- Amazon.co.jp ・本 (765ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344417533
感想・レビュー・書評
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古野まほろ『天帝のはしたなき果実』読了。
第五の奇書を求めて。奇書を追っていくと、どうしても行き当たる本作。端々に見られる『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』『匣の中の失楽』へのリスペクトからも、その流れを踏襲していることがわかる。何より、「天帝の」というタイトルそのものが、冒頭の奈々村久生の引用文が、この作品の『虚無への供物』からの影響を物語る。
序盤は世界観が嫌でも解る吹奏楽部の青春劇。「帝国」と名のつく日本。この世界は現実の日本とはパラレルな関係にある。それは多くの謎の真相に接続する世界の親和性を高めている。というのはまず措くとして、それよりも先んじて強烈な「まほろ語」の連発、外国語ルビの多用という読み難さから始まる本書は黒死館の疲労感を思わせ、奇書好きとしては俄然スイッチが入った。
内容としても、『黒死館殺人事件』や『虚無への供物』を踏襲した衒学的な会話や推理合戦は圧巻だ。しかし、奇書だからといって本格ミステリの純度が低いかというと全くそうではない。推理パートの論理は作者が師と仰ぐ有栖川流で、精緻そのもの。推理合戦の形式から導かれる公理、演繹推理の果ての真相。論理の純度が恐ろしく高いことは証言しておきたい。
但しそれだけで終わらないのが「奇書」たる所以。終盤の展開は「唖然」の一言。だが個人的には終盤の展開そのものよりも主人公「古野まほろ」の行為の方が衝撃的だった。正直なところ「こいつ」は好きになれない(笑) なんだこいつ、嫌いだ、地獄に落ちろ(笑)
しかし、それでもやはりどうしようもなく楽しかった。読みにくい、わかりにくい、荒唐無稽、主人公嫌い、それでも楽しい。純粋に面白かった。その論理と、唯一無二の奇特さと、先達への想いに脱帽する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初読:2012年4月12日(ノベルス)
再読:2017年12月28日(文庫)
新刊が出たので、そのために久しぶりの再読。
はふう。疲れた。
もういわゆる「旧訳」を読んだのが5年も前だから記憶がおぼろげだけれど、文庫版、「新訳」はかなり改稿を加えられている。
一番気になったのはパロディネタ、メタネタの多さ。「探偵小説」シリーズなんかもそんな感じだったけど、個人的にこれはあんまり受け付けない…。
ただ文章自体はだいぶ読みやすくなって、なおかつこの人の個性を残しつつ、というラインを維持してるのではないかなと。
とりあえず新作を読みまーす。 -
全然、万人向けじゃない(笑)
かなりのオタクでないとついて行けないかもしれないです。
癖の強い食べ物と同じ。
食べられない人は食べられない、好きな人にはこたえられない。
そんな感じ。
とりあえず、Zガンダム、源氏物語、昭和史、九尾の狐…その辺の知識があると楽しめるかも。 -
とても受けとめ切れない。
またいつか再読しよう。 -
日本語英語フランス語…言葉の大洪水!!
ものすごい分厚さだけど、テンポよく進むからさくさく読めた。今の会話どういうこと?って言う部分もあったけど楽しめた。続きも読まなきゃ。 -
・・・なんじゃこの話わ~!!というのが読み終わった直後の感想でした。
ジャンルは・・・メフィスト受賞したらしいのでミステリー?・・・イヤ!ミステリ要素も無理くり入ってるけどなんか違う!!
とにかく言葉遊び&多数の言語が飛び交っている本文中であります。雑学的な文から、古語、アニメネタの文から、ただ単にゴロがいいというだけの深い意味はない文(たぶん。自分の無知のせいも多分に入ってると思うけど)の嵐です。
ルビの嵐はSFにありがちな感じなんで別にいいんだけど、英語、独語、仏語が入り混じっているのがツライ。
個人的に言葉遊びが過ぎる本は好きなんですが、こいつは強敵でした。
もちょっと時間があるときにゆっくり読めばよかったなと思いました。 -
青春と音楽、吹奏楽と殺人事件。そして幻想、謎、人外。
吹奏楽部、探偵部。キャラが濃い。
ルビの洪水に見舞われた。怒涛の衒学趣味にも。
引用だらけ外国語だらけ。
慣れないうちは非常に鬱陶しいが慣れると逆にこれがいい。
長さも長いがこの長さは必要。長すぎる序章も。
そんなに違うのならばノベルスから読めばよかった。 -
古野まほろデビュー作。長かった〜。本格ミステリと思って読んでたらどんどん色んなジャンルが入り交じって来ちゃった。ジャンルつけるなら「古野まほろ」になるんだろうな。エブァネタはなんとなく分かるけどガンダムネタがさっぱり分からんかった(笑)