スピリチュアルズ 「わたし」の謎

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344037984

作品紹介・あらすじ

これは事件だ。
驚け、そして目醒めよ!      

あなたは、あなたのスピリチュアルの、操り人形にすぎない。


脳科学や心理学の最新知見を使って解き明かした、この、恐るべき「スピリチュアル理論」が、「自分」や「他人」に対する理解を180度変える——。

「わたし」も「あの人」も、たった8つの要素で出来ている。
人間の行動のすべてを、じつは(意識ではなく)無意識が決定している。あなたの知らない「あなたの無意識」これを本書では“スピリチュアル”と呼ぶ。今、世界の最先端では、すでにあなたのスピリチュアルが読み解かれ、さまざまな局面で利用されている。世界72億の、膨大なスピリチュアルズへの未知の旅は、すでに始まっているのだ。この事実を知って、今度はあなた自身が「自分の人生を変えられる」と気づく番だ——。

感想・レビュー・書評

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  •  論理的にスピリチュアルを解説してくれる。
    豊富な実験レポートや論稿があるので、知識としては良いのかなと思う。
     私は狂信的な宗教は好きではない。何かにすがりつけばつこうとするほど、自分の力を削ぐし、自分を見失うと思っているからだ。
     人は弱い面もあるし、脆い部分もある。拠り所となるものは誰にとっても必要だろう。だから、宗教は私は否定しない。
     でも、それほど、理屈をこねなくても、p53
    ①明るいか暗いか(外向的 内向的)
    ②精神的に安定しているか、神経質か(楽観的 悲観的)
    ③みんなと一緒にやっていけるか自分勝手か(同調性)
    ④相手に共感できるか冷淡か(共感力)
    ⑤信頼できるか、あてにならないか(堅実性)
    ⑥面白いか、つまらないか(経験への開放性)
    ⑦賢いか、そうでないか(知能)
    ⑧魅力的か、そうでないか(外見)
    このページだけ分かってたら十分ではないかと思う。いくら人柄が良くても、忘れっぽい人は当てにならないし、自分にとって興味が全くない話を延々とする相手は退屈だし。(自分も気をつけようと思う。)
     自分も完璧ではないし、相手も完璧ではない。自分を成長させることと、相手を受け入れる器を大きくする事だと思う。

  • 自分はどんな資質を持った人間なのかは、8つの要素で構成され、環境や自分の意思からの変化は難しいものということが語られている書籍です。なので、自らの資質、特性を理解して、その資質、特性にあった生き方を探すほうが、無理なく生きていけるということを伝えてくれている。向いているもの、向いていないものがあり、無理して向いていないことをし続けると、健康に影響を及ぼすことになります。
    参考にした書籍をページ左に記載されているので、より詳しく知りたい場合はその書籍を読んで理解を深めることもできます。

  • タイトルには「スピリチュアルズ」とあるものの、心霊や占いとは全く関係なく、心理学、脳科学、行動遺伝科学や、進化生物学等の知見を交えて「わたしは何者か?」の謎に迫った本。

    多くの関連論文を読み込んだうえでの著者の考察の鋭さにはただただ驚嘆するばかり。それでも、本書は依然として「私は何者か?」の答えは出せていないが、その一端をつかむことはできていると思う。

    科学的見地から自分とは何か、を探るにはうってつけの一冊。

  • 【お見通し】
    スピリチュアルと聞くと霊的なものを感じますが内容は全然違います。

    科学の進歩(ビッグデータ・コンピュータ・AI)により脳科学、精神、遺伝の世界も解明されつつあります。人が脳内で感じるスピリチュアルな世界も成るべくして成っているだけかもしれません。

    ある人が癌になった、遺伝子的に成るべくして成っただけかもしれません。
    ある人が恐ろしい考えを発表した、成るべくして成っただけかもしれません。

    あまりにも膨大で人の脳みそでは処理できない量のデータでもAIはできてしまいます。しかも膨大なデータであればあるほど精度はよくなります。
    DNAのデータから環境影響データまで入手することができれば、どういう大人になるかもわかってしまうのです。
    起業して経営者になるのか、犯罪者として刑務所で暮らすのか、医者になるのか、俳優のようなエンターテイナーとなるのか、労働者として平凡なサラリーマンとなるのか、すべてがわかってしまうのです。夢も希望もないですが・・・


    ニッチな場所
    自分のキャラは理解しているが、それに適したニッチな場所が見つかりません!
    (探し方が足りないのか??)

