- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344416215
作品紹介・あらすじ
継母と暮らす15歳の優子は、同級生の富田君と初めての恋を経験する。パン屋巡りをしながら心を通わせる二人。そんなある日、意外な人物が優子の前に……。書き下ろし短編「はちみつ」も収録。
感想・レビュー・書評
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小、中と女子校で育ち、共学の高校に通い始めた優子は、大好きなパンをきっかけに、富田くんと仲良くなる。
とてもみずみずしくて、ピュアな高校生の、心温まるお話だった。
優子は、義理の母ミドリさんと暮らしているのだけれど、「ままはは」という響きがまったくなく、大学院生の美和ちゃんという家庭教師とも仲良しで、ある日突然、意外な人物も登場して、優子を励まし支えてくれる。
富田くんとのパン屋めぐりや、些細なけんかも、美和ちゃんとの会話も、何もかもがほんとに微笑ましく、優しくてかわいらしいものがいっぱい詰まったおもちゃ箱のようなお話だった。
「はちみつ」は、「うさぎパン」のスピンオフ的な短編。
どちらもほのぼのと癒されます。詳細をみるコメント1件をすべて表示 -
☆4
今年の干支ということもあり、新年に読みたかった作品です。
私もパンが大好きなので、新しいパン屋さんや普段は行かない街でパン屋さんを見掛けると思わず入ってしまいます。パンってとても魅力的ですよね(*´˘`*)
作中に美味しそうなパンがたくさん出てくるので、パンを用意して読み始めると更に楽しめると思います♪心温まる素敵な作品です❁⃘*.゚
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「目は赤いゼリービーンズ、鼻はレーズンで口がチョコレート。」(p121)ツヤツヤもちもちでこんがり健康小麦肌。私の大好きなうさぎ形のパンを大好きな彼が焼いて手渡ししてくれるーーーああなんという事でしょう。想像するだにときめきが押し寄せすぎてわたしの心の内は鳥獣戯画よろしくうさぎの大群が湧き出てきてマツリダワッショイタッタタラリラ状態になってしまった訳であります。
初読み・瀧羽麻子先生のデビュー作(厳密には初書籍化作?)の表題〈うさぎパン〉とそのスピンオフ作〈はちみつ〉の2話収録。パンの美味しさを引き立てるはちみつの付け合わせ。最高です。
〈うさぎパン〉…高校一年生同士の甘酸っぱい…もとい、芳醇で香しいパンがつなぐ青春恋愛物語。主人公である高校生カップルその1〈優子〉と〈富田くん〉と、カップルその2として優子の家庭教師である大学院生〈美和〉と美和が通う大学のゼミの先輩〈村上さん〉というふた組の恋人たちが織りなす成長劇を見守るはなし。
メインとしては優子と富田くんの瑞瑞しい恋模様をニヤニヤしつつ羨ましいなと思いながら眺めていく訳であり、歳上の同性である美和が優子に大きく影響を与えるという王道を踏まえつつ、なんと途中で幽霊まで登場するというちょっと不思議な展開を迎える。正直この辺のくだりに関してはさらっと流される感じなので「なぜ幽霊が?え?」と戸惑いを感じるのは確かだが、「細けえこたぁ良いんだよ!」と押し切れるくらいの絶対的な爽やかさと感動が心地良い短編。
徐々に親しくなってきたけどまだ恋人未満の関係時点、いつもよりちょっとだけ遠出した時に富田くんが優子の事を「隊長」(p52)と呼ぶ距離感とかたまんなく好き。
優子の年齢の割に落ち着いた性格を「ラムレーズン」(p26)を選ぶ女子高生と描写しているのも成る程と思うし(ついでに、優子の友達〈早紀〉の活発で社交的な性格を「マンゴーアイス」(p25)を選ぶ子、と対照しているのも上手いと思う)、「美和ちゃんはわたしのことをゆうこ(なぜか、優しいに子供の子の「優子」ではなくて、ひらがなの「ゆうこ」に聞こえる。そこにどういう違いがあるのか、説明はできないけれど)ちゃんと呼ぶ。」(p16)みたいな絶妙な感覚とか、なんかわかる気がするし、美和の声音とかイメージ出来てきてより物語に没入できる一因になっているのかなと感じた。
〈はちみつ〉…1話目と同じように恋にまつわる話でありながら雰囲気は随分と違う。若さや不思議さといった面に替わり、落ち着きやしっとりさをまとったはなし。もしやと思ったけど幽霊は出ません。優子と富田くんはニアミス出演しますが。
大失恋をしたばかりの美和の友人〈桐子〉が主人公。はじめは食事が喉を通らない状態だったが、美和の働きかけと時間がちょっとずつ桐子を前向きにさせ、やがて再びの恋の予感を醸し出しつつのラスト。
理系研究室の様子や人間像が妙に生々しくリアルに描かれているのもポイント。
元気と滋養を得られる、まさに栄養成分たっぷりの一冊。
しかと堪能を致しました。
22刷
2024.2.3 -
久しぶりに再読。初めて読んだときは学生だったので、「うさぎパン」の高校生たちに感情移入したけれど今回は「はちみつ」が心に残った。ほっこり、あったかい気持ちにさせてもらえる一冊です(*^ ^*)
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主人公の女子高生、優子とクラスメイトの冨田君との恋人未満の、ちょっと不器用なやり取りに、若いっていいなぁと思いました。パン好きの2人のパン屋巡り。買ったらすぐに、近くの公園で頬張る。菓子パンや、惣菜パンよりも、小麦の味が感じられるハード系なパンが好きというのも、なかなか通だなぁと思いました。2人がパンを食べているシーンは、こちらも幸せな気持ちになれます。
