- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344029927
感想・レビュー・書評
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八百善を江戸一の料亭に押し上げた、四代目善四郎の物語。彼の幼少期から晩年までを、当時の文人墨客、吉原の遊女との交流を交えて描いたもの。
名前くらいしか知らない人物でしたが、好奇心が強く物おじしない性格の主人公で、楽しく読ませてもらいました。ただもっと料理のメニューが出てくるのかと思ったら、どちらかといえば人物との交流によっていて肩透かしだったかも。メニューについてはそれこそ「料理通」の原本を読めということですかね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
福田屋 八百屋善四郎の一代記
『料理通』は実際に出版されている史実
酒井抱一のお墓が築地本願寺にあったのを思い出した
花魁賀川の身請け話も面白い
善四郎の生い立ちから千満への初恋 文化人達との出会い 洪水、飢饉、橋の崩落などの災害 伊勢参り 不倫 60代で隠居を決めるまで -
江戸時代の市井の料理人が美味しい物を作ることを追求していくうちに、著名な文化人との交流で料理に芸術の域を感じさせるまでになっていく。料理人の成功一代記。
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時代小説で、読んだ本の中
和田はつ子氏―ーー料理人季蔵捕物控
高田郁―ーーみおつくし料理帖
今井絵美子ーーー夢草子人情おかん茶ケ屋
小早川涼―ーーくらやみ坂料理番倉坂鬼一郎ーーー南蛮おたね夢料理
等など読んだ中に、この八百善という料理屋について述べられている物が多い。
そして、この本を手にした時に、表紙をめくると、八百善料理本の字と、ハマグリのイラストに目が行った。
裏には、春夏秋冬の本膳のレシピが、、、、
料理は、口にしたら、その時の幸せと満足感であるのを、後世に迄、残すこと。
今では、当たりまえのように料理本が次から次へと出されており、一般の者でもパソコンで、検索させる時代であるが、この当時、庶民がくちにすることも出来ない懐石料理等、挿絵付きで、本になったことに、そして、それに対して、八百善の人脈の凄さに驚きを隠せない。 -
江戸時代の料亭「八百善」を当時の料理界最高峰に築き上げた善四郎の一代記。私は関西人なので京料理等には関心もありるが、なかなか江戸前の料理は接する機会が少なくよくわからなかった。
この小説は江戸の日本料理界でトップとなった「八百善」が舞台。この料亭は酒井抱一や太田蜀山人といった当時の文人たちに愛され、サロンのような役割を果たしたということもわかる。素材の特徴や良さをだすように創意工夫した料理を創り、懐石料理を確立する
と共に、料亭経営の手腕を発揮して店を当代一の料亭に育てたということがわかる。また将軍がその噂を聞きつけ、お成りになったという。正直、この本を読むまで「八百善」がそれほど由緒のある料亭とは知らなかった。
また当時流行りだった料理本をプロの立場から書き上げ、当時の食文化がわかるという。
料理人として、また料亭経営者として生きた主人公の一代記でもあり、当時の食文化を知ることも出来る面白い一冊だ。 -
江戸時代に料理を文化にした「八百善」の主
著者は流石老舗お料理屋さんのお嬢さん
食材や調理の場面は生き生きとしていた
史実に基づいて丁寧に描かれている
けれど お話に引き込まれなかった
構成かなあ、文章かなあ
登場人物に深みが感じられなかったのだ
ノンフィクションならいいんだけど
≪ 選ばれた 人に供する 江戸の食 ≫ -
もっと面白そうなとこにフォーカスせず
そのくせすっ飛ばしや説明なしが多いので
ちょっと消化不良。
もっと面白くできそうなのに、残念! -
八百善知らなかった。
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2015年1月1日〜12月15日にかけて24の新聞で連載開始したものに加筆修正し、2016年9月幻冬舎から刊行。文化人としての栗山善四郎の一代記。余り興味を惹かれませんでした。
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2016.11.18
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江戸時代の料亭「八百善」の話。
歴史上の人物も多数登場して、その時代の背景や料理についてもよく伝わってくるけど、物語としての盛り上がりは普通。
淡々と「八百善」の成り立ちの説明が進む感じ。
主人公の、2度にわたる西国行きの旅の話の詳細が、すっとばされているのが残念だった。 -
天明の飢饉をのりこえた主人公が、
一代で江戸に名を轟かす料亭にした物語。
主人公のひたむきに料理に情熱を注ぎ、
それを人に愉しんでもらえるように
たゆまぬ努力をする姿。
そこで拵えられる料理に、くつろぎの場に
集う文化人たち。
すべての登場人物が魅力的。
迷ったりとき、苦しいときに
どう生きるべきかを、その生き方で
示してくれる登場人物の生き方、
言葉にも、心動かされる。
書き留めて、何度も読み返したい言葉に
たくさん出会えた。
充実して生きていくこと、それが
歳を重ねることをこんなに豊かにしてくれる
多くのことをおしえられた。 -
自分の好きな料理小説で、お客に酒井泡一など著名画家・文士が登場。実家が京都の有名料亭であり、文も達者な松井今朝子であれば、絶対面白いはず!と前々から楽しみにしていた本書であるが、期待外れ。モデルは江戸時代に名を馳せ、料理本を出した料亭八百善。史実にしばられたたか、主人公もあまり魅力的ではないし、ストーリー展開に共感するわけでもなく、料理の描写もあまり美味しそうではないし・・、といった感じ。