- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344031005
感想・レビュー・書評
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誰かに助言するとか、励ますとか、応援するとか、
「助ける」という悪意のない正義感ほど相手のためじゃなく自分のためのような気がしてならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
となり町戦争のテイストがまったく衰えていない。
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人が伝えたいことは、真実ばかりとは限らない。嘘であるからと言って、それが頭から否定されるべきではないだろう。
(P.88) -
ライターの私が6人の人物を訪ねる短編連作集。
1)「正義の味方」――塗り替えられた「像」
2)「似叙伝」――人の願いの境界線
3)「チェーン・ピープル」――画一化された「個性」
4)「ナナツコク」――記憶の地図の行方
5)「ぬまっチ」――裸の道化師
6)「応援」――「頑張れ!」の呪縛
例によって不思議な設定です。1)ではウルトラマンが実在する世界を、3)は平田昌三という人格を演じる結社を、5)では着ぐるみを被らない”ゆるキャラ”が描かれます。その当たりは如何にも三崎さんらしく、皆さんの評価も結構高いようです。
でも、私が期待する三崎さんではありませんでした。
三崎さんお得意のとんでもない背景設定は、よく風刺小説に使われるようなものです。しかし、そこに描かれるのは風刺では無く、「滅亡」の寂寥感・寂寞感や独特の「滅びの美学」なのです(コロヨシのようなスポ根ものもありますが)。でもこの作品は、なんだかいつもよりかなり風刺的、教訓的なのです。特に最後の「応援」などは現実的設定でネット世界の怖さを描いており、三崎さんらしくないな、と。
まあ、その方が一般受けするだろうとは思うのですが。。。 -
一人のルポライターによる、合計「六人」の取材記。○ルトラマン≠正義の味方とか、チェーン店のごときチェーン・ピープルとか、三崎亜記独特の視点が面白い。笑える面白さではなく、じわりとくる風刺というか人間の怖さ愚かしさというか…あぁ、三崎作品だな、と。特に『応援』は、私が知らないだけで今すでにあるような案件に思えて、もし自分がターゲットにされたらと思うとすごく怖い話でした。☆3.5
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ひさしぶりに三崎ワールドにどっぷり浸かった感じ。
「ナナツコク」が一番好きかな。
この人の本は、時間がたっぷりあるときに、家でじっくり読むに限る -
読み終わってから気づいたけど「となり町戦争」の作者なんだね。(となり町戦争、私は本しか読んでない)
目にみえないじわじわとした人間の本質を描くのが得意のようだ。着眼点がユニークかつリアリティがあって、なるほどと思わせる。