  • いわゆるオカルト系な話では全くなく、多様に存在するパーソナリティーは私たち人類が多様な環境に適用するための遺伝子の淘汰であるという事がベースになっている。徹底的に社会的な人間がより良く生きるために生存競争を勝ち抜いた結果が私たちの人格に結び付いており環境や教育で変更できる部分は限られている。自分のパーソナリティーに合った環境で前向きに生きることが幸せになる近道。

  • 最も大切なことは自分のパーソナリティに合った人生を設計すること

    Part1 無意識とビッグファイブ理論
    無意識にも直観と呼ばれる高い知能があることが分かっている。
    感情円環図 (X軸:快/不快 Y軸:覚醒/鎮静) 反時計回り象限で 1高揚、2動顛、3落ち込み、4穏やか)

    1980年に性格の主要な5因子が発見され、個人の成長を通じて安定していることが判明
    ビッグファイブ:外交的/内向的、楽観的/悲観的、協調性、堅実性、経験への開放性 
    それぞれの因子は独立している

    「人格(パーソナリティ)」とは人の内部にあるのではなく、他者の評価がフィードバックされたもの。つまり、すべてのひとが人生という舞台で主役を演じているとすると、人格とは「観客」の評価を反映している。ひとはみな自分の物語の主人公だが、好きなキャラを勝手に選べるわけではない。人間は徹底的に社会化された動物だから、「人生という物語」の舞台にはつねに他者がいて評価されている。
    人生をロールプレイングゲームにたとえるなら、主役(わたし)のキャラのパラメーターは社会=ゲーム全体で共有されているものでなければならない。そうでなければ他の役者(サブキャラ)が理解できないから、ストーリーはたちまち破綻し、先に進めなくなってしまう。「誰も知らない、内面に秘められた特別な性格」などというものは存在しないし意味がない。わたしたちはみな、微妙に異なるパラメーター(因子)をもって生まれてくる。その「傾向のちがい」を利用しながら、社会のなかで自分に適した「役柄」を探すのが成長で、それによって一人ひとりちがうパーソナリティになっていく。

    本書では、ビッグファイブのうち、協調性を同調性と共感力に分け、外観と知能を追加して、8つの因子でパーソナリティを説明する。
    他者と出会ったときに注目するのは以下の8つ以外にはない
    ① 明るいか、暗いか(外向/内向)  
    ② 精神的に安定しているか、神経質か(楽観/悲観) 
    ③ みんなといっしょにやっていけるか、自分勝手か (同調性)
    ④ 相手に共感できるか、冷淡か (共感力)
    ⑤ 信頼できるか、あてにならないか (堅実性)
    ⑥ 面白いか、つまらないか (経験への開放性)
    ⑦ 賢いか、そうでないか (知能)
    ⑧ 魅力的か、そうでないか (外観)

    こころについての本書の記述は以下の3原則にのっとる
    ① こころは脳の活動である:心理学の主張は脳科学によって検証説明されるべき
    ② こころは遺伝の影響を受けている:外見、性格、知能、すべて50%以上の遺伝率
    ③ こころは進化の適応である:自然淘汰の圧力は脳にもおよび、感情、行動、社会に影響

    Part2
    アメリカ大統領選挙でトランプ陣営がビッグファイブ理論にもとづきキャンペーンした、有権者を32のグループに分けて広告を作った

    Part3  外向的内向的
    人は刺激に対して敏感な人と鈍感な人がいて、敏感な人は刺激を避け(内向的)、鈍感な人は刺激を求める(外向的)ことで、最適な覚醒レベルにしようとする
    もともとの心拍数が低いほど、無意識に引き上げようと刺激を求め、外向的になる
    従来は外向的な方が有利なこともあったが、現在では専門職の地位や収入が上がったことで内向的な性格も有利になっている
    ドーパミンは「期待」を生み出す神経伝達物質であり、分泌量が多いと衝動が大きい
    「内気」は神経症傾向にかかわるパーソナリティなので、「内向的」とは関係ない
    内向的ということは人が好きとか嫌いではなく、刺激の強度の問題

    Part4 楽観/悲観
    サイロシビンによるうつ病治療、がん患者の未来への不安を消せる可能性
    人は社会で生き延びるため、反省と予測の能力を発達させ、それには「自己」が必要
    抑うつや不安は脳によるシミュレーションがネガティブループに陥った状態、幻覚剤を使うことで意識を残したまま「自我」(主観と客観の認識)が消えるため改善する

    脳は基本的に楽観主義、ほとんどの人は自分が平均以上だと考えている
    自己実現性があるため、楽観主義の方がうまくいくことも多い、ただし、脳は強く望むだけで夢がかなったと勘違いするため努力をしなくなることもある
    楽観的な人は他者や環境に責任を転嫁し、悲観的な人は自分で責任を引き受けようとする
    外向的な人が楽観的であるというのは間違ったステレオタイプ、外向的で悲観的な人や楽観的で内向的な人も多くいる
    明るいL型と悲観的なS型と考えられてきたが、L型は鈍感なだけ、S型は環境に敏感に反応するため神経症的ではあるが、良い環境なら良い成果が得られる

    Part5 同調性
    同調圧力により、視覚の認知自体も歪む
    外向内向、楽観悲観の分布は正規分布だが、同調性はベキ分布の可能性があり、ロングテールが存在する
    仲間外れにされると、脳は殴られたのと同じような反応を示している
    アイデンティティの確立は大事だが、共同体に入り誰かを排除する必要がある
    男女共に同調性の傾向はあるが、男は競争し女は選択するように進化したため、方法は異なる
    曖昧な状況下では日本人はリスク回避的な選択が無難で、アメリカ人は自己主張がデフォルト戦略になるが、状況が変われば同調圧力に従う
    学校のような閉鎖的な環境ならアメリカ人もイジメを行う
    同調性がベキ分布なら大多数の人は同調性があることになる

