だいたい人間関係で悩まされる #なんで僕に聞くんだろう。

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344040724

作品紹介・あらすじ

甘いだけのアドバイスなんてもう要らない!厳しかったり、ゆるかったり。突き放したり、抱きしめたり。ガンなった写真家が、相談者の心のど真ん中を刺してくる!本気で悩む人の「本当に欲しい言葉」が見つかる、唯一無二の人生相談。簡単に慰めない。安易に共感しない。でも真実を捉え、時に耳の痛い言葉を、時に誰よりも温かい言葉を、”心の的のど真ん中”に、放り込んでくる!この鋭さは何?この痛みは何?この居心地の良さは何?この希望は何?……甘いだけの人生相談なんて、もう要らない。背中を”本当に”押してくれる、唯一無二の人生相談。=====Q「信者の母のもとで育ち、宗教から離れたいが、怖い」Q「自分の性について、パートナーにカミングアウトすべきか」Q「風呂で亡くなった母は、事故死なのか自死なのか」Q「57歳、無職、独身。お金が無くなったら死ぬしかない」Q「おもしろい人になりたい」Q「貧乏から抜け出せない」 など、31の悩みに対して、あなたのためだけに、手加減ゼロで弾き出される言葉とは――?「自分がしあわせになることが、いちばんみんなをしあわせにするんですよ」「他人から嫌われるよりずっとつらいのが、自分で自分を嫌うことです」「人は、自分よりも弱い存在にどう接するかに、いちばん人柄があらわれるよ」「親って、自分の苦しさには敏感なんだけど、子供の苦しさには鈍感なんです」「自分が苦しいからって、誰かを苦しめていい理由にならないよ」「ちいさい失敗はちいさく成長して、大きな失敗は大きく成長します」「人ががんばれるのって、終わりの見えている短期間だけだよ」「自分がちょっといいモノを使っているときに、いいモノに気づいてくれる人は、いい人です」「敵意は敵意で返ってくるけど、好意は好意で返ってきます」=====厳しかったり、ゆるかったり。突き放したり、抱きしめたり。ガンになった写真家の言葉に、みんな息を吹き込まれる!webメディア「cakes」終了で読めなくなった人気連載を収録!cakesでアクセス1位を獲得した人生相談の、完結版です。

感想・レビュー・書評

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  • 6月第4週はプライベートでいろいろあり、まさに「だいたい人間関係で悩まされる」状態だった。
    いちばん身近にいる人とすれ違うのは、本当につらい。本当にしんどい。
    そのときのわたしは、気持ちと思考が半分切り離されたような状態だった。
    気持ちは泥のようにグジャグジャしているのに、思考はうつのときに読んだ本から書き写したフレーズがリフレインしていた。
    そんな状態に、自分でも驚いた。

    思考もあるけれど気持ちに引きずられて不眠にはなるし、食欲もガッツリ落ちてつわりのときに張るくらい、体重が落ちた。驚いた。人間て食べないとこんなに体重減るんだ…(いやそりゃそうや)
    その自分をかろうじて支えているのが、うつになったときに得たもの、読書のなかで書き写した考え方だった。
    うつのときのわたしが、今のわたしを助けてくれた。
    そのことに、本当に驚いたのだ。

    そして新たに読んだこの本も、先週のわたしを支えてくれた。

    「失敗や負けを許さないで否定する生き方ってすんごい疲れるのよ。だからまずは自分が楽になるために、人の失敗を肯定するのがいちばんいいよ。」(53ページ)
    「だから勇気って、『失敗をする勇気』だとおもうんですよ。」(142ページ)

    未だに、人の失敗にはそこそこ、いやかなり?いやだいぶ?厳しいときがある自分…
    しかもそれはだいたい、心に余裕がないときばかりだ。
    人の失敗を許さないということは、自分の失敗も許されないわけで、ますます自分の首をしめて生きづらくしているということ。
    わかってるつもりだったけれど、あらためてこのタイミングでそれをこの本もから言ってもらえたことで、今度は前より深めにこの言葉を心に刻むことができた。
    次にここまで落ちこんだときは、この言葉も浮かんでくるだろうな。
    (いやできればここまで落ちこむのは勘弁!ではあるけれど)

