破れ星、燃えた

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 64
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041516

作品紹介・あらすじ

今でも、黒板五郎の幻影を見かけることがある。テレビも映画も元気な過剰で過激なあの時代を、苛烈に駆け抜けた。そして、今、思うことは――。抱腹絶倒、波瀾万丈、そして泣ける。どこまでも人間臭い漢の、痛快無比な自伝。ニッポン放送から独立した「倉本聰」は、「速く! 安く! うまく!」を武器に、テレビ界・映画界に乗り込んだ。大河ドラマ「勝海舟」に端を発したNHK出禁事件、応えられなかった石原裕次郎、最期の依頼、田中絹代さんの切ない葬儀、高倉健さんと「ディア・ハンター」観賞弾丸ニューヨーク旅行、富良野への移住と「北の国から」の誕生、「やすらぎの郷」がテレビ界に投じたもの、そして、先に逝ってしまった数々の盟友たち……。

感想・レビュー・書評

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  • <ほっかいどうの本>破れ星、燃えた:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/936726/

    破れ星、燃えた|倉本聰 - 幻冬舎plus
    https://www.gentosha.jp/series/yabureboshimoeta/

    『破れ星、燃えた』倉本聰 | 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344041516/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『破れ星、燃えた』倉本聰著 : 読売新聞
      https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/reviews/20...
      『破れ星、燃えた』倉本聰著 : 読売新聞
      https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/reviews/20231218-OYT8T50028/
      2023/12/25
  • スポーツ紙で連載していた自伝的エッセイ。
    裕次郎、勝新、高倉健、大原麗子、数々の昭和の大スター達の違った一面が興味深い。
    勿論「北の国から」を始めとした様々な映画、ドラマ、舞台、そして富良野塾の話も。

  • 面白いんだけど自慢話。

  • ・知識と金で、前例に倣ってつくるのが「作」。金がなくとも新しい知恵で、前例にないものを産み出すのが「創」。

    自分で思ってる以上にうわさ話や裏話が好きなミーハーなたちなのかもしれない、面白く読んだ。綺羅星のような大スターたちを呼び捨てにできる立場になった成功者の自慢話とも読めるけれど、北島三郎に学んだこと、高倉健の礼儀のこと、最近のテレビのつまらなさなど、共感できる話が多かった。
    この人の書いたシナリオをいくつか読んだことがある。例えば、「北の国から」では、この脚本から、あのすばらしい映像や物語ができるとは思えず、演出の杉田成道はスゴイ、脚本の倉本聰は胡散クサイと思っていたが、ゴメンナサイ、間違っていました。

  • 著者は、これまでも多くの著書で、半自伝的なものを書いてきたが、これもその類と思っていたら、これが遺作となるのではないかと思わせるような力の入れかたを感じた。力が入ったと言っても、そこはプロの脚本家、面白愉しく読ませてくれます。
    これまで知らなかった話も多く、著者の引き出しの多さを感じます。

    前作「破れ星、流れた」に続く、ニッポン放送から独立以降の後半生の自伝で、NHK大河ドラマでのトラブルや、それから逃げるようにやってきた札幌での無頼生活、富良野への移住と「北の国から」の誕生、富良野塾等々に絡めて、自身の書いたドラマの裏側や、高倉健、勝新太郎や石原裕次郎ら、先に逝ってしまった盟友との交流など、話題に事欠かない魅力溢れる「ドラマ」となっている。

    印象に残った箇所をいくつかをピックアップしました。
    <高倉健>
    「自分の寡黙について彼はこう語った。『おやじからガキの頃厳しく云われたンです。男は一生に三言もしゃべれば充分だと』その姿勢に圧倒された。しかし二人きりの時間になると彼はよくしゃべりジョークを飛ばした」
    また高倉健は驚くほどアメリカ映画に精通しており、アメリカの映画人と密に交流し、勉強していた。二人でニューヨークへ映画を観にいくのに、時差を利用して、二日で日本とNYとを往復した話や、その後付き合いがどんどん深まり、高倉健への感謝の気持ちとして誕生日に「駅舎」という映画のシナリオをプレゼントした。このシナリオを高倉健が気に入って、「駅―STATION(倍賞千恵子と共演)」となって映画化された。その時に高倉健から、アメリカのスターが行っている「プロフィト契約」というものを勧められ、更に高倉健が映画会社との交渉を全部やってくれた。これが著者に脚本料の何倍もの収入をもたらし、富良野塾の資金として使ったそうだ。

