悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420007

作品紹介・あらすじ

風呂の湯は桶の半分まで-。贅沢を厭い徹底した実利思考と天賦の才で財を成すも、天下国家のために奔走し、借金だけが残った。腹心の裏切り行為は素知らぬ顔でやり過ごし、悪口は"有名税"と笑って済ませた。仏壇には関係した女の名が記された短冊を70以上並べ、終生色恋に執心。並外れた才覚と精力で金を操り人を動かした、日本の首領の素顔。

感想・レビュー・書評

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  • 『大山倍達との日々』真樹日佐夫(著)に次の様な記載がある。-- 笹川良一全空連会長が直接大山倍達に会って説得したいとのことで、会合の場として料亭を指定した。
    技術部長として大山を遇する用意がある、といった話が持ち出され、1億円を提供するという話ががあった。大山は「
    講道館と武徳会の2つがあった頃、日本柔道が一番レベルアップしたのと同じ様に、空手の世界に於いても、幾つかの流派が存続し合った方がプラスであろうと----」と答えたと。
    笹川は「この話はこれまでだ。お互い裃は脱ぎ捨てようではないか」と応じたと。---
    笹川良一という人間について、あまり知らなかったので読んでみたが、いゃー傑物であり、とてつもなく度量の広い人間であると分かった。特に第二次大戦後、巣鴨プリズンで東条英機に天皇処刑の防壁となるように、また自衛戦争であると主張しろと諭したり。A級、B級、C級戦犯の刑死、獄死した人達への慰霊・法要・遺族への生活支援に邁進していったそうだ。戦前・戦後とも一貫した姿勢は賞賛に値すると思う。
    「戦争中は戦死者を始め遺家族は勿論将兵を優遇し、戦いすめば冷遇する。ーこれは即ち忘恩の徒である。死んだ人には特にそれは怪しからん。敗戦国日本も慰霊祭を盛大にやれ。なんの気兼ねがいるか」(P303)

  • 笹川良一、名前は知っていたが素性を知らなかった。この時代福祉活動に目を向けていた先見性とエネルギー、昭和の傑物ですね。

  • 箕面の滝道の入り口に笹川が母親を背をって道を歩く像がある。箕面市にゆかりがあるのだろうと思い手に取った。以前から巣鴨プリズン、児玉誉士夫、日本船舶振興会・・部分的には聞こえてたきた。この人物は何を残してきたのか、、最後までわからなかった。

  • あまり面白くない自伝。
    笹川良一は小物の悪党であり、いくら美化したり擁護してもただ単に国家財産を横領して蓄財しただけの小悪党でしかないと気づいた。
    信念があるわけでも、何かを成し遂げたわけでもない。
    内容としては、笹川良一を美化しているところはあるものの、比較的よく書けてるのではないでしょうか。
    興味がある方は動画を見れば大したことない人物である事がわかるでしょう。

  • 単行本が出た時に気になっていたので、100円の文庫で購入。結論としては、単行本で買わなくて良かったという印象。

    私の世代にとっては、火の用心、一日一善のおじいちゃんだが、本書で書かれていることもそれを越えるようなことはなかった。スキャンダラスなことを期待していたが、そういうことはほとんどなく、ミステリアスな面も感じられなかった。

    (108)

  • 「戸締り用心 火の用心」「一日一善」「人類みな兄弟」。子供の頃に
    テレビCMで見掛けた人は、年齢の割には目の力が強くて少々
    怖かった。

    それが笹川良一という人であり、右翼のドンとも呼ばれた人物だと
    知ったのは後年である。

    戦前は右翼団体を率い、戦後は自ら望んで巣鴨拘置所へ収監され、
    出獄後は戦犯とその家族の救済に奔走し、社会福祉事業にも尽力
    した人。

    一体、どんな人なのか。メディアが彼への批判をタブー視したのは
    何故か。いろんなことが知りたかったのだけれど、本書はまったく
    参考にならない。

    これは評伝と呼んでいけない作品だ。著者は余程、笹川良一を
    持ち上げたいようで客観性は皆無。笹川の活動の資金源さえ
    「株や先物取引でもうけた」という記述だけで済ませている。

    中国関係の人脈についてもほぼ触れていない。詳細に綴られて
    いるのは女性関係だけだ。読む方が飽きるほどに、付き合いを
    深めた女性たちへの手紙を載せる必要なんかないぞ。

    確かに高齢になっても女性関係はおさかんなようだが、そんな
    ことはどうでもいいのだ。昭和の黒幕と言われた笹川の、私生活
    ではない部分が知りたいのだ。

    もう呆れちゃうね。言うに事欠いて、スーパーの経営で儲けた
    金と、モーターボート・レースで儲けた金に違いはないと書いて
    しまうのだから。

    これは社員にサービス残業させて収益を上げても、税金を払って
    いれば問題ないと言ったブラック企業の経営者と一緒だ。

    なんて見事な提灯本だろう。同じ著者が近衛文麿を描いた
    『われ巣鴨に出頭せず』も推測が多くて引っかかりながら読んだが、
    それ以上に悪い方へ進化しちゃってるよ。

    もう評伝からは手を引いた方がいいんじゃないか。

  • 日本のフィクサー笹川良一の伝記。

    競艇会のドンで、女たらし。数々の女性と関係を持ち、東京と大阪にそれぞれ『妻』がいるという羨ましい男w。すごい男ではあるが尊敬はできない。

    以下、気になった言葉。
    「金は生かして使わなあかん。しんだら一銭も持っていけへん。」

    「笹川良一は、金儲けが目的で金儲けを始めたのではなかった。金儲けはあくまでも手段であり、ツールだった。」

  • 枝葉末節では同意できない部分もあるが笹川氏が戦後日本最大の社会事業家の1人であったことを疑うことはできない。
    「バクチの金で」云々という批判は社会的/肉体的不遇をかこつ人々の苦悩を救えない。
    溺れてる人を目の前にして水難防止策を協議するよりも一つの浮き輪を投げた方が余程役に立つのである。(尤も水難防止策を議論してはいけないということではない)

  • まず自分では手を取らなかっただろう本でしたが、読み始めると興味が深まり一気に読了。戦前、戦後の活躍ぶりは目を見張るものがある。あまりにも事前イメージが定着していたので、ノンフィクションとは言えにわかには信じがたいが、真実ならば本当に英雄だ。一日一善、人類みな兄弟。良い言葉であることには変わりない。

  • 2015年1月6日読了。

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著者プロフィール

工藤美代子(くどう・みよこ)
昭和25(1950)年東京生まれ。ノンフィクション作家。旧チェコスロヴァキア・カレル大学を経て、同48年からカナダに移住し、バンクーバーのコロンビア・カレッジ卒業。『工藤写真館の昭和』で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。そのほか『国母の気品 貞明皇后の生涯』『香淳皇后と激動の昭和』『美智子皇后の真実』『美智子さま その勁き声』など著書多数。

「2021年 『女性皇族の結婚とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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