十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422742

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。現実的に全くあり得ないストリーでありながら展開やツッコミが面白い。大学を卒業したばかりの冴えない男子が主人公。ひょんなことから源氏物語の世界にタイムスリップ。源氏物語のストリーを知っているために未来をよむ陰陽師として弘微殿女御に仕えることになり源氏物語登場人物と交流、結婚もしたりもする話。源氏物語で起こる事件を弘微殿女御の目線から分析するのが深くて興味深かった。著者は源氏物語の中で弘微殿女御が一番好きだという。確か瀬戸内寂聴さんは六条御息所だった。さすが作家は人間臭い人物に興味を持つ。

  • よくある転生モノの流行に乗ってみました、という感じかなと思って読み始めた。この手の話は「突っ込んだら負け」的なところがあるので、細かいことは気にせずに楽しんで読んでいたが、何だかこの政治的駆け引き大好き感はどこかで読んだことあるような、と思って最後にあとがきを見ると、高橋克彦さんから示唆をもらったという趣旨ことが書いてあり、納得した。しかしまあ何というか、こんな設定を思い付いたとしても、最後まで書き通すのがすごいと思った。

  • 別の視点から考えることはとても楽しい!正解することが全てじゃない!

    この物語も正解ではないし、自分だけの、自分なりの考えを持つことこそ至高だと感じた

  • 内舘牧子さんの作品。源氏物語がテーマなのですが、嫌われ役の弘徽殿女御にスポットを当てています。

    時には視点をずらすことも大事ですよね!

    源氏物語を読んでいると、桐壺更衣が可哀想と思いがちですが、人には様々な感情がありますからね。

  • 映画があまりにもおもしろくなくて、ビックリして原作を調べたら内館牧子さん。原作はおもしろいはずでは…?と思い逆に気になって読みはじめました。
    ストーリーの流れは大きく変わってはおらず、主人公の雷が優秀な弟水にコンプレックスをいだいていて、その弟の大学合格祝いの日に雷に打たれ源氏物語の世界に迷い込んでしまう…というもの。
    源氏物語の時代の人はあまりお風呂に入れないから臭いとか、そう言われればそうだよなぁってことも書かれていたり、源氏物語の世界を主役ではない弘徽殿の女御側から描いている。映画には須磨の辺りからは書かれていないけど、そこも結構重要なシーンだと思う。
    最後の急にバタバタ話が展開した感は小説でも少し感じたけど、映画の比にはならないほど小説の方が面白かったです。

  • サラッと読めるエンタメ小説。
    源氏物語にほとんど登場しない弘徽殿の女御に焦点を当てて物語が進んでいく。
    優秀な弟にコンプレックスを持ち、人生に落ちこぼれてしまったと悩むフリーターの主人公の雷。ある日突然源氏物語の世代にタイムスリップし、毒舌で気の強い女上司女御の元で陰陽師として働くことになる。

    帝の寵愛を受けることよりも、息子の安全や帝としての身分安定を願う女御の姿は、現代に生きる女性の姿に通じる。(もっとも、ここまで気が強く行動にも移せる人も珍しいが)

    主人公の雷や女御の息子である一宮(朱雀帝)の身近な兄弟と比較し自身の能力のなさに嘆く気持ちも、兄弟がいる身としては何となく分かるものもあった。

  • 源氏物語は昔マンガで読んで、だいたいのあらすじを知っている程度で、弘徽殿女御のことは、「夫に愛されることがなかった、恐い女性」ぐらいにしか思っていませんでした。

    誰もが幸せになるために、なりふり構わず必死に生きている
    端からは恵まれているように見えても、人それぞれ悩みはある
    いつの時代も、現実世界でも物語の中でも、人の考えることは変わらない

    一人の登場人物の目線で語られると、こんなにも物語がイキイキするんだなと思いながら読みました。

  • 源氏物語が好きなのだが、設定が微妙だなぁと思いつつも内館牧子ワールドに魅了された。とにかく面白い!痛快!読みながらニヤニヤしてしまった。

  • とても面白かった。同じ人についてでも、見方によってこんなにも変わるのかと。
    弘徽殿女御、光源氏、藤壺女御…特定の人についての評価というのは、評価される側だけの要素ではなく、評価する側の要素も多分に含まれるものなんだと知った。評価する側のフィルター(それまでの人生、価値観、コンプレックス)を通してのものなのだと。そう考えれば、「みんなによく思われる」というのは所詮不可能だし、意味がない。そう思うことができて、心が楽になる。そんなお話でした。

  • 母にとても面白いと勧められて読んでみた。500ページ超えの長編だがすいすい読める読みやすさ。弘徽殿女御なんて聞いたことなかったけど、元々メインキャラではないらしい。彼女こそ現代からタイムトリップ(?)したのではないかと疑うほどのカッコよさ。光源氏が脇にやられるなんて…笑。
    なかなか敷居の高い『源氏物語』に興味を持つには打ってつけかも。人物相関図もないのに脳内で人物が区別できたのが不思議なくらいの描きっぷり。雷の秘密兵器、"あらすじ本"を読んでみたい。
    210510読了、図書館本。

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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