告知 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 332
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427914

感想・レビュー・書評

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  • どのような形であれ、「死」を回避することはできないのだから、痛みや苦しみはできる限り感じることがないよう逝きたい、と思う。

  • 南杏子の<サイレントブレス>の続編かと思うほど、構成や設定が似ていた。(あとがきに、南杏子自身が書いてもあるが、、
    在宅診療を舞台に、終末期医療や死、そして安楽死、病気になった患者の生の声や認知症の家族介護の苦しみ患者の心情が綴られる。一部ノンフィクションというのも頷けるリアリティーだ。
    あとがきで著者も書いているように、医療はハッピーエンドでは終われない。楽に最期を迎えられたとしても、その後何度も何度も<あれでよかったのか>と残された者の自問自答は続く。
    医療従事者もやっぱり苦しい。それを共有かすることができてよかった。

  • 久坂部羊『告知』幻冬舎文庫。

    在宅医療連作短編集。『綿をつめる』『罪滅ぼし』『告知』『アロエのチカラ』『いつか、あなたも』『セカンド・ベスト』の6編を収録。

    久坂部羊の作品の中では低ランク。医療現場の描写にはリアリティがあるものの、ただそれだけで、ストーリーが無い。好きな作家の久し振りの作品だけに非常に残念。

    あすなろクリニックで在宅医療に関わる医師と看護師を主人公に患者の死の現場と遺族の人間模様を描く。

  • 医師の著者が書いた終末医療の短編集。ほぼノンフィクションだと著書は言う。亡くなった患者の死出の旅支度をする様子がすごくリアルな「綿をつめる」。余命を知ることを怖がる患者に演じ続ける家族。告知を悩む医師の苦悩がわかる「告知」。ALSという病気の深刻さ怖さがわかる「セカンド・ベスト」が印象に残った。寿命が伸びた現在でもまだ不治の病があるんだと改めて知る。著書がノンフィクションだと言うだけあってリアリティーのある作品ばかりだった。

  • 著者の実体験を交えた短編集。在宅医療専門看護師のわたしが、終末期の患者とその家族への対応に追われる。「罪滅ぼし」(認知症の妻)「告知」(末期がんの夫)に感動。リアル生々しい中にもどこか救いのあるものでした。

  • 大好きな羊さんの作品。

    羊さんの作品にしては珍しく、短編だけど、登場人物は全編通して同じ。
    一話完結のマンガみたいな感じ。
    内容は終末期医療に携わる医者と患者およびその家族の苦難や苦悩の物語。

    あとがきを読むに、モデルは羊さんと実際に診察した患者とのこと。
    フィクション部分はあるにしても大筋はノンフィクション。
    故にハッピーエンドと言えるものはない。
    大抵の患者さんは亡くなっている。

    とても考えさせられるし、心に響いた作品。
    最後の話なんか涙流しそうになったほど。

    第三者が見て、こうすればいいのにという結果論や理想論も当事者達の立場になってみると、全く的はずれな指摘となることを思い知らされる。

    僕もいつかは家族側として、さらに先には患者側として当事者となる可能性がある。

    なってみないとわからないことだらけだけど、心の準備だけはしておいたほうがよさそうだ。

  • 在宅医療クリニックに勤める看護師の視点で描いた、6編の連作医療小説。
    何れもリアル感に満ち、あとがきによると著者が在宅医療に携わった体験に基づいた実話だということで、納得。
    まず、1話目の「綿をつめる」で、死後処理の克明な描写に圧倒されてしまった。
    続いての認知症患者とその家族の「罪滅ぼし」には、涙腺を刺激され、「告知」では自分の場合ではと思い惑うが、「アロエのチカラ」には、そこまで縋りはしないのではないかと。
    「セカンド・ベスト」は、究極の問題=安楽死がテーマ。
    どのケースもいずれ、原題の「いつか、あなたも」の通り、自分の身に起こるかもしれない、起こるであろう問題。
    そうなった時どうする?と、読後考えさせられてしまう。

  • 重い内容。
    だけど、いつか私も当事者として
    関わる事になるんだろう。

    認知症の話は、泣いた。

  • ほぼノンフィクションといってよいだろう連作小説集。いつもの久坂部節ではなく、予定調和も解もなく、今そこにある終末医療の現実が淡々と語られる。その静謐さに圧倒された。

  • 看護師から見た在宅医療の実態。ほぼノンフィクションだとか。

    医療の世界はドラマのようにはいかない。突然スーパードクターが現れて天才並みの手術を執刀して病気を治してしまうとか、医者と患者との間の感動物語とか、そんなものはフィクションなのか。
    本作は、1つ1つの話自体は地味なんだけど、だから余計にリアリティがあって、なんだか怖くなった。自分が介護する立場になった時、在宅医療を視野に入れた時、どうするだろう?著者が読者に向けて、問題を投げかけてるようにも思えた。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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