- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344032057
作品紹介・あらすじ
伝説の試合、高田延彦×ヒクソン・グレイシー。20年の時を経てすべての関係者が重い口を開いた。高田延彦の悔恨、ヒクソン・グレイシーの恐怖、榊原信行の苦悩-。三者の数奇なる運命の物語。延べ50時間以上にわたる当事者、関係者への徹底取材が紡ぎだす、衝撃のノンフィクション!
感想・レビュー・書評
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一時代を築いた格闘技イベント「PRIDE」。全盛期は、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、エメリヤーエンコ・ヒョードル、ミルコ・クロコップ、ヴァンダレイ・シウバ、桜庭和志、五味隆典、といった絵になるファイターを擁して有力な地上波コンテンツとなり、大晦日の夜には格闘技という潮流を築いた。そのPRIDEの起源となったのが、プロレスラー高田延彦がヒクソン・グレイシーに惨敗した試合であったことは格闘技ファンの中では有名な話である。本書では、高田とヒクソンの闘いの場となるPRIDE.1が実現されるまでの話が描かれている。
著者は、スポーツジャーナリストの金子達仁。この人は、人から話を聞きだすのが相当にうまいのだろう。出世作となった『28年目のハーフタイム』では、日本代表の中田英寿や川口能活から他の人では聞けない話を引き出していた。高田延彦からは自伝の執筆を依頼され、『泣き虫』を執筆した。今回はその流れで榊原信行、UWFの安生、鈴木健、そしてヒクソン・グレイシー当人までインタビューをしてじっくりと話を聞き込んでいる。そして、そうした話をまとめるためのぐっと引き込む話の展開がうまい。そして、グレイシー一族まで含めた話は十分に厚みのあるものであった。
あの闘いが実現するきっかけとなる高田延彦と榊原信行の出会いは、本当にそんなことが起きたのかと思えるほど運命的だ。その高田が、なすすべもなく敗れたその日、その試合の実現に奔走した榊原信行の思いが今の時点からは思い至らぬほどネガティブなものであったことは印象的だ。そして、ヒクソン・グレーシーがその勝利を喜ばなかった理由もまたさらに印象的なのである。
取材の中では、榊原氏その人からPRIDE消滅の経緯も話を聞いているという。きっとPRIDEのその後についても本が書かれるはずだ。話を聞いたからには書かれるべきだとも思う。そう遠くないうちに。 -
軽い
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世紀の一戦を様々な角度から臨場感を持って伝えられており、一気に読んでしまった。今回は高田vsヒクソンに焦点が当てられたが、プライドの興亡についても読んでみたいと思った。
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高田さんと榊原さんとの初めての出会いでお酒を交わし合ってから意気投合までのエピソードが面白かった。
途中気まずい関係にもなりながらも今もRIZINで繋がっているこの最強コンビが好きです。
高田延彦VS武藤敬司 があって一線を超えずにあのプロレスの結果だったからこそ、高田延彦VSヒクソン・グレイシーが開催されてPRIDEが誕生した。
そしてPRIDEは今考えるとMMAの教科書的大会だったしレジェンド選手もたくさん生まれた。
本書はヒクソン2までが書かれているのだが、あまり聞いたことのないヒクソン・グレイシーへのインタビューが面白かった。
ヒクソンがグレイシー一族の中でどのような立ち位置だったのか?
エリオの子供の名前にはRから始まるKが含む、ONで終わる名前が多いがヒクソンは全てが入っている。さらに、その息子でRIZINでも活躍しているクロン・グレイシーはRとKとONのみの名前であることに鳥肌が立ちました。
あの高田VSヒクソンがあったからこそ、今のMMAがあるのであって、メイウェザーVS天心に引き継がれていくのだな。 -
ななめ読み。
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『泣き虫』でおなじみのスポーツライターの金子達仁による、高田対ヒクソン戦に迫った一冊。
高田側の証言は真新しいものはなかったが、ヒクソン側の証言は中々ないので新鮮だった。 -
PRIDEができるまでのストーリーをまとめたノンフィクション。やっぱり金子さんの文章はとても面白いし、ワクワクしながら、一気に読めるのが本当にすごい。内容がどこまで真実なのかとか、綺麗な面しか書いてないんじゃないかとかそういうことも思うけれども、作品としての完成度はとても素晴らしく、自分の周りの話もこんな風にまとまったらとてもいいのにななんて思ったりもしますねw(2018.01.25ごろ読了)