同姓同名

著者 :
  • 幻冬舎
3.47
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感想 : 168
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344036789

作品紹介・あらすじ

登場人物全員、同姓同名。
大胆不敵、ノンストップミステリ。

これは、乱歩賞作家からの挑戦状。

感想・レビュー・書評

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  • 大山正紀がたくさん出てきて、大山正紀の一人称視点で語られ、どの大山正紀の話なのか意図的に分かりづらくされているものの、読みづらさは感じなかった。色々と仕掛けがあり、しっかり騙されて楽しめたけど、一番最後のどんでん返しだけは蛇足だと思う。

  • 登場してくるたくさんの大山正紀。
    何度も「これはどの大山正紀?」と混乱させられ(それこそが狙い)、ラストも「え、そっちの正紀?」とさせられました。
    エンタメとしてハラハラ楽しめたけど、こんなことが世界のどこかで起こってないとも言えないよな、と実感。
    全てを姓名のせいにしそうになるけど、それをやめて前向きに生きて行こうとする大山正紀くんの生き方が素敵でした。

  • 「大山正紀」がとにかくたくさん出てくるので、何度も混乱した。
    装画のように番号をふっておいてもらいたいくらい。
    予想を裏切られまくって、最後はそうなっちゃうのか…という結末。こんな同姓同名いやだなぁ。
    自分の名前を検索してみると、社会で活躍されている素敵な方々がたくさん。
    関係ないけど、嬉しくなった。

  • SNSやらAIで真実か嘘かがわかりにくくなった今、自分っていうものをしっかり持っておかないと、こんな風に人生を振り回されてしまうこともあるんだろうなぁと想像する。
    SNSに依存しない昭和な人間で良かったと心から思う。

    色んなトリックが散りばめられてて、えっ?!てなることがしょっちゅうなんだけど、そのトリックは自分の中の思い込みが原因で起きる。
    自分は普通の人間ですって思ってる人でも、多かれ少なかれ自分の考えの偏りに気づける小説です。

  • 「大山正紀」が何人も出てきて、どの人の話しなのか?理解するのが難しい時がありました。

    犯罪を犯した「大山正紀」と同姓同名だったので、辛い思いをした大山正紀達のお話しでした。
    SMSの恐ろしさも伝わり、実際に辛い思いをしている人がいるのだと思いました。

    犯人の大山正紀が事件をおこしてしまった原因に同情してしまう部分があったけど、だからと言って犯罪は良くないで、もっと憎める犯人であれば良かったのに。

    終わり方も個人的に好きではなかったので☆2にしました。
    結局、他にも悪い大山正紀がいて、その正紀は本当の自分を殺して、他の大山正紀となって生きていけるのか?誰か真相を暴いて欲しいと思います。

  • No. 24は035J,7
    読了日:2024年 3月17日

    公園の公衆トイレで少女の遺体が発見された。犯人は16歳で名前、写真等は報道されなかった。しかし、暫くすると週刊誌が「大山 正紀」と犯人の名前を報道する。名前が発表されたことにより全国の大山正紀の運命が狂いはじめる。被害を受けた大山正紀は、"大山 正紀"同姓同名被害者の会が設立する。会を開催すると、大山正紀が襲われはじめ。
    ------
    同姓同名の特設サイトがあり、自分の名前を入力すると「同姓同名」の世界を体験できるとのことで、自分の名前を入力し体験してみました。読んでいくと自身との境界線が段々曖昧になり暗示にかかったような感覚になりました。

    本を読んだ感想ですが、ネットの怖さ、誹謗中傷の怖さ等、色々と考えさせられる内容でした。

  • 同じ名前だから読んでいて、かなりややこしくイメージしにくかったけど、
    それを軽々超える何度も何度もひっくり返してくる巧妙なストーリーだと思います。

    さらにストーリーの面白さだけでなく、SNS社会の現在へメッセージも込められているのが、すごすぎる。

  • 新聞記事で紹介されていたので手に取った。
    単純に話が面白い。最初から最後まで引き込まれた。その中にも作者からのメッセージが込められていたように思う。特に人々の「無自覚な悪意」について考えさせられた。自分も最近、伊東純也選手と週刊新潮の件をTwitterで追っていたので、自分の中にも「無自覚な悪意」があることに気がついた。物語の中の出来事だが、他人事とは言いきれない怖さに自分を含めた人間の弱さと愚かさを思い知る。「無自覚な悪意」に囚われずに、前を向いて自分の人生を歩みたい。
    エピローグでの結末は「無自覚な悪意」とは少し違い、ため息が出たが、それもまたこの世のやるせなさを物語っているような気がした。

    【以下本文より刺さった言葉メモ】

    「ずっと“被害者意識”をもっていたら、全てを“悪意”出みるようになる。」「普通の友人知人が周りから去った時、残るのは“怒れる人たち”です。怒れる人の周りには怒れる人しか集まってきません。」

    「いちばん怖いのは、自分は誹謗中傷していい人間を決める権利がある、と信じている人間たちです。言葉の暴力の残酷さを訴えていた人間も、自分が許せない罪を犯したと感じた相手には、いとも簡単に暴力的な言葉を吐きます。誰なら誹謗中傷に追い込んでいいんですか?自殺に追い込んでいるわけじゃない、ってみんな言うけど、それは、大勢から批判されている人間がたまたま自殺しないでいてくれただけです。」
    「俺たちは、そんな人々の“悪意”から抜け出すべきだと思うんです。人を死に追いやる言葉に正義なんてないです。」

    「母親は、妊娠したとき、赤ん坊が生まれてくることをどれほど楽しみにしていたかを語ってくれた。名前は1ヶ月以上、考え抜いたという。そう、同じ名前でもそこに込められた想いはきっとそれぞれ違う。そういう意味では、同姓同名でも唯一無二なのだ。」

  • 面白かった!
    エンタメ小説なのだが、社会問題を正面から扱っているので深みもある。
    計算し尽くされた著者の策略にハマって何度も「えっ!そういうことだったの!」となったことも快感ですらあった。

  • 同姓同名と言うと、"私と全く同じ名前の人がいるなんて!!"と少し、驚きと嬉しさみたいなものを感じるというのが私のイメージでした。
    が、同姓同名がいると、こんなにも厄介なことになるのか!!と違う側面を知ることができたお話でした笑

    んーーでも、物語に出てくる同姓同名の主人公たちが多すぎて、私の場合はフィクションをすごく感じてしまい、私の好みに合わなかったようです。。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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