    この本を読みきったあと、仲直りできました。ありがとうございました。

  • 幡野さんの率直なお答えに引き込まれ、ぐいぐい読めてしまう人生相談でした。

    後日談もとてもよかったです。
    幡野さんのお人柄のあたたかさが伝わってくるようでした。

  • 前にこのシリーズの本を読んで、おもしろい文を書く人だなあとそのユーモアセンスに惹かれて好きになった方の本。
    やっぱりおもしろい。

    読んでて刺さったり笑ったりなるほど〜と思ったところはいっぱいあるんだけど
    その中でもより印象に残ったもの。

    「不幸マウンティングを、社会の声と勘違いしないで」
    →私にも刺さりました。まさしく似た気持ちを味わったことがある。
    頭の中では何度も親を詰り、泣き、怒り、憎みました。
    毒親という言葉を知ってからは両親とも毒親だったんだ、だから私は生きづらいんだと自分に起こってきたこと、現在起こっていること全てを両親のせいにしました。
    そんなんじゃ意味ない、自分の力で前に進まねば。そう正論を頭の別の場所で冷静に見ようとする気持ちも、痛いほど分かります。
    そうやって主張していないと、突っ込まれてしまうんですよね。めんどくさいことに。
    幸せな家庭で育ってきたのなら外野があれこれ言ってくることは無いし、親との問題を乗り越えた人ならそっと見守るだけ。
    「それは違うんじゃない」と知った顔で言ってくるのは未だ解決していない似た傷を持った人だけ。
    だから私も反応しました。

    子供の頃に親の顔色を伺ったことって一生消えることがないのかもしれない。
    現に私だって紙に思いつく限りの罵詈雑言を書いて、実際に両親にも言って、実家を離れて距離を取っているけれど
    それでもこの手の話に共感出来てしまう。
    だから、一生解決しようとしなくていいのかもしれない。
    幡野さんの穏やかなゆるっとした返事を読んで、気持ちが少し落ち着いて、ふとそう思いました。
    親との過去に固執すると、余計に当時辛かった思いをしたことだけがクローズアップされていってしまうから
    思い出せないくらい日々を忙しくしたり自分の好きなことや物で埋め尽くすことが最優先かな。
    というわけで、私はずっと気になっていたお宿に泊まり、本を読み、ブログを書いたりこうして感想を書いたりしています。どうかな?

    結婚と出産が当たり前じゃない。
    言葉では散々目にも耳にもしてきたフレーズが、私の脳みそに届いていなかったことを知る。
    住んでいるのが田舎、両親ともバリバリの昭和の価値観を持っていることが影響して自覚出来ていなかった。
    私、結婚も出産も「して当たり前」と思ってたんだ。
    だからどちらもやらない自分に居心地の悪さを感じてたんだ。なるほど。
    こうして無自覚な思いに言葉で形を与えてくれる体験が出来るのが、本を読むことのおもしろさだよなぁ。

    相談者のその後って分からないからこういう紙面で完結してしまいがちだけど、そうだよね。その後の人生あるもんね。
    実際にお茶しに行ったり会ったりしていて、相談者が紙面上の存在では無い、生身の人間だという当然のことに気付かされた。
    その後幸せそうにしているようで良かった。

  • p249「好きなことを目指す→生活が成り立つかわからない→あきらめる」みたいな考えだと背水の陣になるんだけど「好きなことを目指す→生活が成り立つかわからない→他のことで生活を成り立たせる」という考えだと持久戦になるから、好きなことをできる期間が長くなります


  • どこかのおすすめで読んだのだと思うのだけれど。
    この著者と出会えてよかったよ。
    写真は、生命力というか、何かが生きている感じがする写真なのだけど、必ず影があるというか。暗さがある。人物の写真は、目線がある。目線を感じる。対象を見ている目を通して写真を見せてもらう感じ。あたりまえなんだけど。