お話は、優子が3歳の時に亡くなった母親が出てきたり、ちょっとファンタジーな面もあります。母親を通して、父親のこと、義理の母親のことなど、優子からの側面でしか知らなかった2人の別の面を知ることになり、戸惑う優子。もう少し、両親に心を開いてあげてもいいんじゃない、と伝えたかったのかも。そして、自分も、3年間だけだったけれど、優子を育てられてよかったという感謝の気持ちも。成長した娘に伝えたいことがあって、神様にお願いして出てきたのかしら。
さわやな、甘酸っぱい青リンゴの感じがする本だなぁ、と思いました。 -
いいなぁ・・・放課後のパン屋めぐり。
富田君と優子みたいにかわいいものではないけど、
ひそかに私も近所のパン屋めぐりをしている。
今、お気に入りのパン屋さんが、アトリエ みたいなとこで
本を読んでてちょっとうれしかった(*^^)v
うさぎパンはなかったけど・・・・-
かわいいかわいい恋ですよね~♪
彼女のために、何個も何個もうさぎパンを焼く彼。。。きゅんきゅんしてしまいます。
ああ、noboさんがご近所...かわいいかわいい恋ですよね~♪
彼女のために、何個も何個もうさぎパンを焼く彼。。。きゅんきゅんしてしまいます。
ああ、noboさんがご近所だったら、張り切ってパン屋さんめぐりのお供をするのに!
(あ、けっして、きびだんごをくださいとか
ミニクロワッサンをください、とか言いませんよ~)2013/02/21 -
この本、好きな本の中に入っていて、図書館借り手よみ、ほのぼのさが好きで購入したんです♪。レビューを拝見させていただきとてもうれしかったです★...この本、好きな本の中に入っていて、図書館借り手よみ、ほのぼのさが好きで購入したんです♪。レビューを拝見させていただきとてもうれしかったです★。2013/02/22
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まろんさん
したいですね~一緒にパン屋めぐり!!
うさぎパン焼いてくれる富田くんいいですよね(*^-^*)
kuroayameさん
瀧...まろんさん
したいですね~一緒にパン屋めぐり!!
うさぎパン焼いてくれる富田くんいいですよね(*^-^*)
kuroayameさん
瀧井さんの本は、ほのぼのしていてかわいい本が多いですよね!(^^)!2013/02/22
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我が家の朝はパンで始まる。
戦中生まれの父がパン党なので、母は毎日パンを買いに走る。
父の好みはふわふわの、懐かしい感じのするクリームパンやコルネやジャムパン、練乳ロール、あんぱん。甘酸っぱく煮たチェリーの載ったハイカラなデニッシュもお好みだ。
タイミング良く、焼きたてのパンが買えたりなんかすると、夕飯前にコーヒーと一服だの、食後のおやつにコーヒーと・・・だのと欲張り、結果アンパンマンのような真ん丸い顔をしている。
もちろん私も母もパンは好きだけど、どちらかといえば全粒粉の、くるみやドライフルーツを練りこんだ香ばしく固めのパンに手を伸ばすことが多い。「うさぎパン」のヒロイン優子の好みに近いかもしれない。
高校生の優子は継母のミドリさんと暮らしている。
生みの母の記憶がほとんどないこともあり、ミドリさんとはうまくやっている優子だが、それまで通っていた中高一貫の女子校を離れ、共学へ進むも成績が思わしくない。
そこに紹介されてきた家庭教師、美和ちゃん。一見頼りなげな彼女ですが先生としては優秀で優子との相性もよく・・・。
優子と富田くんのパン屋さん巡りデートや、美和ちゃんの彼氏を交えたダブルデート、なんだか青春っぽくて羨ましくなります。ふわっと甘くて、バターの香りがするような美味しいお話。 -
青春だなぁ、と思った。
パンが好きなので無性に食べたくなり、帰り道にあるパン屋さんを巡った。いつもと違う甘いパンを食べて、ほっこりした。
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高校生の恋の話って聞いてるだけで幸せになる、美和の言う通り、もう読んでいる間中私の顔は真っ赤でひとり照れていたに違いない。誰もいない深夜に読んで正解だった。
ただこの作品はパンの描写が多くパンの匂いや温かさをふわりと感じて、深夜に何かを食べずにはいられなかったのが困った所だった。
母の愛の強さが優子に突然不思議な体験をさせる。すべての真実を知った時、優子は何を想い、何を思い出すのか。誰の心の中にも「幸せのうさぎ」幸せのかけらがあると思う。
スラスラと読める可愛い本。ほっこりしたい人にはおすすめ。ガッツリいきたい人には物足りないだろう。
同時収録の『はちみつ』。誰にでもある失恋の経験。その乗り越え方。懐かしい痛み。吉田先生の人気。私は『はちみつ』の方が好きだな。 -
先日、おいしいパン屋に出会ったので、衝動的にこの本を手に取りました。
ささやかな幸せなをもたらせてくれますよね。
昔々、母が買ってきてくれたチョココロネを思い出しました。もう、そのお店は無くなってしまいましたが。あの時の小麦の香りが蘇ってました。
:) -きみかげ-