旅の窓

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 221
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344023765

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  • 写真を見て、読む。
    旅に行きたくなるような本。

  • 沢木耕太郎がVISAカード会員向け月刊誌に連載した「feel感じる写真館」81篇をまとめ、書籍化したもの。
    言わずと知れたバッグパッカーのバイブル『深夜特急』の著者・沢木氏は、旅をテーマとしたエッセイにおいては右に出る人はいない(と私は勝手に思っている)が、本作品は沢木氏ならではの視点で切り取った魅力的な写真とショート・エッセイが並んでいる。
    私はかつてフランクフルトに駐在したことがあり、そのときに数えきれないほど行ったフランクフルト中央駅、旅したコート・ダジュールの小さな港のレストランで飲んだ白ワインやマラケシュの眩しい太陽の下で見たジュラバを着た老人など、本作品で取り上げられているのと同じ(似た?)シーンを体験しているが、沢木氏の感性にかかると随分と違ったものに映り、驚いてしまう。
    加えて、普段の作品からあまり家庭を感じさせない沢木氏が時折吐露する、子供が大きくなってしまった親の気持ちが(沢木氏が夫々の写真を撮ったときは今より随分若かったはずだが)、沢木氏の別の一面を覗かせてくれて、本作品の魅力を増しているようにも思う。
    手元において、気が向いたときに気が向いたページを開き、過去にした旅と将来したい旅に思いを馳せる。。。そんな素敵な一冊である。
    (2013年5月了)

  • 「深夜特急」の旅を終えた後も、
    著者の沢木耕太郎氏は、
    「旅の人」であり続けている。

    旅の目的は、取材だったり、
    プライベートだったり、
    様々であるらしいが、
    彼の好奇心のアンテナは
    まだまだ錆びていない。

    人は、旅先でちょっと気になる風景と
    いうものには出くわすが、
    なかなかそれをカメラに収める事は難しい。
    少しでも迷いや雑念があると
    その瞬間を逃してしまうからだ。

    しかし、沢木さんは、
    その「自分の心が揺れる瞬間」を
    見逃さない。
    たとえそれが小さな揺れであっても。
    「これは面白い、何か心にひっかかる。」
    アンテナがとても敏感なのだろう。

    旅先で何か心を動かされる風景に出会ったら、
    それが何であろうと、「どうして自分の心は
    揺れたのか」などは考えず、
    まずは写真を撮っておくとよいかもしれない。

    カメラで切り取った風景が
    自分にとってどのような意味を持つのか、
    その時はわからなくても、
    何年後、何十年後かに、
    わかることもあるかもしれないから。

  • 出不精のワタシを異国へと誘ってくれる沢木さん。
    素朴で美しい写真と文章。むはー。

  • 洒落た装丁、印象深い写真と気の効いたコメント。一級品です。

  • 81編の写真と写真にまつわる1ページ!
    文章はもちろん簡潔で素敵なのだが、写真がまた素晴らしい。何年も撮りためた中からの想いのこもった1枚1枚に、その時の風景や感情が立ち上がってくるのがよく分かる。装丁もとてもいい。

著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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