    同い年だった。ちょっと下かなと思って読んであとがき見たら。親近感まで出て。


    著者の"しあわせ観"が私と似ているなぁと思ったので、先にそれをメモ。いろんな人の相談をきいて、答えている中で大事なところはそこに集約だな、と思ったので。

    p297
    「なんで人は生きるんですか?」ってことを聞かれれば、ぼくは「しあわせになるために生きてる」って答える。しあわせになったほうがいいとかじゃなくて、しあわせになるべきだとおもってる。

    でもしあわせの価値観は人それぞれだ。

    誰かのしあわせの価値観を押し付けられると不幸がはじまる。それを防ぐには自分のしあわせに価値観を見つけることだ。人の目を気にせず、自分のしあわせを人に委託しないで、自分のしあわせを大切にするべきだ。


    ーー著者のいいな!と思うところの一つは、奥さんとの関係が良好で、お互い大事にしてそうなところ。ちゃんと対話して、理解してるし、尊重していると思う。一番身近にいる人を大事にできる人だからこそ、赤の他人へのジン背に相談にもいい距離で、考えて、自分の言葉で答えてあげられるんだろうなと思う。知りませんよ、っていう場面もあったけど、考えてもわからないものはわからない。誰にもそういうのはわからないのかも。そこを適当に、ありそうな感じで答えることはしない。

    病気の治療上でCTガイド下の検査を受けたそうなんだけど、そこで放射線が出るけど検体を取るのに傍らに医者がいるのに感銘を受けたと。そうよねー。そういうちょっとした犠牲はあるよね。自分が針刺ししても平気な医療従事者もときどきいるし。仕事だと思って、いっしょけんめいやってるんだと思う。患者さんからも辛く当たられたりすることもある中、こういう風に思ってくれるのは、医療者としてはなんかありがたい気がするわ。







    あとは、順番に気になったところをメモメモ太郎。
    p12
    二人一組で熱々の骨を箸で拾って壷に入れる、参加者がいちばん緊張するアレを、トングに替えてほしいんだよね。
    p13
    元狩猟者として注目してほしい骨は両顎のハマり方と背骨のカーブですよ。どんだけ芸術的なんだ。
    そんな意識低めな仏教徒だけど、どんな宗教であれ、信じているひとがいる宗教を否定するつもりはまったくないんですよ。必要な人がいるのに、自分が不要だからといって排除するのは間違いだと思っているからです。自分が不要なものを排除したり、倒産や廃業に無関心でいると、世界はどんどん狭いものになっていきますよね。

    p17
    ほんとうは結婚をしたいのに、はじまってもいないうちから逃げていたら人生の損なんです。結婚したら逃げられないってことはなくて、離婚して別れればいいだけです。あなたの親の人生を、これからあなたが繰り返すわけじゃないよ。

    ーお母さんが宗教にはまってお父さんが亡くなったりして、結婚を躊躇している相談者へ。

    p34
    告知をして、それでも彼女さんが結婚をしたいといってくれたなら、あなたがいままでにずっとずっとほしかったものをようやく手にできると思うんです。いちばん好きで大切な人に、自分が認められて受け入れられる安心感です。

    ーー性転換し、生まれた時の性ではない相談者へ、結婚しようとしている相手へ告知するかの相談に対しての返答。
    なんかこの回答、胸にせまってきたんだよなぁ。この展開になったとしたら、ほんとに相談者は幡野さんがいうように心の底から安心するんだろうなぁって。幡野さんは、小っちゃくなって相手の中に入って、相手と一体化したかのように、問題の内側から考えることができる人なんだなぁ… 不思議。写真家っていうのは、ことの本質にグッと迫ってクローズアップする才能に長けた人たちなんだろな。

    p108
    でもそれは、あなたもおなじことだったんだよね。あなただって可能性と期待値と価値の高いこともだったわけで、どこかの見知らぬ子どもだったんだよね。ぼくはあなたの頸を絞めたあなたの親にも「お前なんか死ねば良いのに」って言葉をかけてきた人にも、ふざけんなって思うんだよね。
    -- 虐待された? 死にたい? 殺人して死刑になりたい? 相談者へ向けて。

    p110
    ぼくは死んでしまう病気になった病人なんだけど、まぁ最終的には死んで楽になればいいやっておもってるから、案外生きやすいよ。徹底的に嫌いな人を排除したから、ぼくのことを不幸にする人はいまの人間関係の中にいないの。