    <勝新太郎>
    「神戸山口組の親分が自伝を書きたがっているが、自分じゃ書けないので、書いてやってくれ」と勝新太郎から言われ断ったが、いきなり車で神戸まで連れて行かれ、一晩中つきあわされたそうだ。「朝までの出来事は、面白過ぎてとても書けない!」と・・・。

    後に、この時のネタを元に「冬の華」というやくざ映画のシナリオを書いた。
    フランスの暗黒街物、フィルム・ノワールのような粋なリリシズムを志して、やくざの親分がシャガールの絵を蒐集していたり、BGMがチャイコフスキーのピアノコンチェルトだったりするものだから、東映のプロジューサーは「こんなやくざ映画があるか!」とカンカンだったが、高倉健が気に入って、映画化された。
    映画が完成すると太秦撮影所ではやくざの為の総見試写会があり、神戸からどっとやってきたやくざが、この映画を観て何故か予想外に興奮して、「これぞ、やくざや!」と大喝采を浴びたそうだ。
    著者いわく「そりぁそうだろう。僕はあの夜の神戸の体験を忠実に再現してシナリオに入れたのだから」
    この箇所を読んで、東映のやくざ映画に、やくざの「総見試写会」という完成披露試写会というのがあるというのを知って驚いた。

    <北の国から>
    著者の場合、書きたいというエネルギーの源は、殆ど何らかの「怒り」だそうだ。
    当時、文明批判を書きたかった。
    厳しい北海道の自然の中で苦闘する親子一家の暮らしぶりを、チャップリンがいう「人の行動は、アップで見ると大真面目で悲劇だが、それをロングから見ると喜劇である」という視点で書きたかった。

    純 :「電気がないッ⁈ 電気がなかったら暮らせませんよッ!」
    五郎:「そんなことないですよ」
    純 :「夜になったらどうするの!」
    五郎:「夜になったら眠るンです」
    <※TVを見ていない方への注・・・(黒板)純は(黒板)五郎の長男>
    著者は、この単純明快な四行のセリフを元に、一本の企画書を書いた。
    この企画書に、フジテレビのプロジューサーがとびつき、結果的に国民的ドラマ「北の国から」が生まれた。

    主人公を選ぶ際のエピソード。
    主人公「黒板五郎」役の最終候補に上ったのが、高倉健、緒形拳、中村雅俊、西田敏行そして田中邦衛の5人で、この中で誰が一番「情けないか」という議論になり、満場一致で田中邦衛になったそうだ。

    他に、石原裕次郎と「石原軍団」、「風のガーデン」、「やすらぎの郷」、「富良野塾」の話など、書き出すと無限に続きそうなので、ここでやめておきます。

  • NHKの大河ドラマ”勝海舟”を途中降板したのは有名な話し。でもその経緯を知るその時代の制約(組合がらみの’)の厳しさ、素人のディレクターのひどさ、その他もろもろの原因が重なって起きた不幸な出来事だったんだね。
    まぁとどめは週刊誌に9割褒めて(NHKのことを)1割不満を言ったことがそのことだけが取り上げられて大問題の発展したことなのかな。でも、北海道に飛んでからも脚本はちゃんと送ってたらしいので結局、NHK側が馘にしたらしいけど。まぁすったもんだがあったのは確かか。
    北海道でトラックに運転手になってたらあの「北の国から」は生まれなかったんだね。
    でも、未だに著者の中では物語は続いているらしい。演じる田中邦衛や地井武男を鬼籍に入ってしまったからねぇ。
    高倉健や石原裕次郎との懇意な中で大原麗子は妹のようにかわいがったらしい。生きてたらやすらぎの里に絶対出演してたね。
    著者の母をドラマにした”りんりんと”見てみたかったなぁ。
    主演の田中絹代がまるで母親が乗り移ったかのような迫真の演技だったらしい。
    あんな大女優も死はひどく寂しい死だったようだ。
    身寄りもなく貯金もほとんどなく著者とあと懇意にしてたスタッフ?記者?が取り仕切ったらしい。
    富良野塾ももう閉塾していたこともこの本を読んで知った。
    著者も御年89歳、山田太一も向田邦子も鬼籍に入ってしまって寂しい限り。長生きして欲しい。

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著者プロフィール

倉本聰(くらもとそう)
一九三五年東京生まれ。脚本家・劇作家・演出家。東京大学文学部美学科卒業。『前略おふくろ様』『北の国から』『昨日、悲別で』『優しい時間』『拝啓、父上様』『風のガーデン』『やすらぎの郷』など数々のヒットドラマの脚本を手掛ける。七七年からは富良野を拠点に活動。

「2022年 『脚本力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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