    Part6 共感力
    共感力とメンタライジング(人の気持ちを理解する能力)は別  
    ①コミュ力が高い ②サイコ  ③自閉症  ④アスペルガー
    メンタライジングが低い自閉症とアスペルガーはウソがつけない
    共感力が高いと自己犠牲的になったり道徳を破壊したり、排他的になったりすることもある
    マザーテレサなどの博愛主義者は共感力が低いため、普遍的な活動ができる

    Part7 堅実性
    目の前に提示された報酬への欲望を抑制できる度合 やりぬく力 GRIT
    異時点間選択のジレンマの時間軸のばらつき
    意志力は筋力と同じように消耗する、努力するほど意志力が無くなる
    男と女で堅実性の平均は一緒だが男の方がバラつきが大きい

    Part8 経験への開放性
    新奇性、意識というモニタの解像度のばらつき
    経験への開放性が低いということは、解像度が高く、比喩が無く、誰でも理解できる
    開放性の高いリベラル(裕福)と低い保守(貧乏)というのは誤ったステレオタイプ、知能が高い「成功した保守」や知能が低い「陰謀論者」がいる
    アメリカ人は軽躁状態、日本人は自己家畜化されている

    Part9
    外向的/内向的(報酬系)、楽観的/悲観的(損失系)は進化の中で最も古く、哺乳類や鳥類で個体差が確認されている
    同調性、共感力、堅実性 はヒトが評判社会を形成したことで発達した
    共感力は男女で異なり、堅実性は男の方がばらつく、同調性はヒトの本性だが平和で安定した社会ではばらつきが生じる
    経験への開放性は進化の中では新しいパーソナリティで、芸術文化に関連する
    知能は男女で平均は同じだが男の方がバラつきが大きく、男は空間把握、女は言語能力
    外見はパーソナリティに大きな影響を与えているが、研究の対象にはなりづらい

    パーソナリティの遺伝率は平均して50%程度とされている
    知能は年齢とともに遺伝率が上がり最終的に70%を超える、音楽やスポーツでは80%
    平均的なパーソナリティだと環境の影響が大きいが、精神疾患のような極端なものは遺伝率は70%以上になる
    50%の影響を持つ環境については、共有環境(家庭環境)の影響はかなり小さく、ほとんどが非共有環境(子供集団)の影響を受ける (貧しい家庭を引っ越しさせる実験)
    パーソナリティの主要な要素は正規分布なので1標準偏差に7割が入る
    目立つ極端な要素を選んでその人の性格としてラベリングして人間関係を簡略化しているが、実際にはもっと複雑なため深く付き合うとギャップが生じる
    自分の額に文字を書くことでセルフモニタリング能力が分かる

  • スピリチュアルが占いやまやかし的なもの、そう思って手に取ったが
    操り人形?自分の深層心理?
    このようなことに興味を持って読み進めました。

    私たちの脳の反応、その進化過程に刷り込まれたもの、アイデンティティ。人間の本能をひもとく。
    そのような内容で、ちょっと読むのも面倒な部分もあるものの、エピソードや実験は目を惹くものが多い。

    同性愛者への治療、慢性疼痛の女性への治療。
    初対面の人に与える印象の誤作動?
    依存症の仕組みと正体。

    誰かを妬んだりしてしまうのならそれはそう言うものだと知ったうえで自分の方向性を検討したら…何か変わるかもしれない。

  • この作家さんの本は、初めて読んだ。

    スピリチュアル=無意識

    たくさんの検証やデータをもとに、
    「わたしは何者か?」というテーマを掘り下げている。

    哲学と心理学と遺伝学と、色々と勉強になった。
    有名、著名な人の話も面白かった。

    読んだ、結論は、
    自分のパーソナリティにあった生き方をすること。
    それができたら、最高!

  • 人間の資質は、8つの要素の組み合わせで分類決定される。理論立てがよく出来ていて目からウロコが落ちる。人間は極めて社会的に成長してきたが、石器時代から人は大きく変化していない。

  • ビッグファイブの細分化チャレンジ。
    最近の著者に三部作として見ると進化論の興味関心まとめとして脳科学や心理学が入るのは興味深い。
    様々な文献の引用解説だが自説となる細分化を最後の章まで書き切っているのがよい。
    引用文献関連をいくつか読んでいると知っている内容になるが、
    その話を冪乗や正規分布ととらえ、大体外れ値や中央値があるなと性格や指向を捉える視点が新しい。
    一度読んで終わりな内容ではあるが、近年のこの手の学問の考え方として捉えるとよい。
    環境と遺伝子影響は半々ぐらいに考えればいいし、
    自尊心にこだわるナルシストな現代社会も社会共同体として人間の長い歴史の一過性のブームとして考えて、
    今どの傾向なのかと思うぐらいでちょうどよいと思っている身としては納得というより、そうだよなーな感想。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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