謎解き広報課

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 259
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027701

作品紹介・あらすじ

田舎の町役場に就職した、都会育ちの新藤結子。やる気も地元愛もゼロの新人が任されたのは広報紙づくり。取材するのは、名産品、豊かな自然、魅力的な住民、そして「謎」-。広報紙は町を変えられるか?「来年で仕事を辞める」と心に決めながら、取材と締め切りに追われる結子。ある日、町立病院の院長から「難病で死んだ息子を記事にしてほしい」と頼まれるが、死因に不審な点があることに気付く-。仕事熱が高すぎる上司・伊達、暴言連発の町長・鬼庭、東京から左遷されてきた新聞記者・片倉たちに囲まれながら、事件解決に奔走する彼女の公務員生活1年目。クセモノ公務員が勢揃いのお役所ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  •  広報という仕事を通して成長していく女性を描いた連作短編集で、5話からなる。
             ◇
    主人公は進藤結子。22歳。東京在住だが大学卒業後の就職先として選んだのが東北地方の高宝町役場。高宝町はL県の田舎町だ。

     税務を希望していた結子だが、配属されたのは広報課。そこで命じられたのは広報紙制作で、ミッションは町を愛してもらうこと。
     腰掛け1年で東京に帰る気まんまんの結子にとっては、愛着のわかない高宝町の広報など面倒なことこの上ない。適当に片づけるつもりで取りかかった結子だったのだが……。

         * * * * *
     
     天祢涼さんは初読みの作家。タイトルと表紙に惹かれて手に取った作品。期待以上のおもしろさでした。

     主要人物がなかなか魅力的です。

     主人公の結子は当初、厭世的でやる気のカケラもない、若者らしからぬ女性として登場します。けれどその実像は、決して器用ではないものの物事につい全力で取り組んでしまう愚直なタイプで、思わず応援せずにはいられないという、主人公にふさわしい設定です。

     上司の伊達と町長の鬼庭は強烈な個性で物語を盛り上げる役割を果たしているし、同い年で同僚の茜も結子を後押しする名脇役です。

     そして敏腕記者でありながら野暮天男の片倉がまた味があります。
     笑っているのか苦しんでいるのかわからぬ表情。ことば足らずで思いを素直に表現できない不器用さ。なのに結子を懸命に支えようとする健気さ。(舞台が東北ということで伊達と片倉を主人公の左右に配置した遊び心も好もしい。)

     また、広報という仕事を通して主人公が成長していく GLOW UP 物語が柱なのですが、身に降りかかる問題の謎を結子が解き明かしていくミステリー仕立てにしているのも楽しかった。
     伏線は多岐にわたり、キレイに回収されていく展開も心地よい。さらに、終盤のどんでん返しの連続は見事で思わず唸ってしまいます。
     構成の上手さを感じる作品でした。

     L県の旧家出身で元婚約者の泉田とは結子は結局ニアミスすらなかったり、片倉の想いに結子が微塵も気づいていなかったりするなど、薬味が少し足りなかった気もしますが、読み終えて満足したのでよしとします。

     また天祢涼さんの別の作品もぜひ読もうと思いました。

  • 新卒地方公務員が、広報課に配属され「こんなの公務員の仕事じゃない」「1年働いたら仕事中辞めて帰る」と思いながら町内広報誌を作成していく。
    正直、最初は↑↑の発言が多くてなんだかなぁと思ってたけど、だんだんと成長していく様が書かれていて不快感もなくなった。良かった。良かった。

  • こちらも初めて作者。
    とある理由から(中盤になるまで明かされない)やる気も地元愛もない、縁もゆかりもないど田舎の町役場に就職した(1年でやめるつもり)都会育ちのお嬢さんが主人公。
    配属された広報課で、できるだけラクがしたいのに、やっかいな事件ばかり起こって、ついつい頑張ってしまいます。
    癖のある上司、町長、別の課の同僚、町の人々、知り合った新聞記者などなどのキャラクターも中々立っており、さっくり読めます。
    主人公どうやら酒乱?のようですが、あの晩一体何をしたのか謎。
    次巻とかあればわかるのかしら……

    装幀 / 鈴木 久美
    装画 / 坂本 ヒメミ

  • 2017.8.5 読了


    市の広報紙を作っている「お仕事小説」でした。

    4月から採用されたばかりの 結子は、
    地元の東京から だいず離れた
    「片田舎」の高宝町の 広報紙を作る部署に
    配属される。

    最初はやる気なしなしの結子が、
    だんだん 「広報する喜び」に目覚めていく。。。

    若干 展開が見えそうな感じではあったけど、
    読みやすい。

    短編で、その章 その章で
    すこーしの謎解きがあったりする。


    それにしても、結子は 飲みの席で
    片倉さんに 何をしてしまったんだろう??


  • 謎解きで解決するかと思いきや、という流れは面白いけどあまり頭に入ってこなかった。

  • タイトルに「謎解き」が入っているという理由だけで選んでしまった。一話ごとに解決しつつ、ラストに伏線を残していく好きな流れだった。終わり方が少し微妙な気がしたけど、ほぼ全部解決したからいいのかな。

  • 初めて読む作者さん。

    図書館で、ジャケット借りした。

    タイトルには、謎解き広報課題 とあるけれども、いわゆる事件が起こるようなミステリーものではなく、広報誌の取材を通して、背景を1つずつ解していくようなストーリー。

    なので主人公の新藤の成長見ていくと言う点では、なめらかに入っていきやすい。

    もちろんフィクションなので、小紫思い出せてもあるけれども、とても気軽に読める。

  • 燕市の広報を読んでみたくなりました。

  • 初読みです。

    一番の謎(といって良いのかな?)は、伏せられたままですね(笑)

    ちょっと読書が停滞気味だったので、軽そうなタイトルを探して手に取りました。そういう意味では当たりでした。なんならもっとサッパリ爽やかorストレートなスポ根でも良かったかも、ぐらいの今日この頃 (^^;

  • ワケあって田舎の公務員になった東京育ちの新藤結子。
    生活に疲れ果て、夢も希望もなさそうと噂される新卒の彼女が配属されたのは広報課。
    誰にも読まれていない街の広報紙の編集は、無意味でつまらない仕事のはずなのに、毎回、広報紙の編集を妨害する「謎」を解く羽目に……。
    若者に人気のゲームの舞台にこの町が使われていることがわかる。
    「聖地巡礼」と町にやってくるオタクたちを利用して町おこしを目論む観光課は、広報紙でも取り上げるよう依頼してくる。
    ところがゲーム製作者は、舞台にしたことを否定……。
    結子は、各所の板挟みになって困惑してしまうのだが、関係者の嘘に気づいてしまう。
    (アマゾンより引用)

    面白かった(*^ω^*)
    私自身、広報って読んだことないけど、世の中にはこんなに面白い広報作ってる自治体もあるのかな?

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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