    -- 最高! それができたらすごく楽で楽しい。組織勤めだとなかなか難しいけど、私もキライなひととわざわざ話すことはないから、それに近い状況にある。いいよね。必要なスキル。

    p112
    ぼくはエアマックスを履いていると狩られるという青春時代をエアマックスを履いて歩んできた。狩る側は脅すためにバタフライナイフとかを持ってて、ぼくは現金は靴下の内側とかに折りたたんで隠していた。友だちがエアマックスの中敷の下に現金を隠して、エアマックスと現金の両方を奪われたことがあってアホだなっておもった。

    -- ww

    p116
    なによりもいちばん大事なのは、モテたいという下心を消すこと。せめて隠してほしい。きっとすこしガツガツやウホウホしすぎだ。ヘビが舌をチロチロしてたらほとんどの人は避けるけど、野良ネコがゴロンと寝てるだけで人は寄ってくるよ。

    だからきみも料理教室で包丁の話をしないで、筋トレの話とか読書の話をするの。それがおもしろい話をするってことなの。人は知らないことを知ったときにおもしろいって感じるんだよ。そうするともっと会話をしたいって思われるの。それがモテの始まりです。
    p117

  • 幡野さんの本、二冊目。
    たしかにほんとそう、とか、普段、私もこう思っているなぁ、と共感できることがたくさんある。
    ただ、なんとなく前の本より全体的に厳しくなっていて、このあたりで最終回、なのはそうなんだろうなぁ、という感じがした。
    「優しい虐待」というのが、印象的だった。病気になった人がやられがちなことなのだろうか。代替医療とか、食品とかきくよ、試さないの、といってくるやつ。
    幡野さん、ちょっと疲れたのではないかと思う。

  • だいたい人間関係で悩まされる
    なんで僕に聞くんだろう。
    幡野広志

    ∞----------------------∞

    ガン闘病中写真家の悩み相談。
    口調は軽いようで、しっかりと突き刺さる。内容も幅広くバラバラで、モテたいという相談から生死に関わることまで盛りだくさん。

    この相談内容を読んでこういう事まで考えられるのかと感心したり、目の付け所が面白いなと思ったり。
    普段の自分の悩みなんかもここそこに散りばめられてる感じがして、「確かにその通りだよな」と納得出来ることも多くあった。

    ガン患者が周りにいる時、寄り添うという言葉がどちらに対するものか。苦労をしているのは患者ではなく自分(患者の家族や周りなの人)だという被害意識を持つ人が多いということは怖いけれど、この世のマウント取り合戦を見ると否定は出来ない。自分はそうならないようにしたいと思った。

    2023/05/09 読了 (図書館)

  • 幡野さん言葉は厳しく優しく心に残る。
    今回もドラマのようなと言っては怒られるかもしれないが、本当にさまざまな相談があって驚かされる。
    自分は平和でのほほんとしている、ありがたくもあると感じた。

    最後のあとがきはグッときた。

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著者プロフィール

1983年 東京生まれ。写真家。元狩猟家、血液がん患者。2004年日本写真芸術専門学校中退。2010年広告写真家高崎勉氏に師事。2011年独立、結婚。2012年狩猟免許取得。2016年息子誕生。2017年多発性骨髄腫を発病。著書に『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(ポプラ社)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP)、『なんで僕に聞くんだろう。』『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。』(ともに幻冬舎)がある。

「2022年 『ラブレター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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