い、たまに涙が出るほどではないけれど、鼻の奥がツンとする物語。
    今、この年で、この環境にいる時に読めてよかった一冊。

  • 元々都心部出身で一人暮らしも経験なく結婚したせいでこのリアルさを実感はできない、が リアリティなのだろう、とは思う。

    なんとなくミニシアター上映の映画になりそうな雰囲気。椎名は誰かな…綾野剛あたり?オダジョーでは未だにかっこよすぎるし。

  • 2015.10
    もっとできるはずの自分、特別なはずの自分、何者かになれるはずの自分。少し前まで自分だってそうだった。いや、今もか?そういう経験をたくさんして女子は大人になる。

  • 私は生まれてからずっと東京に住んでいる。
    だから、田舎の子が考えてることは、分かるけど、本当に理解することはできなかった。

    中学の頃は、平凡な社会人になりたくなくて、所帯染みたおばさんにもなりたくなかったのを思い出した。
    でも今、わたしは平凡な社会人になりたいし、結婚をして子供も産みたいと思ってる。
    本にもあったとおり、多くの人がどこかで人生のレールを直されていくのかもしれない。
    だからこそ、もう一度、あの頃の自分が思ったことにまた挑みたいと思った。

  • 地方を礼賛するでもなく、唾棄するでもなく。
    たぶんこれが、そのどちらかの視点に偏っていたとしたら、ここまでおもしろくなっていなかっただろうと思う。
    どんな場所に生まれたか、どんな青春を過ごしてきたか、いまどこに暮らしているのか、それによって好き嫌いは別れるだろうけど、
    少なくともこれを読んで「特に何とも思わない」という人とは、僕は友達にはなれない気がする。

    固有名詞の使い方が絶妙だと思った。
    鬱屈とした田舎の空気感と微妙な「ひと昔前」感とが行間に満ちて、ページの間から流れ出してきて、
    まるで高校生の頃の、地元の田んぼだらけの道を歩いた時の土の匂いがするようだった。
    田舎っぽい言葉遣いはしていないのに。
    良い小説っていうのは、そういう「空気感」がちゃんと書かれているもののことを言うんだろうな、と思ってみたりした。

  • とても面白かった。リアルでぐさぐさくる。

    「やがて哀しき女の子」の、あかねと南の会話がえげつないんだけどリアルで最高。
    夢を見ながらも現実を見るようになっていく二人。

    あと、1話めも好き。椎名みたいな男の子っているよね。

    読んだきっかけ:FMヨコハマの「books A toZ」で北村浩子アナウンサーが紹介していて気になったから。

全277件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山内マリコの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×